Hiroのもいもいフィンランドvol.78「Pate Mustajärvi1曲丸々日本語の「俺の兄アントン」リリース」
フィンランドのベテランバンドPopeda(ポぺダ)のフロントマンPate Mustajärvi(パテ・ムスタヤルヴィ)から1曲丸々日本語の「俺の兄アントン」がリリースになりました!日本ではあまりおなじみではないと思いますが、フィンランドでPopedaを知らない人はいないだろうというぐらい誰もが知ってる庶民的な人気バンドです。そしてPopedaといえばPateというぐらい、誰もが知っているシンガーです。彼のバンドPopedaには元Hanoi RocksのCostello(コステロ)とLacu(ラク)がいるので、Hanoi Rocksファンにはおなじみかもしれませんが。元々Hanoi Rocksのファンで、フィンランドにPopedaを見に来ていた友達伝いに歌詞を和訳してくれる人を探してるという話がまわってきました。
ということで、歌詞の和訳を引き受けたものの、楽譜がよめない私は和訳を歌に合わすことができませんでした。そこに救世主が現れました。聖飢魔IIのジェイル大橋代官でも知られる日本のミュージッシャンTakashi O'Hashi(大橋隆志)さんが、その和訳を元に歌に仕上げてくれました。出来上がった曲を聴いてみると、さすがですね。字余り的な部分もあった和訳が曲にぴったりアレンジされて素晴らしい出来上がりになっててちょっと感動してしまいました。
この日本語の曲「俺の兄アントン」の原曲は「Veljeni Anton」で、昨年発売になったPate Mustajärviのソロアルバム『Teillä oli nimet, ja kerran te kuljitte täällä』に収録されてますが、日本語ヴァージョンはLPレコードのみ収録でした。ところがこの曲がシングルとしてリリースされることになった話を聞いて、これはぜひ紹介したいと思い、メールインタビューに応じてもらえました。
──日本の読者に自己紹介をお願いします。
Pate:俺の名前はPate Mustajärvi(パテ・ムスタヤルヴィ)でこの40年間シンガーとして、パフォーマーとして自分を養ってきた。ソロシンガーとして活動している他、1977年に結成されたバンドPopedaでも活動を続けている。
──フィンランド語の「Veljeni Anton」を丸々日本語で歌ったのはびっくりでした。これは誰のアイデアだったのですか?
Pate:それは去年秋に発売になった2枚組LPレコードに収録するボーナストラックを考えていた時、純粋にそのアイデアを出した俺のパートナーを責めてくれたらいい。彼女は以前日本に住んで仕事をしていたこともあるんだ。
──出来上がった日本語ヴァージョンの「俺の兄アントン」をきいてびっくりしました。もちろんフィンランド語のアクセントはあるものの、想像以上にうまく歌えていると思います。1曲丸々よく知らない外国語の日本語で歌うのは難しかったと思うのですが、どうやって歌い上げることができたのですか?
Pate:それはギタリストTakashi "Jam" O'Hashi に感謝する。彼がHiromi Useniusの訳した歌詞を元に韻を踏ませMP3で歌詞を聴けるように送ってくれ、さらに歌詞が読めるようにローマ字にもしてくれた。3日間イヤホンでそれを聴きながら庭をぐるぐる歩き回って歌詞を覚えた。日本人のファンからこの曲を聴いて感動して涙が出たという感想も届いたので、そのスケジュールでうまくいったと思う。
──では日本と聞いて一番に思い浮かぶことは?
Pate:黒澤明の映画だ。俺が思うに日本とフィンランドってたくさん共通点があるように感じるな。いくつかのライブを観に毎年フィンランドにきてくれる日本人のPopedaファンもいて、フィンランド語を勉強までしてくれている。それからもちろん寿司も好きだよ。
──この日本語ヴァージョン「俺の兄アントン」がシングルでリリースになると聞きました。ライブで歌う可能性はありますか?
Pate:少なくてもフィンランドではないな(笑)。
──日本に行ったことはありますか?
Peta:これまでに行ったことはない。
──では将来日本にいった時どこに行きたいですか?
Pate:温泉に行きたいな。それから古い歴史のある京都に行きたい。歴史と文化にはずっと興味を持っているよ。
──最後に読者にメッセージをもらえますか?
Pate:ここ遠く離れたフィンランドからこんにちは!フィンランド語が外国人に難しいのと同じように、俺の曲を君たちの国の言葉で歌うのはとても大きなチャレンジで難しかった。君たちの素晴らしい文化と言葉に誇りを持っていてほしい。すべてがいい方向に向かうことを祈ってる。kiotskette-ne(気を付けてね)!
この日本語ヴァージョンの和訳を歌えるようにアレンジ、指導してくださったTakashi O'Hashiさんにも話をうかがいました。
──どういういきさつでこの曲の和訳をアレンジする話が来たのでしょうか?
Takashi O'Hashi:フィンランドにいる、古くからの友人から「やって欲しいことがある」と連絡がありました。
──この曲以前にフィンランド語の曲を聴かれたことはありますか?
Takashi O'Hashi:多分ないと思う。
──歌詞がフィンランド語には関係なくおなじみなフィンランドのバンドやアーティストはいますか?
Takashi O'Hashi:Hanoi Rockはよく聴きました。またギターのナスティーとは会って話したこともあるし、ナスティーのバンドメンバーだったTimo Caltio(G)とはイギリスで一緒にライブをやったこともあります。
──新型コロナでツアーの延期やキャンセルが相次いでますが、何か決まっているO'Hashiさんご自身の今年の予定はありますか?
Takashi O'Hashi:僕も3~5月のソロツアー19本をキャンセルにしました。とても残念でしたが、お客さんや関わる全員の安全のためには仕方のないことです。僕は今年でデビューして35年になります。僕がJAIL大橋としてデビューしたグループ、聖飢魔IIが再集結し、2020年10月から2021年3月まで35周年のツアーを行います。
とのことです。そのうちどこかで2人が共演して、この曲をデュエットなんてどうかしら?とふと思いました。
このPate Mustajärviが日本語で歌う「俺の兄アントン」こちら「Spotify」(https://open.spotify.com/album/0IjA7NM3Wgmd5VnCL6b4ag )で聴けます。ぜひ聴いてみてください。なんとなくボサノバっぽくてフィンランド語なまりがなんだかとってもほっこりきます。
アーティスト写真:l.Harri Hinkka
文:Hiromi Usenius
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