【インタビュー】10-FEET、NAOKIが語るコロナ禍とライブと葛藤「音楽とは常に一緒にいました」
■新曲のひとつはザックリ言ってしまうと
■10-FEETがやってそうでやってなかったもの
──それぐらいこだわって、それぞれがセットリスト案を出しているわけですか。
NAOKI:はい。ツアーのセットリストは特にそうですね。たとえば、ロングツアーになると、ライブ後に話したりすることによって、少しずつセットリストの流れが固まってきたりするんです。ある程度、いい感じになってきた頃に、一度、その流れを崩してみたり。基本的に同じセットリストにはしないように、3人とも常に考えているんで。こういう流れのほうがこんな空気になるだろうから、いいやろうなとか。そういう感覚で選ぶ曲と、演っていて自分のテンションが上がる曲は完全に別ですね、僕は。
──だいたいステージで回転している曲はテンション高い。そのバロメーターだと思ってますけど(笑)。
NAOKI:それもありますね。回転できないぐらい狭いライブ会場のときもありますけど(笑)。いち個人として“これはテンション上がる”って曲はやっぱりあって。今回Blu-ray化されたもので、一番新しい映像作品が<"thread" TOUR 2012-2013>ですよね。「JUNGLES」は僕、けっこうテンション上がってました。Aメロやスカの部分でベースがランニングしたり、Bメロは気持ちいいキーだから声を張って歌えるとか。そういうことで気持ちが入りやすかったりするんです。KOUICHIが言った「蜃気楼」も感情が入りやすいし、「その向こうへ」もそうです。「その向こうへ」はキャパ300人前後のライブハウスでやると、本当にテンションが上がる。お客さんもノリが荒々しいんで、そのぶつかり合ってる感じにこっちもテンションが上がって、気持ちが入りやすい。
──今はライブ活動も自粛中で、すでに前回のステージから4ヵ月半くらいが経ちます。それぐらい時間が経つと、どこか懐かしさめいたものが出てきたり、いろいろ思うところもありますか?
NAOKI:今回の映像を冷静に観たとき、“こういう感じでライブをやれるときが戻ってくるのかな”って考えることがあります。僕らのジャンルは、世間一般では特殊やと思うんですね。人と人がぶつかりあって、人が人の上に乗っかって。昔、<京都大作戦>でLINDBERGの渡瀬マキさんがビックリしていましたからね、「人が人の上に乗ってたけど、あれなに!?」って(笑)。それが多分、普通の人のリアクションだと思う。でも僕らは、自分らがバンドを始める前からそういうシーンで育ってきているじゃないですか。今後徐々にライブができるようにはなっていくんやろうけど、“こういう状況に戻れるのかな、ただ演奏するだけというよりは感情のぶつかり合いみたいなライブができるのかな”って。でも、こればっかりはわからないですよね…。こういうことが起きるなんて想像したこともなかったんで。
──ご自身のバンドに対する思いも変わってきたりしますか?
NAOKI:昔から常に葛藤しながら続けてきて、うまいこといかへんこともあった。でも、今のような状況になって、お客さんも感情むき出しの状態で熱量の高いライブができていたのは、やりたいことできていたってことやろうなって感じるようになりました。今、ライブハウスだと、ソーシャルディスタンスを考えながら、フェイスシールドを付けたり、ステージと客席の間を透明のビニールで仕切ったり、アコースティックで着席スタイルでしたりしてますよね。僕はもともとそこを目指してやってはいなかったんですが、こういう状況をきっかけに、新しい発見を見出さなあかんのかなとか。現状、今までどおりにライブができない。だからやり方はいろいろ考えなきゃあかんやろうしね。この映像に収録されてるライブシーンなんか、飛沫だらけやし(笑)。ライブ後に酸欠でぶっ倒れて、何分か動けへんとか(笑)。
▲<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->@京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ |
NAOKI:口で説明すんの、めっちゃムズいっすよね。ザックリ言ってしまうと、10-FEETがやってそうでやってなかったこと。新しいっていうひと言とも違って、僕は新し過ぎてもダメやと思っているんです。たとえば、“10-FEETじゃないやん”ってくらい新しい方向に行っちゃったら難しい。10-FEETがやっていてもおかしくないねんけど、でも実はこういうことやってなかったよねってところかな、新曲のひとつは。意外とやってないね、みたいな。
──偶然にもKOUICHI先生も同じこと言ってましたよ。
NAOKI:ほんまですか? ヤバいっすね(笑)。
──呼吸が合ってる!
NAOKI:ほんまですね(笑)。アレンジは今までどおり、けっこう追い込まれながらやってるパターンで。でも、“今さらかよ”っていう発見が個人的にはありました(笑)。“こういうアレンジのほうがすごくいいフレーズが出てきやすい”って、ふわっと、ようやく気づいたのはありますね。なぜ今までこのやり方ができていなかったんだと。個人的にアレンジのやり方を変えたというか。アイデアも沸きやすくなりました。
──そこはDUTTCHからの“リズム隊繋ぎ”で鍛えられたから(笑)?
NAOKI:かもしれない。自粛期間だったけど、音楽とは常に一緒にいましたから。これだけ家から出ないことは今までなかったんで、時間ができたことが良かったのかもしれないですね。
──10-FEETの新しい音楽と向き合っていると、自分のモチベーションも自然と高くなりますか?
NAOKI:モチベーションは上がってますし、最近、新しいベースを買って、それでモチベーションが上がったというのもあります。
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