【対談】SUGIZO × スティーヴ・リリーホワイト、「スティーヴがLUNA SEAに取り戻してくれたもの」
先ごろ公開したスティーヴ・リリーホワイトの単独インタビューでは、スティーヴとLUNA SEAとの出会いから、彼独自のプロデュースワーク、そして彼の目から見たLUNA SEAの魅力をとくと語ってもらったが、ここではバンドとプロデューサーの両側面から新作『CROSS』を紐解くべく、SUGIZOとスティーヴ・リリーホワイトの両者に登場してもらった。
◆SUGIZO × スティーヴ・リリーホワイト 画像
LUNA SEAサウンドのキーマンのひとりであり、自らの美学が笑みを浮かべるまで一切の妥協を許さないSUGIZOは、巨匠スティーヴのプロデュースワークをどう見ていたのか? アルバムリリースを目前に来日したスティーヴ・リリーホワイトとSUGIZOに、忌憚なき意見を求めてみた。
◆ ◆ ◆
■尊敬できる人を求めていた
■この5年くらいかな──SUGIZO
──セルフプロデュースを貫いてきたLUNA SEAが第三者にプロデュースを依頼した、そもそもの経緯を知りたいのですが。
SUGIZO:実はね、そういう話は何年もメンバーとしていたんですよ。
──プロデュースしてもらいたい、と?
SUGIZO:うん。ここまで長くやっていると僕らももうベテランの域でしょう? “マスター”と言ってもおかしくないレベルにはなってきているから、自分たちで培ってきたやり方でもそれなりのいいものはできてしまうわけ。でも、可能であればそれを越えていきたい。“もっと修業者でいたい” “生徒でいたい” “もっと学びたい”という気持ちが強い。ただいろいろ思いを巡らしている状況では、それができる人が日本で見当たらなかった。だから自分たちをさらに導いてくれる……そうなると自分たちよりも遥かに上のレベルの“自分たちが尊敬できる人”を求めていた。この5年くらいかな。
SUGIZO:さらに自分たちが学べる場所を提供してくれるような人ね。
──そこにスティーヴが現れたわけですね。
SUGIZO:INORANが知り合ってくれた。
──スティーヴ・リリーホワイトにプロデュースしてもらうことが決まったとき、どんなことをして欲しいと思いましたか?
SUGIZO:いや、“自分たちのままでいよう”と思っただけです。自分たちが今までやってきたように音楽を作ってトライして、それをスティーヴがどう料理してくれるのか。スティーヴがそれを“どう感じて” “どういう方向へ導くのか”っていうのが楽しみだったので、深くは考えずに自分たちのできるベストを今回もやっただけです。
スティーヴ・リリーホワイト:どうなるかなんてお互い分からなかったけれど、結果的にうまくいってそれはラッキーだったね。どんなに素晴らしいバンドでも、どんなに素晴らしいプロデューサーでも、必ずしもうまくいくとは限らない。例えば、SUGIZOに対して、私がギターのことをとやかく言う必要はない。何故ならSUGIZOが素晴らしいギタリストであるし、それは私の仕事ではないから。私が担うのは、もっと簡単で些細なことでもSUGIZOにはできないようなことだよ。
──今だからこそ言える、大変だったポイントは?
スティーヴ・リリーホワイト:“メンバー間のコミュニケーションが足りていないんじゃないか”と感じた部分はありました。些細な問題ですけど、30年も一緒にやってきた“ほつれのようなもの”があるということに気付いた。もちろん日本人なので、面と向かって喧嘩はしないけれどね。それを私がどうにかするということではないけれど、このアルバムを一緒に作ることによって、バンドが初心に返ることができたとは思っています。“そもそも何故このバンドを始めたのか”……恋に落ちたときのような感覚を、もう一度呼び覚ます役割を担えたかな。
SUGIZO:結果的には、そうなんじゃないですかね。だから“さすがトップレベルのプロデューサーだな”って思ったのは、みんなが集まってると一瞬でスティーヴが空気を読んで、気がつけばみんなをちゃんとコントロールしている。その場をもっていくというムードメーカー的なものが、実は最も重要なところだったんじゃないかなと。
スティーヴ・リリーホワイト:“完成までの道のりを整えた”というのが正しいかもしれません。例えば、ペンキを塗るとき、職人は壁を補修したりすべてを整えてから一気に塗りますよね。そのほうが仕上がりも早くて美しい。私がやったのは、その完成させる前段階の準備を整えること。それさえできれば、あとはバンドがそこに乗っかってくれる。実際、乗ってくれました。演奏自体は何も問題ないわけだから“バンドとしての在り方をもう一度考えてもらう”作業をしたということだよ。
──スティーヴのプロデュースというのは、当初からそういうスタイルですか? それとも経験を積んで学んだことなのでしょうか。
スティーヴ・リリーホワイト:いつもそれを心がけていますし、性格的に“チームを作る”というやり方が自分には合っていると思います。私はバンドと仕事をするのが好きで、私が手がけたレコードの90%はバンドですし、ソロアーティストをプロデュースするときでさえバンドのようなチームを作ります。SUGIZOもINORANも素晴らしいギタリストですが、みんながひとつになってLUNA SEAになるとさらに唯一無二のバンドになる。だからバンドは素晴らしい。
SUGIZO:ピーター・ガブリエルの場合はレアケースだったんだね。
スティーヴ・リリーホワイト:いや、彼らもまるでバンドみたいだったんだよ。
──でも、ザ・ローリング・ストーンズのプロデュースは大変だったんでしょう(笑)?
スティーヴ・リリーホワイト:オーマイガー……そのことを話したら、それだけでインタビュー時間がなくなってしまう。今日はLUNA SEAのことを話しましょう(笑)。
◆対談【2】へ
この記事の関連情報
【ライヴレポート】LUNA SEA、<EPISODE3 -FINAL- 黒服限定GIG DAY2>で「東京ドームまでこのまま行こうぜ!」
J、最新作『BLAZING NOTES』のジャケット写真を公開。年末イベント追加ゲスト発表も
THE LAST ROCKSTARS、新曲「MASTERY」と格闘ゲーム『鉄拳8』とのコラボMVを公開
LUNA SEA、35周年記念ツアー映像作品リリース
【ライヴレポート】HEATH (X JAPAN)を偲ぶ<everliving everloving>にPATAやSUGIZO、MORRIEなど13名が集結
LUNA SEA、『MOTHER』『STYLE』リバイバルツアー最終公演の映像作品2タイトル同時発売決定
【ライブレポート】INORAN、“爆幸”なバースデーライブのツアーが開幕
【インタビュー】「演奏データを未来へ残す」という、規格外れのヤマハのイノベーション
LUNA SEA|GLAY、25年ぶり東京ドーム対バン<The Millennium Eve>開催決定