THE YELLOW MONKEY、“シーズン2”日本武道館で閉幕「それでは、またお会いしましょう」
THE YELLOW MONKEYの結成30周年を記念したライブイベント<THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE>が12月28日、東京・日本武道館で最終日を迎えた。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
◆THE YELLOW MONKEY画像
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ちょうど1年前の2019年12月28日、THE YELLOW MONKEYは自身初のドームツアー<THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR>をナゴヤドームからスタートさせた。しかし、2020年初頭から世界中を襲った新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ツアーファイナルの東京ドーム2DAYS公演(4月4日・5日)は中止を余儀なくされた。
そんな状況の中、新たに開催が決定した<THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE>。<DOME SPECIAL>(11月3日・東京ドーム)、<YOKOHAMA SPECIAL>(11月7日・横浜アリーナ)、<YOYOGI SPECIAL>(12月7日・国立代々木競技場第一体育館)……と題し、バンドヒストリーにおいて重要な意味を持つ会場で、「客席のソーシャルディスタンス」「COCOA(接触確認アプリ)の利用」「手指の消毒」といった感染防止対策を行いながらライブを実現させてきた。
そして12月28日。全4公演の<30th Anniversary LIVE>最終公演の舞台に、THE YELLOW MONKEYは日本武道館を選んだ。現メンバーで初めてライブを行った“バンドの誕生日”の、幾多の名演を繰り広げてきた“聖地”武道館でのライブ。加えて、2016年の再集結以降の“シーズン2”はこの公演をもって終幕、バンドは活動休止期間に入る──ということが以前のライブMCでも明かされていることもあって、武道館の客席は開演前から静かな熱気に包まれている。
観客動員数を収容人数の半分以下に抑えつつ、WOWOW生中継とFanStreamでの配信も行われたこの日のライブ。開演時刻を過ぎ、客席に自然と手拍子が巻き起こる中、場内SE「愛の讃歌」の最後に会場が暗転、観客の手首を彩るリストバンド型LEDライト「フリフラ」が客席を星空のように輝かせていく。
さらにSEがチンドン屋の定番曲「竹に雀」に移り変わったところで、吉井和哉(Vo,G/以下、吉井)、菊地英昭(G/以下、エマ)、廣瀬洋一(B/以下、ヒーセ)、菊地英二(Dr/以下、アニー)とサポートメンバー・鶴谷崇(Key)の5人が舞台に登場。舞台側面・背面の鉄骨もなく、視界を遮るもののないフラットなステージに、360度の客席から熱い拍手が降り注ぐ。
「楽しんでまいりましょう!」という吉井のコールとともに演奏した1曲目は「DANDAN」だった。《集まったぜ 盟友》《どんな夢も叶えるバンドができたよ》とバンドの30周年を自ら祝福するような歌のフレーズが、エマ/ヒーセ/アニー/鶴谷の繰り出す力強いグラムロックのビート感とともに鳴り渡り、武道館の広大な空間を高揚感で満たしていく。
さらに、1stアルバム『THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE(夜行性のかたつむり達とプラスチックのブギー)』から「Subjective Late Show」「Chelsea Girl」を立て続けに披露。刻一刻と高まる熱気と躍動感の中、感染対策で歓声や歌声の出せない客席が高らかなクラップで喜びを体現していく。
「元気でしたか武道館! 12月28日、THE YELLOW MONKEYのバースデーでもある今日この日、またこの会場に帰ってくることができました。今夜、THE YELLOW MONKEY今年最後のライブになります。心置きなく、思う存分楽しんでいってほしいと思います。声は要りません。体だけください!」という吉井の言葉に応えて、会場一面に拍手が広がる。
インディーズアルバム『Bunched Birth』の「FAIRY LAND」でスウィング感あふれるブギーを聴かせたかと思えば、「Tactics」のアウトロでは吉井&エマが鮮烈なツインリードギターを響かせる。そのままワイルドなロックンロールナンバー「VERMILION HANDS」へ……といった具合に、31年間のキャリアを自在に横断しながら楽曲を重ね、会場を濃密なロックの妖気で満たしていくTHE YELLOW MONKEY。
「本来ならば、今年の4月にTHE YELLOW MONKEYは東京ドーム2DAYSをやりまして、そのまま活動をお休みして、また次の活動の準備期間に入る、みたいな予定だったんですけども……でも、こうやってまた、我々のバースデーであります12月28日に、メンバーも元気で、みなさんも元気で集まっていただけたので。今日は最高の夜にしたいと思います!」
そんな呼びかけに続けて「今夜で最後です、ひとまずTHE YELLOW MONKEYはね」と語った吉井の言葉に、場内には一瞬寂しさが広がったものの、そこには悲しみはない。彼ら自身、これまでの公演でも「末長く、まだまだ続けますんで」と話していた通り、「THE YELLOW MONKEYは続いていく」という認識が、バンドと観客の間で強く共有されているからに他ならない。最新9thアルバム『9999』から演奏したロックバラード「Changes Far Away」の、無垢で骨太なバンドの強さに裏打ちされたサウンドが、メンバー4人の充実した「今」をよりいっそうリアルに感じさせた。
レア曲・コア曲を披露する<メカラ ウロコ>シリーズでお馴染みの“12月28日のTHE YELLOW MONKEY武道館ライブ”。「<メカラ ウロコ>は一応終わりになりまして、普通にバースデーライブということでやらせてもらうことになりました」と吉井はMCで話していたが、「今夜もせっかくなんで、売れなかった下々の曲を──今年の汚れ、今年のうちに!」とぶち上げながら「審美眼ブギ」「Foxy Blue Love」「SLEEPLESS IMAGINATION」と初期曲を畳み掛け、さらにはメジャーデビュー以降では初演奏、約30年ぶりの披露となる「PENITENT」へ。ダークな戯曲風の楽曲が、会場の歓喜をミステリアスにかき乱していく。
「ロザーナ」(『9999』)、「"I"」(4thアルバム『smile』)のタフなロックサウンドとともに、ライブは終盤へ向けてなおもダイナミックに昇り詰めていく。「自分にとってこのバンドは唯一無二、このバンドしか僕のバンドはいない、と心に響いた」と改めて語り「コロナもいつ収束するかわからないけども、とにかく希望を持って、我々もさらに前進するように頑張っていきたいと思います。夢を叶えたいと思ってますんで。みなさんも一緒に夢を叶えましょう!」と呼びかけながら流れ込んだ「バラ色の日々」では、歌声募集企画<Sing Loud!>に寄せられた歌声が、観客のシンガロングの代わりに鳴り渡り、圧巻の光景を生み出していった。
「SUCK OF LIFE」のラストで「Rock'n Roll is my life!」と高々と叫び上げ、「Father」で雄大な歌とロックを聴かせた吉井。「我々、ずっと時代錯誤のバンドみたいな感じで活動してきましたけども。実は時代錯誤の中にも、常に“今”を見据えてやってきた自負はありました。これからも、時代の最先端には到底行けませんけども、時代にフィットするものをやっていきたいと思ってますので。また、新しいTHE YELLOW MONKEYが現れた時には、ぜひ見守っていただきたいと思います」の言葉に、熱い拍手が巻き起こっていく。4人が再集結して最初に生まれた楽曲「未来はみないで」の《また会えるって 約束して》のフレーズを残して、ライブ本編は幕を閉じた。
アンコール冒頭では、4人+1人がキスマスク姿で登場。<メカラ ウロコ>定番の「おそそブギウギ」を、「ハミングだったら、飛沫は飛ばないんじゃないでしょうか」と会場全体の控えめなハミングとともに披露。そのまま「アバンギャルドで行こうよ」「Romantist Taste」「悲しきASIAN BOY」とライブアンセムを連射、客席とクラップとハンドウェーブの嵐へと巻き込んでいく。
「それでは、またお会いしましょう」という吉井の言葉とともに、この日のライブの、そして“シーズン2”の最後を飾った楽曲は「WELCOME TO MY DOGHOUSE」だった。荒野を思わせる長いイントロの後、吉井が口にしたフレーズ「普通の野良犬に戻ります」──2001年1月8日、解散前ラストライブ=東京ドーム公演の最後にも、彼らは同じ言葉とともに「WELCOME TO MY DOGHOUSE」を演奏していた。だが、20年前と決定的に異なるのは、この日THE YELLOW MONKEYが鳴らしていた音には、いつの日かの“再会”への約束が、確かな希望として息づいていたことだ。
こうして“シーズン2”の活動を終えたTHE YELLOW MONKEY。<30th Anniversary LIVE -BUDOKAN SPECIAL->は2021年1月11日(月・祝)23:59までアーカイブ配信の視聴が可能となっている(※配信チケットの券種によって視聴期間が異なります)。
また、2021年2月3日(水)には実に20年ぶりとなるライブアルバム『Live Loud』がリリースされる。2019年12月28日・ナゴヤドーム、2020年2月11日・京セラドーム、2020年11月3日・東京ドームの3公演の全48曲・79テイクの中から、ファン投票をもとに収録楽曲がセレクトされた『Live Loud』。通常盤はリード曲中心の15曲を収録。初回盤には2枚組・27曲に及ぶ選曲に加え、ボーナストラックとして2017年の福岡ヤフオク!ドーム(現PayPayドーム)公演からのテイクも収録されている。
文◎高橋智樹
撮影◎横山マサト
(※2020年12月29日追記:記事内容を一部修正いたしました)
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■<30th Anniversary LIVE-BUDOKAN SPECIAL->2020年12月28日(月)東京・日本武道館 セットリスト
02. Subjective Late Show
03. Chelsea Girl
04. FAIRY LAND
05. Tactics
06. VERMILION HANDS
07. Changes Far Away
08. 審美眼ブギ
09. Foxy Blue Love
10. SLEEPLESS IMAGINATION
11. PENITENT
12. ロザーナ
13. "I"
14. バラ色の日々
15. SUCK OF LIFE
16. Father
17. 未来はみないで
18. アバンギャルドで行こうよ
19. Romantist Taste
20. 悲しきASIAN BOY
21. WELCOME TO MY DOGHOUSE
ライブアルバム『Live Loud』
■通常盤(1CD)全15曲
WPCL-13271 ¥2,800+税
■初回盤(2CD)全27曲+ボーナストラック1曲
WPCL-13269/70 ¥3,000+税
予約リンク: https://tym.lnk.to/LiveLoud
Disc1(通常盤/初回盤共通):
1. ALRIGHT -Nagoya Dome, 2019.12.28-
2. SPARK -Nagoya Dome, 2019.12.28-
3. 太陽が燃えている -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
4. 砂の塔 -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
5. 追憶のマーメイド -Nagoya Dome, 2019.12.28-
6. 楽園 -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
7. パール -Tokyo Dome, 2020.11.3-
8. 天道虫 -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
9. BURN -Nagoya Dome, 2019.12.28-
10. LOVE LOVE SHOW -Nagoya Dome, 2019.12.28-
11. バラ色の日々 -Tokyo Dome, 2020.11.3-
12. SUCK OF LIFE -Nagoya Dome, 2019.12.28-
13. JAM -Tokyo Dome, 2020.11.3-
14. プライマル。-Tokyo Dome, 2020.11.3-
15. 未来はみないで -Tokyo Dome, 2020.11.3-
Disc2(初回盤のみ収録):
1. 真珠色の革命時代〜Pearl Light Of Revolution〜 -Tokyo Dome, 2020.11.3-
2. Romantist Taste -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
3. Balloon Balloon -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
4. MOONLIGHT DRIVE -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
5. LOVERS ON BACKSTREET -Nagoya Dome, 2019.12.28-
6. SLEEPLESS IMAGINATION -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
7. Four Seasons -Kyocera Dome Osaka, 2020.2.11-
8. 熱帯夜 -Tokyo Dome, 2020.11.3-
9. “I” -Nagoya Dome, 2019.12.28-
10. Horizon -Nagoya Dome, 2019.12.28-
11. Father -Nagoya Dome, 2019.12.28-
12. 悲しきASIAN BOY -Nagoya Dome, 2019.12.28-
Bonus Track. Wedding Dress〜マリーにくちづけ -Fukuoka Yafuoku! Dome, 2017.12.28-
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