【対談】優(BugLug)×咲(甘い暴力)、「せめぎ合いがお互いの良さを高め合う」
■お客さんのためにやりだしたら、バンドってマジで終わるから──優
咲:優さんはずっとリーダーをやっているんですか。
優:いや、ずっとじゃないよ。バンドが1回ぐちゃぐちゃになりかけた時に、やっぱり大人とバンドの架け橋になる人間をわかりやすくつくらないとダメだって思って、俺がリーダーって言ったほうがやりやすい時期があっただけ。
咲:バンドのおおまかな動きとか、マインドのコントロールを優さんが主導しているってわけではなくて?
優:基本的に音楽面とかバンドの本質部分は、完全に一聖が持ってる。一聖が持ってきたものをみんなで話して、それを広げるためにどうしていこうとか、こうしたらおもしろいんじゃないか、っていろんな仕掛けを作っていくのが俺って感じ。
咲:あと、今までどうやってそういう危機とか苦難を乗り越えてきたのかを、ぜひお聞きしたいなと思ってたんです。
優:BugLugって、ほんとに喧嘩しないバンドなの。お互いがイヤなこと、曲作っててそれは違うんじゃないって思うことがあっても、全員がふてくされて終わるから(笑)。で、そのままうやむやになるんだけど、そのうまいガス抜きが、すごくシンプルに、やっぱり酒飲みにいくことだったね。だんだん地方でホテルの部屋がシングルになったり、移動も別々になってきちゃうことが増えていって、これダメだと思って、1回ツアー中に飯行こう!って機会を作るようにしたら、ちょっとずつ変わったんだよね。メンバーとは仲いい?
咲:自分たちも仲いいです。ケンカもないことはないんですけど、嫌いになるとかはほんとになくて。
優:そうだね。要は、尊敬し合えなくなったら終わりだから。今何年目?
咲:去年の12月でまる3年になります。3の倍数の数字はいろいろあるって聞くんですけど……。
優:まだ全然大丈夫でしょ(笑)。
咲:ははは。でも、バンドとお客さんの関係性も同じかなと思ってて。絶対お客さんに甘えちゃいけないなって思います。
優:ほんとそうだよ。これは俺らの手の内を明かすみたいになっちゃうけど、お客さんのためにやりだしたら、バンドってマジで終わるから。やっぱり自分たちがお客さんに対して、これやったらおもしろいだろうって提供する立場じゃないと。肝に銘じておこうね、お互い(笑)。
咲:ははは。
優:だから、それは違うんじゃない?って思うこととかあったら、全然言ってほしい。BugLugさん、こないだのあれショボいっすよ、とか言われたいもんね(笑)。でも、甘暴はどうやってファンとコミュニケーションを取ってるの?
咲:なんも取ってないです(笑)。
優:だよね(笑)。
咲:ライブでの言葉の投げかけだけですね。
優:うん、それでいいと思う。ファンの声ってすごく大事だと思うし、俺は聞きたいなと思うタイプだけど、それに左右されたらダメよ。
咲:難しいところですよね。優しさを見せたらいけない瞬間も絶対あるんで、そういうところは、今後よりテーマにしていこうと思います。
──深いお話になっていますが、咲さんはこういう話を公の場でするのは初めてですか?
咲:初めてですね。だいぶ話せました。最初、どうしたらいいんかなって思ってたんですよ。ちょっと猫かぶって「全部適当っすよ~」みたいな感じでいこうかなとか(笑)。
優:キャラ作ってね(笑)。
咲:でも、大先輩なんで。腹割って話しました。
優:いやいや、俺は同期のつもりでいるし、ライバルだと思ってるからね。たとえば<均整を乱す抗うは四拍子>って知ってる?
咲:もちろん知ってます!
優:その世代以降のバンドってあんまりいなくて。俺らも結局同じメンツとばっかり対バンしててもなんの刺激もないし、そりゃダメになるよなって思ってたところに、やっといいバンドが出てきたなと。
咲:それこそ<四拍子>の難波HATCH公演も観に行ってましたし、BugLugさんの武道館も観に行ったりしてましたから。甘い暴力を組んだところくらいで、先輩からちょっとでも盗めるところと、ひっくり返せるところがないかな、隙ないかなって思って観てました。
優:いいねえ。俺が咲くんの立場だったら、普通にBugLugなんか絶対潰したろ、って思ってるもん(笑)。何か仕掛けられたら、相乗効果でそれに負けじとBugLugも仕掛けるだろうし。そういうせめぎ合いがお互いの良さを高め合うわけじゃない。
咲:ただ、潰してやるって気持ちが1個もないって言ったら嘘になるんですけど、行ったれー!みたいな気持ちはほんまにないですね。いちばん大事なのは、やっぱりお客さんなので。
優:ああ、やっぱヴォーカルだね。一聖も同じこと言うもん。俺は結構数字とかで見て、どうやって取ってやろうって思うんだけど、一聖はやっぱりお客さんに向けてやるって言ってたから。それと同時に、アーティスト性のない俺の悲しいところが出たよね(笑)。
咲:いやいや、もちろん数字も大事になってくるので。でも、対バンで反応がわるいお客さんがいても、そこに対して苛立ちを覚えてはダメだなって思います。結局、いいものを提供できたら、お客さんって自然と体でノってくれると思うんで。
優:……今、ほんとに情けなくなった。俺、対バンでノってない人とか見ると、ずっと睨んでるから(笑)。情けねえなって。
咲:ははは! でも気持ちはめっちゃわかりますよ(笑)。
優:それをまだ俺超えれてないんだわ。勉強になります(笑)。マジでありがとう。
咲:いやいやいや……全然もう、言うだけはいくらでも言えるんで。
優:本質は絶対一緒だからね。作り手が提供して、お客さんがそれをいいと思ってくれて心打たれるっていう、それはどのジャンルでも、音楽があるあり続ける限り変わらないんだよ。自分が悪目立ちしてでも、人がやってないこと、自分たちにしかやれないことをやっていくのがバンドだと思うしね。それについてきてくれる人を増やしていくだけだから。
咲:ほんとに思います。生き様というか。
優:そうそう。動員が増えていくバンドって、生き様がかっこいいんだと思う。
咲:今の時代、ロックの定義も変わってきてる気がして。酒飲みまくったりとか、タバコ吸いながら歌ってるのがかっこいいみたいな価値観ってもうないと思うんですよね。
優:10年後20年後は、酒飲まないタバコも吸わないって真面目なやつがどんどんシーンに増えていって、それが正解になってくると思う。でも、そこまでいったら、また酒飲んでタバコ吸ってみたいなのが出てくると思う(笑)。そういう環境になったら逆にやるでしょ?
咲:ははは。今はとにかく、バンドとして突き詰めていきたいですね。単純に歌もうまくなりたいですし、もっといい歌詞書けるようになりたいし、もっとライブのパフォーマンスも良くしたくて、トレーニングもめっちゃします。
優:ストイック系だ。
咲:そこを見てくれたら、ナメた目で見てる人も変わってくるのかなって。これは自分の夢なんですけど、そこは目指していきたいですね。
優:じゃあお酒はあんま飲まないの?
咲:お酒はちょくちょく飲みます(笑)。
優:ははは。じゃあ飲みに行こうよ。絶対楽しいと思う、そのストイック話。
咲:はい、是非!
取材・文◎後藤寛子
写真◎大塚秀美
<BugLug 10th Anniversary「Que Sera Sera」>
2020年3月23日(月) KYOTO MUSE
※ゲスト:DEZERT
2020年3月25日(水) FUKUOKA BEAT STATION
※ゲスト:RAZOR
2020年3月27日(金) 高松DIME
※ゲスト:RAZOR
2020年3月29日(日) 岡山YEBISU YA PRO
※ゲスト:甘い暴力
2020年4月03日(金) 仙台darwin
※ゲスト:DEZERT
2020年4月11日(土) UMEDA TRAD
※ゲスト:アリス九號.
<ASOVIVA – from 1 to 10 ->
1部:BugLug THE MOVIE- from 1 to 10 -上映
開場 15:45 / 開演 16:30
2部:ASOVIVA from 1 to 10 Live
開場 17:30 / 開演 18:00
[チケット]
・VIP ※SOLD OUT
¥13,000(税込)
※ASOVIP限定
・着席V.I.P ※SOLD OUT
¥11,000(税込)
※ASOVIP限定
・レギュラー
¥6,900(税込)
※1部・2部、両方ご覧いただけます。
・ライブオンリー
¥5,900(税込)
※2部のみご覧いただけます。
・新人さんいらっしゃ~いエリア
¥3,000(税込)
※2部のみご参加いただけます。
※後方席。
[一般先行]
受付期間 2月29日(土)12:00~3月22日(日)23:59
(問)NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)
BugLug ニューシングル「カラクリリック」
【初回盤A】RSCD-327/328 (CD+DVD) ¥1,800+税
【初回盤B】RSCD-329/330 (CD+DVD) ¥1,800+税
【通常盤】 RSCD-331 (CD) ¥1,500+税
<甘い暴力プレゼンツ『私の方が、君を幸せにできるのに。』>
2020年4月13日(月)渋谷TSUTAYA O-WEST
2020年4月24日(金)名古屋ell.FITSALL
2020年4月28日(火)大阪umeda TRAD
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