【インタビュー】DJ RYOW、豪華客演集結の12thアルバムにヒップホップの未来「音楽にラインを作りたくない」
DJ RYOWが3月24日に通算12枚目となるアルバム『Still Dreamin'』をリリースする。前作『DREAMS AND NIGHTMARES』は、iTunes/Apple Musicのジャンル別チャートで1位を獲得。豪華な参加陣も話題を呼んだが、今作にはDJ RYOWの作品ではお馴染みのAK-69、般若を迎えたリードトラック「NEVER CHANGE feat. AI, AK-69 & 般若」にAIが初参加。若手ではdodoやLEXと初コラボ、世代を超えた盟友の¥ELLOW BUCKS など20組のアーティストと共演している。
◆DJ RYOW 画像 / 動画
17歳から名古屋でDJとしての活動をスタートさせ、急逝した伝説のラッパーTOKONA-X等と出会い、そして多くのアーティストからのリスペクトを受けている現在。変わらず名古屋を拠点としてシーンを活性化させてきたDJ RYOWが見ている夢は、アルバムにつけられたタイトル通り、果てしない。地元やヒップホップへの愛というルーツを胸に、世代や音楽のボーダーラインを超えて制作された今作は、DJ RYOWにしか生み出せないクールでバリエーションに富んだトラック揃いの作品となった。続々、新作からのミュージックビデオが公開されているが、今後全15曲のミュージックビデオが制作され、視覚的にも楽しめるアルバムになるという。変化し続けるシーンを背景に、絶やさず、繋げ、広げていくDJ RYOWのアティテュードについて話を訊いた。
◆ ◆ ◆
■AI、AK-69、般若、僕に通じる部分は
■長くやっていながら芯がブレていないところ
──12枚目のアルバム『Still Dreamin'』はクールでエッジがあり、それでいて癒され、エナジーをもらえる作品になっています。世代を超えた20組ものアーティストが参加していますが、コロナ禍の中、どんな想いからアルバム作りが始まったんでしょうか?
DJ RYOW:リリース時期を決めてアルバム制作するのは苦手なので、前のアルバム(『DREAMS AND NIGHTMARES』)を出してから、音だけはみんな(Space Dust Club)で、ずっと作り続けていたんです。タイミングよく出会えた人やもともと一緒にやりたいと思っていた人に声をかけて曲を一緒に作っていくんですが、いつも、“アルバムを作ろう”って見える曲ができるタイミングがあるんです。今回もちゃんと形になって良かったなと思っています。
──今作でいうと、どの曲ができたときだったんですか?
DJ RYOW:AIちゃん、AKくん(AK-69)、般若くんに参加してもらった「NEVER CHANGE feat. AI, AK-69 & 般若」ができたときですね。2020年の秋ぐらいだったかな。そこでスイッチが入ったかもしれないです。
▲DJ RYOW |
DJ RYOW:初めてですね。AIちゃんのことはトコナメさん(TOKONA-X)やAKくんとの繋がりで昔から知っていて、僕は一方的にいつかやりたいとずっと思っていたんですが、今回、実現して良かったです。
──AIさん、AK-69さん、般若さんの共演も初めてだと思うんですが。
DJ RYOW:そうですね。AKくんと般若くんに関しては、今回がDJ RYOWとして12枚目のアルバムですが、1枚目からずっと参加してもらってるんですよ。
──常連ですね。
DJ RYOW:完全レギュラーです。この人達が居なかったら今の僕はないっすね。
──どんな過程を経て完成した曲なんでしょうか?
DJ RYOW:まず僕がAIちゃんと音を決めたんですが、4曲ぐらい候補のトラックを用意して、お互いにいいと思うものが一致したんです。メロディに関してはAIちゃんに任せて何パターンか考えてくれたんですけど、それも“これがいいね”っていうのが同じで。2人でベースになるものを考えてからAKくんと般若くんに頼んだ流れですね。こういう時期なので一緒にスタジオには入れなかったですが。
──“NEVER CHANGE”というワードには変わらない想いや決意みたいな意味が込められているんですか?
DJ RYOW:そうですね。AI、AK-69、般若、僕に通じる部分。みんなベテランというか、長いことやっていながら芯がブレていないところが共通しているので、そういうところからタイトルを決めました。
──超エモーショナルなナンバーに仕上がりましたね。
DJ RYOW:思った以上の曲になりました。
──この楽曲からアルバムの全体像が見えたということですか?
DJ RYOW:すでに収録曲の7割以上は録ってあったんですが、「NEVER CHANGE feat. AI, AK-69 & 般若」ができてから固めていきました。
▲DJ RYOW |
DJ RYOW:DJとしていろんな土地を廻らせてもらうので、そこで一緒になったラッパーも多いですね。海外の曲をチェックしているのと同じぐらい日本の曲もチェックしているので、気になったり、いいなと思った子達とイベントで出会えたら声をかけたり。僕から頼むことも多いですよ。
──RYOWさんのようなヒップホップ界のレジェンドDJからオファーされたら、“ええっ?”ってビビっちゃうんじゃないかと?
DJ RYOW:いや、みんなけっこうサラッと(笑)。「マジっすか? やりましょう」みたいな。僕自身、音楽に年齢のラインを作りたくないんですよ。人としての先輩後輩のラインはありますけど、僕の若い頃は、年上の人にどんどん頼んでましたから。“一緒にやりたいな”と思ったら、あまり考えずにどんどん突っ込んでいきます。
──ヒップホップ、ひいては音楽に世代は関係ないと思っているから?
DJ RYOW:僕は好きな曲を作っているだけなんですけど、結果、いろいろな世代に繋がっていったら面白いなって。
▲DJ RYOW |
DJ RYOW:AIちゃんみたいにもともと知っている場合もありますけど、ライブを見て“この子いいな”と思ったり、イベント共演がキッカケになることが多いですね。dodoやLEXはそんな感じ。KIRA (「Killin’ Me feat. KIRA, DABO & Tina 」に参加)と出会ったのは後輩の結婚式だったんですよ。もともと知っていて、歌が好きだったんですが、式で生で歌っているのを聴いて、いいなと思ったんですよね。Kazuo (「URUSAI feat. Kazuo」)に関しては当時、彼がニューヨークに住んでいて、僕もちょいちょい行っていたのでDMでやりとりはしていて。今回の曲は本当は僕がニューヨークに行って作りたかったですけど、こういうタイミングだからデータのやり取りで仕上げましたね。
──RYOWさん自身、ニューヨークでDJをされていましたがが、バイリンガルラッパーとして活躍されているKazuoさんって、いい感じで尖っていますよね。
DJ RYOW:Kazuoはユニークだし、前から惹かれるものがあったんですよ。この先も一緒に何かやりたいなと思いますね。
──「イベント共演がキッカケになることが多い」とおっしゃってましたが、生で見て刺激を受けることが引き金になるんですね。
DJ RYOW:そうですね。曲というよりもライブが多いかもしれない。僕はDJで向こうは歌い手ですけど、すごくいい刺激をもらうんです。アメリカに行って大きなライブがあったら足を運ぶし、言葉がわからなくてもバイブスで刺激になるんですよね。昔からけっこう刺激ばっかり求めてますね。
──刺激中毒ですね。
DJ RYOW:そうですね(笑)。刺激がないとやれないかもしれない。
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