【対談】Psycho le Cému × 氣志團、「20年近くの時を経て、六本木で再び」
■笑われるのが僕らの個性だって分かるまで
■けっこう時間が掛かりました
seek:ただ、その当時の僕はまだ抵抗あったんですよ(笑)。でもそれが僕らバンドの個性で、お客さんが増えていることを実感できるようになると、“これが僕らの生き方なんやな”って気持ちも出てきたんです。2000年の大みそかの頃は、個人的にはどう立ち振る舞っていいのか分からなかった。他のメンバーは「踊りたい」って言ってたんですけど、ヴィジュアル系ってカッコつけるもんだと思っていたから。あの頃は、僕らがステージに出ると、お客さんから笑われてたんですよ。“笑われるのが僕らの個性だ”って分かるまでに、けっこう時間が掛かりました。
綾小路:それ、うちのメンバーと似てますね。うちもずっとそうだったので。僕自身は“お客さんを楽しませるためには何だってやる”って精神が強いのだけど、うちのメンバーたちからすれば、おそらく抵抗もあって。未だに衝突すること事もありますよ。例えば、“この曲では楽器を置きたい”とか、“この場所ではお芝居を入れたい”とか、“あの曲のカバーをやりたい”とか、自分の要望を伝える際には理由をしっかりと説明して、全員に納得してもらってからでないと進めません。しかも、それが一度ステージでウケたからといって、“次のステージでもやる”というスライド方式は絶対に許されないわけで。また一から説明が必要になります。でも、だからこそ完成度が上がっているのかも。オーディエンスよりメンバーが怖いから(笑)。
▲氣志團 |
綾小路:ああ〜、多分いろんな感情がこもりながらの微笑みだったんでしょうね(笑)。フェスとかイベントとかで、ライブ後にいろんな方々からたくさんお声を掛けていただくのだけど、基本「おもしろかった」としか言われないんですよね、我々(笑)。それはミュージシャンシップの強い彼らからすれば、忸怩たる想いもあるに違いないだろうし。でも僕自身はみんなの心に何らかの爪痕を残すことしか考えていない。だからぶつかる。だから最後に真っ当な曲をちゃんとやったりもするんだけど、その前の笑いのインパクトのほうがデカかったりして(笑)。ウケたらウケたで葛藤があるんですよね、氣志團って。僕からすると、Psycho le Cémuはメンバー全員で一丸となってやっているように見えたから、うらやましくて“いいなぁ”と思ってたんですよ。
seek:今でこそ、そういうふうになりましたけど。僕だけ理解できてなかったから、メンバーはカラフルな衣装を着ていたのに、僕だけ黒を着てた時代もあったんです。“ヴィジュアル系のバンドなのに、なぜ黒を着ないんや”って。ボーカルのDAISHIは、すでに“みんなで黒を着たくない”って考え方やったんで。理解できるまでに僕は3年ぐらい掛かって、考え方を理解してからは、僕、着ぐるみを着るようになったんですよ(笑)。
綾小路:えー、そうだったんだ! 今ではメンバーの誰よりも凄いことになってるのに(笑)! 僕らも今でこそ…昔ほどではなくなったんですけど、未だにあるので。しかし、そこまでスタイルに対して強いこだわりを持っているメンバーたちなのに、ステージ上では一切主張がないんですよ、ビックリするぐらい(笑)。ホントに不思議な人たちで。こんなに主張のない人たちが、なぜバンドをやろうと思ったのかっていう(笑)。でも、だからこそ長く氣志團を続けられているのかなってところもあります。僕ぐらい我の強い人がもう一人いたら、あっという間に空中分解していたのかなって。いや、飛び立つ前に地中分解か…。
seek:なるほど。Psycho le Cémuは今、ツアーを続けているんですけど、大事な落ちサビとかで、ドラムのYURAサマが前に出て踊ったりするんです。DAISHIが歌うギリギリまでYURAサマが煽ってMCとかもするんですけど、それによってDAISHIが歌に入れなかったときがあって…と思ったら、YURAサマが歌い出したり(笑)。「やりすぎやでー」って。「普通のバンドやったら、ボーカルの邪魔するなんて考えられへんで」ってMCで言ったら、YURAサマは「そもそも俺のドラムセットの前に立って、ずっと被ってるのも気になるけどな!」って返したんですよ(笑)。“ヤベーな、この人は”と。自己主張が強すぎる(笑)。
綾小路:凄いわー(笑)。そういうのがうちにはないので。ボケても誰も拾ってくれない、ツッコミがいないんですよ。己でボケもツッコミもして、その繰り返し。だから、うらやましいですよ、掛け合いとかアドリブができたりっていうのは。僕も邪魔されたいですよ。メンバーの誰かにマイクを取られたりしたいけど、一生、僕に近づいてきそうにないんで(笑)。昔は台本を書いて、“ライブ中はこうやってくれ”ってメンバーにお願いしたこともあるんです。ところが、そうなったときのほうが酷くて、セリフ棒読み(笑)。目を泳がせながら、感情など一切入ってない言い方(笑)。
seek:いや、でも氣志團はキャラ立ちのイメージがすごいありますよ。
▲綾小路 翔 [氣志團 團長] |
seek:今は遊んでるかもしれないですね。活動休止から復活してからは、メンバーだけで誕生日会やったりご飯を食べに行ったり。あと、メンバーはそれぞれ別プロジェクトを抱えているので、ミーティングの時間がなかなか取れなかったりするんですよ。だから、ツアーの移動はわざと狭いハイエースのほうをメンバー移動車にして、みんなで話しながら福岡まで行くとか。しかも現地に到着したら、さらにみんなでご飯に行ったり。
綾小路:へぇ〜、いいですね。うちは会議してても、僕とトミー(西園寺)が舌戦を繰り広げているのを、ただみんなが周りでニコニコ聞いてるっていうだけなんで(笑)。でも、とことんまで話して、一方的に僕が決めることもなく。うちは東京都内にこのメンバーしか友達がいないってところからスタートしているので、地方へ行ったらみんなで一緒にご飯を食べに行ったり、打ち上げも必ず全員来ますし。だからフェスとかに出演させていただいたときとかは、楽屋裏でメンバーだけで固まって飲んでて。「君たち、それじゃマジで一生、友達できないよ…」って不安になっています。
seek:楽屋に入ったきりみたいな?
綾小路:隅のほうで飲んでますね。コミュニケーション能力に関しては最低レベルのバンドです。
seek:みなさん、人見知りなんですか。
綾小路:そう。だから対バンが楽しみなんですよ。お互いのステージとか観て「凄いね」とか言って、打ち上げでジワジワと話して、気が付いたらすごく仲良しさんになっていたりするんですよ。
seek:そのへんはうちらも似てるかもしれない。僕らも姫路から5人で出てきたバンドなんで、以前はいつも5人だけでいたし。
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