【対談・短期連載Vol.4】ガラとテツ(メリー) × KOHTA、<魑魅魍魎2>さいたま公演直前に語る「近寄れない空気感があった」
メリー主催ツーマンツアー<魑魅魍魎2>が5月7日の三宿公演を皮切りに幕を開けた。初日5月7日の三宿BRANCHに[ kei ]、6月4日のHEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1にdefspiral、7月22日の京都磔磔にumbrella、8月13日のHEAVEN'S ROCK さいたま新都心にKOHTA、そしてファイナルとなる8月27日の本八幡ROUTE14にgibkiy gibkiy gibkiyを迎えるなど、シーンを跋扈(ばっこ)するバンドとの共演はタイトル通り、得体の知れないものとなるはずだ。BARKSでは<魑魅魍魎2>全5公演の対バン相手とメリーの対談を連載していく。
◆ガラとテツ(メリー) × KOHTA 画像
<魑魅魍魎2>第一弾対談メリーのガラ × [ kei ]、第二弾対談メリーのネロ × defspiralのRYO、第三弾対談メリーのテツ × umbrellaの春に続く第四弾対談は、メリーのガラとテツ × KOHTAだ。
ガラとテツはそれぞれの前身バンドで、KOHTAはPIERROTにて、1990年代にシーンに登場。KOHTAとテツは当時対バン経験もあったという。それから四半世紀を経てのツーマンには、個々が重ねてきた経験と実績がスパークするはずだ。また、KOHTAは2022年1月のAngelo無期限活動休止後、サポートベーシストとしての活動と並行して、同年12月にソロ音源『UNLEASH』をリリースした。ベース&ヴォーカルという意味では、ガラ×KOHTAのヴォーカル対談であり、テツ×KOHTAのベース対談ともなった三者のトークセッションをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■怖いなっていつも震えてました(笑)
■目標でしたし、憧れでもあった
──メリー主催ツーマンツアー<魑魅魍魎2>第四弾となるのが、KOHTAさんを客演に迎えて開催される8月13日の埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3公演です。まず、KOHTAさんが、ガラ(Vo)さんとテツ(B)さんと出会ったのはいつ頃のことですか?
KOHTA:メリーのテツくんとは昔から面識があったんですよ、ベースという同じパート繋がりで。たしか何人かいらっしゃる飲み会でテツくんとお会いしたと思うんですよね。
──ベース会ですか?
KOHTA:そんな感じの会だったかなと思います。テツくんの印象は当時も今もあんまり変わらないですね、物静かで大きい(笑)。
テツ:なんかデカいのがいる、みたいな(笑)。
KOHTA:見た目は華やかなんだけど、静か。そんなイメージでした。その後、メリーのライヴを観に行かせてもらって、ガラくんや他のメンバーさんにもお会いしたんですけど。
▲ガラ
──初めてご覧になったライヴのことを覚えていますか?
KOHTA:SHIBUYA-AXでしたね。
ガラ:たぶん15年ぐらい前ですかね。テツさんが急に「今日、KOHTAさんが来る」って言い出して、みんなが「えっ?!」ってなって。テツさんの交友関係って謎なんですよ。「テツさんってKOHTAさんと仲良かったんだ!?」みたいな。
テツ:ダメ元でお誘いしたら、来てくれたっていう、まさかの(笑)。
ガラ:やっぱりKOHTAさんがやられてたバンド(PIERROT〜Angelo)は触れちゃいけない感じがあったじゃないですか。あんまり交流を持っちゃいけないというか(笑)。
KOHTA:いやいやいや(笑)、でも確かにそういうイメージはありましたよね、みんなが腫れ物に触る感じというか(笑)。社交的なメンバーがいなかったので、そういう感じはあったかもしれないです。
ガラ:実際に話してみたら、KOHTAさんはすごく優しくしてくれて。
KOHTA:ガラくんはギャップがすごいですよね。そのSHIBUYA-AXのときも、いい意味でぶっ飛んでました。特にガラくんが(笑)。普段はものすごく礼儀正しいんだけど、ステージに立った時の存在感が、パフォーマンスも込みで“すげえな、この人”って。表現者の方ってみんなそうなのかな。テツくんもステージで観ると全然違うし。
ガラ:KOHTAさんも全然違いますよ。硬派な感じと言いますか、“漢”っていう感じで。
KOHTA:そこら辺は意識してましたね。自分はちょっとやんちゃな男っぽいキャラクターというか。他のメンバーもそれぞれにキャラクターがあって。そこは、今よりもっと意図的に出していた部分ではあります。
ガラ:当時はそういう見せ方も必要でしたもんね。バンドがたくさんある中で、自分たちのバンドの色や個性をいかに出すかっていうことは、みんながそれぞれ考えていたと思うんですよね。
KOHTA:そうだね。それに、特定の誰というわけではないけど、すべてにおいて馴れ合わず(笑)。自分のキャラクターをしっかり見せていく。それは僕らに限らず、あの当時はわりとそういうバンドが多かった気がします。
▲KOHTA
──デビューで考えると、KOHTAさんはメリーより一つ上の世代になるんですかね?
ガラ:1.5ぐらい上かな。
テツ:ちょっとややこしいんですけど、自分がその間ぐらいなんですよ。出会いはKOHTAさんがお話してくれたようにベース会なんですが、実は1997年ぐらいに、自分はメリーの前にやっていたバンド(ACiD)でPIERROTと一回対バンしたことがあって。
ガラ:そういう意味では、テツさんとKOHTAさんは同期になるの?
テツ:いや、自分が駆け出しの時に、PIERROTはバリバリの人気バンドだったから。
KOHTA:じゃあ、ほぼほぼ同期みたいな感じですね。
ガラ:僕はネロと前にやっていたバンド(After effect)が浦和ナルシス所属だったんで、マネージャーさんが同じだったりして、PIERROTの話はよく聞いてましたし。それこそ僕はその前にDIR EN GREYのローディーをしていて、当時よくPIERROTと対バンされていたじゃないですか。その頃は挨拶しても返してくれないような方たちだったので、怖いなっていつも震えてました(笑)。
KOHTA:本当ですか(笑)?
ガラ:はい(笑)。近寄れない感じっていうんですかね。バンドの空気感がやっぱり違ったんで。
KOHTA:たぶん無視はしてないと思うんですけど(笑)、でもピリピリした感じはあったかもしれない。人見知りのメンバーばっかりなんで、自分らのことで精一杯な感じで。あと若かったんですよ。知り合いも全然いなかったし、とにかく尖って、バンドで上を目指してるみたいな感じでした。
ガラ:上にいくスピードが速かったんですよ。日本武道館(1999年)やって、西武ドーム(2000年)でやって、さいたまスーパーアリーナ(2002年)でもやって。僕らは、そういう姿をすぐ下に居て観ることができたのがよかったです。バンドが好きで音楽が好きでやり始めた僕らは、“こんなふうになれるんだ”とか“この雑誌には出ておかないとな”とか“こういうイベントにも出たいな”とか、そういう目標でしたし、憧れでもありましたよね。
テツ:僕は初めて対バンした時の印象が強いんですよ。もちろんすごく気合いが入っててピシッとした人たちなんですけど、その一方で、当時地方の駆け出しバンドだった自分たちにまで、「ありがとうございました」ってみなさんで挨拶をしてくれて。そういうバンドって他になくて、カッコいいなと。そう思っていたら、バーンと抜けて上に駆け上がっていった。やっぱりそういうことって大事なんだな、ということを学ばせてもらった感じです。
ガラ:曲のクオリティも高かったし、本当に後世に影響を与えたバンドだと思います。今もみなさんが第一線でやってきてるというのは、やっぱりすごいことですよね。ずっと戦ってきてるというか。
KOHTA:戦っているところはありましたね。誰かに似てたら却下みたいな感じでしたから。たとえば、有名な方の曲とかフレーズにたとえられたり「似てる」って言われても、全員喜ばない。誰かに似てるようじゃまだまだダメだし、そういうものを作ったら終わりだなと思っていて。もちろん参考にしている方もたくさんいましたけど、誰かに憧れちゃったら、それ以上はいけない。だから目標にしてる人とかもいなかったんですよ。そういうことってありません? だからこそ曲作りもフレーズ作りもすごく試行錯誤を重ねたし、メンバー同士も切磋琢磨していたので、それがよかったのかなと。
──たしかに、他のどのバンドとも一線を画してましたよね。個人的には、“バンドは宗教だ”と思ったのはPIERROTのライヴを観た時からなんです。言い方が適切じゃないかもしれないですけど。
KOHTA:いや、全然褒め言葉ですよ。やっぱりヴォーカルって一番人を惹きつけなきゃいけない存在で、それはPIERROTもメリーもそうなんですよ。個人的には、ヴォーカルが人気ないバンドとか、目立たないバンドはダメだと思っていて。メリーはそこが当時からすごかった。やっぱりちゃんとセンターに目がいく。そのうえで他のメンバーもそれぞれがすごいから目がいく。だからバンドとしてカッコいい。そういう人たちが僕はすごく好きだし、いい刺激を受けますよね。“少し下の世代にもこんなすごいバンドがいるんだ! 負けてらんないな”って思ってましたから。
ガラ:嬉しいですね。そうやって見てもらえてるっていうのは。
テツ:“負けないぞ”っていう思いは僕もまったく同じで。KOHTAさんたちの世代は突き抜けていたというか、すごい気流が上のほうへ流れていたんですよ。だけど、自分たちの世代はわりと混沌としてるというか、一回地下に潜ったみたいなドロドロとしてるイメージで。そこがちょっと違うかなと思うんです。だけど、気持ちのもっていき方は一緒なんだなっていうことは感じてて。
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