【ライブレポート】ニノミヤユイ、初ワンマンを無観客生配信「辛いときはぜひわたしのところへ来て下さい」

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ニノミヤユイが7月17日(金)、初のワンマンライブ<愛とか死、或いは名もない感情からの逃避>を、無観客生配信にて開催した。オフィシャルから届いたレポートを掲載する。

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2020年1月15日にアーティストデビューを果たしたニノミヤユイ。欅坂46の「サイレントマジョリティー」や「不協和音」で知られるバグベアをはじめ、カノエラナ・佐伯youthK・新羅慎二 (湘南乃風:若旦那)・佐藤純一 (fhána)ら気鋭のクリエイターが参加して制作されたデビューアルバム『愛とか感情』では、等身大ながらドラマティックな楽曲に、想いの宿るエモーショナルな歌声を乗せ、その表現力の豊かさと共に彼女の持つ“陰影”を強く感じさせた。

そんなデビューアルバム『愛とか感情』を引っ提げた1st LIVE<愛とか死、或いは名もない感情からの逃避>は当初3月に行われる予定だったが、コロナ禍という未曾有の事態によって、止むなく延期となっていた。そんな待望の1st LIVEが4カ月の時を経て、無観客配信LIVEという形に姿を変え、ついに決行となった。



配信画面には「まもなくライブが開始されます」の文字。その頃、観客のいないフロアではライブ開始へのカウントダウンが始まった。【愛とか死、或いは名もない感情からの逃避】と名付けられたライブは、疾走する鋭利な音とピアノの音色によるSEから幕を開けた。「楽しみ!」「待ってました」など画面上にオーディエンスの熱あるコメントが刻まれていく中、青い光を帯びたステージの真ん中にニノミヤユイが立つと、激しい感情を思わせるイントロが鳴り、「私だけの、革命。」がライブのスタートを告げた。fhanaの佐藤純一が手掛けた楽曲にニノミヤ本人が言葉を綴った一曲だ。情感を響かせるピアノロックに乗る、日常の中でもがく主人公の想い。それを画面の向こうにいるリスナーへ全力で放つように歌い上げるニノミヤの姿が鮮烈に刻まれる。続けてカノエラナが手掛けた大人な雰囲気のジャズナンバー「ヤミノニヲイ」へ。スウィングするビートとビッグバンドが鳴らすような軽快な音に身体を揺らしながらも甘く艶のある歌声を聴かせると、画面の中では蝶の舞うエフェクトが。配信ライブならではの演出が、楽曲の魅力をより深めていく。ここでガラリとライブの空気を変えたのは3曲目の「乱反射↘↑↗」。バグベアが手掛ける楽曲に、彼らとニノミヤ本人が共作した歌詞が映える珠玉チューン。音の粒子が瞬くようなエモーショナルな旋律に、陰キャで目立たない自分でも逆転劇へと気持ちを繋いでいくのだ、という想いが滲むナンバーだ。聴く者の背中をただ押すのではなく、一緒に踏み出そうというメッセージを感じさせる。そんな「乱反射↘↑↗」を歌い切ると、ステージから姿を消すニノミヤ。無人のステージ中央にスポットライトが当たると、ニノミヤの声だけが流れ出す。それはポエトリーリーディングによるMCだった。





“恋って不思議だ”というセリフから始まる語り。“いろんな形があって人によって違うが、人の心を乱す力があるのだ”“恋をしていると人は強くなり、輝いていく。嫉妬や悲しみや不安に覆われることだってあるけれど、そこで見える本音が人間的である”と続けると、“そしてステージから見える景色は恋そのものだ”と語ったところで、声が上ずる。“だからわたしもみなさんの恋になりたい”と結ぶ言葉に導かれるように、柔らかなポップチューン「Lemon Gelato」が響き出す。睦月周平の手による楽曲にミズノゲンキとeNuが歌詞を乗せたキュートなナンバーを、等身大の少女らしさが詰まった甘い歌声で聴かせていく。序盤のクールな表情とはまた違った彼女の魅力を知ることになった。その柔らかな音が途切れると、ステージに座り込んだニノミヤ。響き出したのは「呪いを背負って生きたいよ。」だ。この曲では画面に歌詞が刻まれていく。ケンカイヨシと國土佳音が手掛けたテクノポップチューンの軽快かつドラマティックな世界観を、配信ならではの演出でより色濃く魅せた。そんな楽曲に続いたのは新羅慎二の手掛けた「あどけなさも私の武器にする」だ。80年代歌謡曲のテイストを感じさせる一曲は、少女から大人の女性に変化していくような無垢さと危うさとを思わせる。そしてライブは再びポエトリーリーディングのMCパートへ。

「自分自身を愛せない私」のことを、静かに語りだす。彼女が歌を届けたい相手は自分自身であり、弱い自分と向き合う貴方なのだ、とニノミヤユイが歌う理由を感じさせた。





「本当の自分って何ですか?」。最後に結ばれた言葉から幕を開けたのは8月19日発売の新曲「つらぬいて憂鬱」だ。Tom-H@ckとhotaruというMYTH&ROIDのコンビが作り上げたこのアッパーなピアノロックチューンは、ニノミヤが声優・二ノ宮ゆいとして出演しているTVアニメ「ピーター・グリルと賢者の時間」のオープニングを飾る軽快なナンバー。楽曲の展開が変わるごとに歌のスタイルもくるくると変化するような、一筋縄ではいかないけれど聴けば聴くほど味が出るスルメソング!彼女の新境地を感じさせる一曲に画面の向こうのリスナーもコメントに熱が入る。そんな興奮冷めやらぬままに鳴りだした「安心to the 安全」のイントロに、配信を観ているオーディエンスのテンションは一気に上昇。アルバムの中でも人気の高いこの楽曲は、佐伯youthKが手掛け、マシンガンのように言葉が詰め込まれたアッパーチューン。画面の向こうからファンの声が聞こえてくるようだ。ニノミヤがカメラの前まで来て視線を合わせ、その先にいる観客を煽り、マイクを向けて一緒に歌うように見せれば、画面には「ラッタッターララッタッタラー」の文字が!配信を見ている人たちがひとつになった瞬間だった。そのままの勢いでライブはクライマックスへと進んでいく。次なる一曲は「わたしを離さないで」。ロックバンド・DOESの氏原ワタルが手掛けた熱いロックンロールナンバーで、感情剥き出しのボーカルを聴かせるニノミヤユイ。熱が迸るパフォーマンスで魅せた。





再び無人のステージにスポットライトが当たるとMCパート。「自分がこの世で一番嫌い」。そんなセリフが口癖になった少女が、自分の夢を見つけていく様が、赤裸々に紡がれていく。「少女は消えない不安を、哀しみを、痛みを音楽に変えて。少しでも自分を愛せる自分になるために、自分の本音に耳を傾けて。今も暗闇で苦しんでいる貴方へ届くように」と語ると、その先に待っていたのは優しい音に彩られた一曲「光なくても」。陽光のようなボーカルが印象的なミディアムチューンを情感たっぷりに歌うニノミヤユイ。自分が歌うことの理由を、ニノミヤユイ自身の素直な言葉で綴ったこの楽曲。不器用でも想いを届けようと、一歩一歩前へと進む力強さが宿る。







「今日は配信ライブを観て頂き、ありがとうございます。3月にやる予定だったライブが一度、延期になって。延期公演も配信という形になってしまったのですが、このようにみなさんに歌を届けられたことがとても幸せだと思います。わたしは曲の歌詞にもあるようにすごくネガティヴで、全然自分に自信がなくて。なんでわたしはこんななんだろう、とか、このまま消えてしまえればいいのに、と思ってしまうんですが、でもそういう人たちはすごくたくさんいると思っているので。その人たちに“一人じゃないよ”と声を掛けていくような音楽を、これからも届けていきたいと思っています。今、辛い人たちへ。わたしはずっと歌い続けるので、その歌を聴いてくれたら嬉しいなと思います。辛いときはぜひわたしのところへ来て下さい。待っています」

最後はマイクを握り、カメラを見つめて自分の気持ちを伝えるニノミヤ。その言葉の終わりにラストナンバー「愛とか感情」へ。イントロからファンの「オイ!オイ!」という掛け声が聞こえてくるような感覚。無人のはずフロアに、多くの観客が体を揺らしているかのような熱が宿っている。彼女の象徴とも言えるこの曲で、ドラマティックなまでに尖った感情が縦横無尽に駆け巡り、初めてのワンマンライブを決して色褪せることのない鮮烈な時間として刻み付けた。

配信ならではの工夫と演出で、今のニノミヤユイが詰め込まれた1st LIVEは幕を閉じた。





Text by えびさわなち

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<セットリスト>
1.私だけの、革命。
2.ヤミノニヲイ 
3.乱反射↘︎↑↗︎
4.Lemon Gelato
5.呪いを背負って生きたいよ。
6.あどけなさも私の武器にする
7.つらぬいて憂鬱
8.安心 to the 安全  
9.私を離さないで
10.光なくても
11.愛とか感情 

■1stシングル「つらぬいて憂鬱」

2020年8月19日(水)発売
LACM-24011 1,200円+税

[収録内容]
1.つらぬいて憂鬱
作詞:hotaru(TaWaRa) 作曲:Tom-H@ck(TaWaRa) 編曲:Tom-H@ck(TaWaRa),KanadeYUK(TaWaRa)
2.re:flection
作詞:ニノミヤユイ 作曲・編曲:タナカ零
3.つらぬいて憂鬱(Instrumental)
4.re:flection(Instrumental)

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