【レポート+インタビュー】Angelo、最新アルバムを掲げて全国ツアー開幕「それでも進むしかない」

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Angeloが11月17日、CLUB CITTA’にて<Angelo Tour 2020-2021「THE FORCED EVOLVE」>の初日公演を開催した。同ツアーは11月11日にリリースされたアルバム『[evolve]』を掲げて開催されたものであり、全国7ヵ所全8公演の規模で2021年1月10日のTSUTAYA O-EASTファイナルまで行われる。生配信も実施されたツアー初日のレポートに加え、終演直後の楽屋でメンバーに訊いたインタビューをお届けしたい。

◆Angelo 画像 / 動画

■『[evolve]』収録曲は暴れ馬のようなイメージ
■感情をフルブーストしたようなものばかり

とにもかくにもライヴを生で観る機会が格段に減ってしまっている今、たとえ人数制限やその他のルールがあろうとも、なじみ深い会場、かつ有観客という状態で通常のライヴを観られることが、とてつもなく尊い出来事だなとしみじみ感じ入ってしまう。

10月4日に大宮ソニックシティで開催された<Angelo 14th Anniversary「THE GROUND OF REUNION」>は実に約7ヵ月ぶりとなるバンドセットによる有観客公演であったが、今回の11月17日のクラブチッタ公演はバンドセットでの待望のツアー<Angelo Tour 2020-2021「THE FORCED EVOLVE」>の初日。ファンはもちろん、本人たちにとっても“ついに!”と高ぶる瞬間だったであろうことは想像に難くなく、しかもリリースされたばかりのニューアルバム『[evolve]』収録曲がライヴ初下ろしとなるツアーとくれば、気合いが入らないわけがない。

▲キリト (Vo)

初日17日と翌18日のクラブチッタ2DAYSを手始めにスタートした今ツアーは、12月に4公演、そして2021年1月に2公演と来年まで続いていくもので、『[evolve]』収録曲をすべて披露したセットリスト前半だけでもドラマティックな山場を幾度となく生み出し、同アルバムの充実度の高さを改めて証明してみせた。

『[evolve]』は、今の世の中を映す混沌さも内包しているものの、トータルで今作から感じられるのは眩いほどの希望。もちろんAngeloゆえ単に綺麗事の夢物語が描かれているわけではないけれど、アルバムの幕開けとなる「Enter the NEOPHASE」から“この歩みを止めてなるものか”と言わんばかりの前向きなエネルギーが満ちているのだ。

さらに“振り切っている”と感じさせたのが、メランコリックなバラードナンバー「ティアドロップ」を経て、「春の風」「MISSING LINK」「ALL FOR YOU」と続くポジティヴなラスト3連打。終盤がここまで徹底的にクリアに突き抜けた構成なのは、沈みがちな時代の空気に必死で抗っていく彼らの意志の表れに他ならない。これらの曲はライヴでも強い光を放っており、メンバー自身も初日公演終了直後の楽屋で、その手応えを異口同音に語ってくれた。

▲Karyu (G)

「やっぱり新曲というのは、その新鮮さがすごく心地よくて。特に「ティアドロップ」のギターソロ明けとかは、かなりジーンときた感覚もある。「春の風」はライヴでも手応えを感じられて、「MISSING LINK」も想像していた雰囲気になった、というところで満足感は結構ありますね。コロナによる制限が外れたら、これがもっと良いものになるんだろうなっていうことが想像できたので、そこは嬉しかった」──Karyu (G)

「特にアルバムでいうところのエンディングに向かう部分──「MISSING LINK」や「ALL FOR YOU」に進むにつれてグッとくるものがかなりあって。規制によってファンの人たちは声を上げられないんですけど、きっとそこでみんな歌っていてくれるんだろうなって感じられるような熱い想いは、マスクをしていても伝わってきました。それが嬉しかったです。だから、きっと環境が変われば、さらに大化けしていく曲たちだなってことは実感できました」──ギル (G)

「バラードチューン「ティアドロップ」は通常のピック弾きではなく、指弾きでニュアンスを出しているんですよ。そういう変化もあってかなりベースに感情が入る曲なんです。それにアルバムの最後の曲「ALL FOR YOU」はいわゆる純粋なバラードというわけではないですけど、優しくも力強い部分を表現できていて、ライヴが締まりますよね。この2曲のアルバムでの置きどころも、すごく絶妙だと思うし、それによって他の曲も活きてくるんですよね」──KOHTA (B)

これら発言からも、メンバー各々が初披露の新曲群にさらなる可能性を見出していたことが伝わる。一方で、「:evolve」や「Amon」といったヘヴィなリフで押すヘッドバンギング不可避のナンバーの存在もAngeloの帰還を実感させた。この辺りの楽曲が先述の“混沌”を表現するものとしてライヴの熱量も高めていたのだが、例えば「Amon」などは、不穏なヴァースとキャッチーに開けていくメロディのバランス感が心地良い佳曲としてセットリストのフックとなっていたことは間違いない。

「もちろんバラード系の曲は入り込めた感覚があったんですけど、同時に「Amon」はイントロからサビまでの一連の流れの中で、意外なほど自分の中でテンションが上がって、叩いていてすごく感触が良かったんですよね。やっぱり、ライヴならではの空気感の中で叩くことで想像以上に気持ちよく没入できたんだと思います。そういった部分も、今後どんどん大きくなっていくんだろうなっていう期待もありつつで、ライヴで演奏するのが楽しみな曲になりましたね」──TAKEO (Dr)

▲ギル (G)

アルバム『[evolve]』収録曲は、いかなる情景を描いたものであっても、メンバーが感情移入できるものばかりであることがそれぞれの発言からうかがい知れる。フロントマンのキリトはそれを認めつつも、実に彼らしい想いのもと、このツアー初日に臨んでいたのだった。

「まだ初日なんでね。こういう言い方をしていいのか分からないけど、曲への感情の込め方をわりと制限していたんですよ。ちゃんと歌わなきゃいけない、と思っていたので。ピッチを含めた歌唱表現という意味でね。もちろんそれでも感情は入るんだけど、今回のアルバム『[evolve]』収録曲に関しては、本当に一曲一曲がものすごい暴れ馬のようなイメージがあるんです。感情をフルブーストしたようなものばかりで、ライヴでその感情をフルスロットルさせたとき、暴発しそうな……コントロールが効かないくらいのことになりそうなんです。でも、そこに踏み込むのはまだ早いかなと思ってるんですよ。それこそ、もう歌にならないくらい、得体の知れないバーストをしそうで。ただ、回を追うごとに感情の割合を高めていきます。そうすることで、徐々にコントロールできるようになると思うから」──キリト (Vo)

“あえてセーブしていた”とのことだが、それでも要所要所でアルバム『[evolve]』のナンバーがライヴの山場を作っていたと伝えると、「全然こんなもんじゃなくて。まだまだイケると思いますよ」と自信に満ちた表情で語っていたことも記しておきたい。

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