【レポート】uP!!!NEXT 須田景凪〜晩翠〜 powered by au 5G、au SHIBUYA MODIにて

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1月25日(土)、LINE CUBE SHIBUYAで完全招待制ライブ<uP!!!NEXT 須田景凪〜晩翠〜 powered by au 5G>が開催された。目下大注目のシンガーソングライター須田景凪による一夜限りのフリーライブとあって、会場は超満員。1時間ほどのライブではあったが、熱量の高いステージが展開された。

今回はそのかたわらで、ある実験的な試みが行われていた。au 5Gの最新テクノロジーにより、LINE CUBE SHIBUYAとKDDI直営店であるau SHIBUYA MODIをつなぎ、MODIに居るファンが遠隔でLINE CUBE SHIBUYAのステージ演出に参加するものである。この試みは、au 5G と渋谷の街全体を活用してライブ体験を盛り上げる「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の一環として行われた。(前日には「au 5G体験イべント 〜渋谷 1964 to 2020〜」が渋谷の駅前で開催)



我々BARKSの取材班は、au SHIBUYA MODIからライブの様子を見ていた。5Gの特徴のひとつ“超低遅延”の技術でもって、店内にいるオーディエンスが須田景凪のライブに干渉する。au SHIBUYA MODIとLINE CUBE SHIBUYAのスクリーンが繋がっており、インタラクティブなライブパフォーマンスが実現した。参加者がMODIに設置されたスクリーンの前で5G搭載のスマホをかざすと、須田景凪のいる会場での演出に影響を与えることができる。



5Gテクロノジーが使われたのは、6曲目の「青嵐」と8曲目の「MOIL」。「青嵐」が演奏されている時、会場のオーディエンスは青色の粒子がスクリーンに舞っているのを確認できただろうか? 「MOIL」の時、同じくスクリーン上にカラフルなペイントが施されてゆく様子を確認できただろうか? いずれも、MODI店内にいるオーディエンスが遠隔で干渉したものである。とは言え、音楽に合わせてスマホを動かしただけの簡素なものであった。あくまでも“今回”は。

この実験により5Gを使用することによって「タイムラグがない」事実が証明できたわけだが、それだけでも相当数の壁が消失する。たとえば、コチラの動画をご覧いただきたい。

この動画は、イギリスのカルチャー誌「FACTmagazine」による人気企画“Against The Clock”だ。様々なアーティストが10分間で曲作りにチャレンジする。基本的に制作はひとりで行い、複数の人数で臨むにしても相方が同じ空間にいる場合に限る。しかし「通信上のタイムラグがない」状態が実現するならば、様々な可能性が出現するだろう。たとえば5Gを使うことによって、東京とロンドン間で瞬発的なやり取りが可能になり、“Against The Clock”に別スタジオにいる複数のアーティストたちでチャレンジするオプションも出てくるわけだ。これまでにもインターネットを介した共作はあったが、即興的なセッションは難易度が高かった。念のため断っておくと、5Gにおける低遅延とは“人の感覚ではほぼ感知できない時間的なズレ”を指す。つまり、そのままの意味でタイムラグは無いと考えて良いのだ。スクリーンを介して姿かたちが確認できれば、即時的なコミュニケーションが取れる。



ここで須田景凪の出自を考えてみてほしい。彼はボカロPの「バルーン」として台頭してきた。ニコニコ動画などの動画プラットフォームを中心に、2000年代後半から素晴らしい才能の最大拠点と化したボーカロイド界隈。2011年、初音ミクが起用されたgoogleのCMを覚えているだろうか? 無数のクリエイターの存在とインターネットの可能性がうまく表現されたコマーシャルであったが、あれから9年経った今、あの興奮を超える未来がもうすぐそこまでやって来ている。

そのような背景を考えると、今回の須田景凪のキャスティングはパーフェクトだったように感じられる。アーティストとテクノロジーが、正当な文脈の中で手を組んでいるように見えやしないか。そしてその可能性は、アーティストだけのものではない。ニコ動で殿堂入りした曲を聴き漁り、米津玄師(ハチ)やヨルシカ(n-buna)がスーパースターになってゆく過程を見守ってきた我々にも、その可能性は与えられる。それは「リスナーであること」のみを意味しない。今回のイベントで立証されたように、作品そのものへの関わり方も今後は格段に増えてゆくはずだ。先ほど引き合いに出したgoogleのCMのフレーズを借りるなら、“Everyone, Creator”である。今こそ、その言葉を思い出す時かもしれない。

取材・文:川崎友暉

◆渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトオフィシャルサイト
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