【インタビュー】10-FEET、NAOKIが語るコロナ禍とライブと葛藤「音楽とは常に一緒にいました」

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■すごく悔しい思いもしていたんで
■そういう思いも詰まった映像作品です

──自粛期間中に10-FEETはYouTubeでライブ映像『OF THE KIDS, BY THE KIDS, FOR THE KIDS!』シリーズを、それぞれ期間限定で公開していました。その1~6をBlu-ray化してコンプリートした映像作品『OF THE KIDS, BY THE KIDS, FOR THE KIDS! I〜VI -Complete Edition-』と、それぞれをBlu-ray化したものが、8月26日に正式発売されることになりました。

NAOKI:はい。当然、内容も覚えてますし、どういう感じのライブやツアーだったかもハッキリ覚えてますよ。でも自粛期間中に改めて全部を観ようという感じにはなれなかったです、ちょっと恥ずかしいって気持ちが強かったので(笑)。ただ、SNSとかでもいろいろ反響があったりしたから、チラッと観たりはしましたけど。別人過ぎて、自分で恥ずかしくなりましたね。若過ぎる(笑)。

──バンド初期から現在までのヒストリー的な側面もある作品です。改めて20代の頃を振り返ってみましょうか?

NAOKI:『I』をリリースしたのが2004年ですもんね。16年前なんで、僕は27歳やったかな。

▲<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->@京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ

──全国ツアーにはお客さんもどんどん観に来るようになっていて、完全に人気バンドですよ、当時から。

NAOKI:いや、当時というか今もこの感覚が続いているんですけど、“バンドの人気が出たぜ”って調子に乗るような実感ってこれまでずっとないんですよ。結果、それが良かったんだと思うんです。“急にパーンと売れたら天狗になる人がいる”とかいう話をよく聞くじゃないですか。でも僕はそうなれるほどの自信もなかった。もっとすごい人たちが周りにいたからなんかな。

──常に、もっと上を目指したいという向上意欲の塊なんですか?

NAOKI:多分、それもあると思うんですけど、なんやろう…。これは性格なのかわからないですけど、満足してしまったら終わりなんやろうなっていう感覚は常にあります。だからずっと満足をしていない、そのときそのときの状況に。ただ、27歳ってまだまだ若いんで、良くも悪くもギスギスしていたと思います。状況がいろいろ変わったので、頭の中でいろいろ整理がついていなかった時期やったと思います。

──それで余計に尖ってみたり?

NAOKI:そういうこともあったと思いますね、あの頃は。今考えると、27歳といったらそこそこ年齢がいってるほうですよね? 20代前半で人気がバーッと出ているバンドもいますから。

──この前、ROTTENGRAFFTYと話したんですよ。彼らが結成したのは20代半ばだったから、“これで最後にしよう”って覚悟を決めていたみたいなんです。地元の10-FEETがグイグイいってるのを、内心、喜んで観ていられなかったと。ライバルというより仮想敵ぐらいに意識していたところもあったらしくて。

NAOKI:ROTTENGRAFFTYとはお互いの近況も常に報告し合っていた仲で。ROTTENGRAFFTYがええ感じのライブしていたり、ええ状況になっていたりしていたら、嬉しい反面、ちょっと悔しいみたいな。ROTTENGRAFFTYに対しては昔からずっとそうですね。

▲<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->@京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ

──先輩はもちろん、同世代には競い合う仲間がいたから、常に満足できない自分がいつもいたみたいな?

NAOKI:そうですね。あの時代、周りにはELLEGARDENがいたり、マキシマム ザ ホルモンもいて、そこですごく悔しい思いもしていたんで。そういう思いが詰まった映像作品だと思います。『I』はSHIBUYA-AXと日比谷野音ワンマンの模様が収録された映像作品ですよね? 多分、野音でワンマンしたのはその1回だけです。長いこと行けてないですけど、あの会場、僕は好きなんですよ。オフィス街の中に野外の会場があるっていうのが。ステージからパッと見たら、ビルの中から会社の人たちがこっちを見てたり。すごい不思議な光景。

──春は桜もすごいですよ、野音は。

NAOKI:桜か〜、いいですね。あと振り返って思うのは、若いときのほうがいろんなことやりたかったというか。チョンマゲの断髪式(『OF THE KIDS, BY THE KIDS, FOR THE KIDS! III』)とか、ワケわからん模様も収録されていたり(笑)。意味がわからん。

──そんなこと言って、つい数年前も舞妓さん姿でミュージックビデオを撮影したじゃないですか(笑)。

NAOKI:やりました(笑)。ほんまっすね、若いときだけじゃなくて、最近もか。ああいうのをやっている瞬間、めちゃくちゃテンション上がりますもん(笑)。


──これまで10-FEETは曲を相当作ってきました。今回の作品でもかなりの曲を楽しめます。NAOKIがもしセットリストを組むなら、まず入れたい曲、特に思い入れある曲は?

NAOKI:時期によっても、いろいろだからなー。

──KOUICHI先生は「蜃気楼」と言ってました。

NAOKI:ああー、セットリストはいつも、僕らのグループLINEで決めるんですけど、どうしてもこの曲を入れたいんやろうなって空気が伝わってくるんですよ。KOUICHIが「蜃気楼」と言うのも、そうやろうなと思いますもん。なんとなく分かります。セットリストは毎回、時間が掛かりますね。「ここはこうしたかってん」「でもそうじゃなくて」とか、そういうやり取りをずっとLINEでしたり。時期によっては険悪な空気になったりとか(笑)。

──セットリストがきっかけで?

NAOKI:全然ありますよ。

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