【対談】Psycho le Cému × 氣志團、「20年近くの時を経て、六本木で再び」
■“ライバル”というより
■憧れの対象なんです
綾小路:結成してもう20年ですか?
seek:今年20周年で、いろいろ新たな展開をさせてもらっているんです。<ライバルズ>もそのひとつで。氣志團さんとは今まで、そこまで深い関係値を作ってこれているわけではないんですけど、六本木Y2Kで観させてもらった氣志團さんのステージは衝撃的でしたから。今と変わらぬスタイルで言うと、「BE MY BABY」がSEに流れるなかで登場するとか。“この後に俺らはどないしてステージに出んねん”って、その楽屋で話していましたからね。当時、耽美なスタイルが多いヴィジュアル系で、僕らはそれとは違うベクトルでやったから、“なんや、あいつら!”って言われていたんですよ。でも、それを氣志團さんは先にやっちゃったわけで、その直後のステージに僕らは出にくかったんですよ(笑)。デビューのタイミングも同時期で、氣志團さんがヒット曲をきっちり作っていることも、その後のヒストリーもずっと見させていただいていまして。だから、“ライバル”というより、僕ら側からすると、氣志團さんは憧れの対象なんです。
▲綾小路 翔 [氣志團 團長] |
seek:僕らもそうでしたよ(笑)。パクるときも、“うちのほうがキャパがデカくなったころにやれば、うちがオリジナルだと思われるから、もうちょっと売れるまでこのネタは取っておこう”とか(笑)。ところで氣志團さんは今年で結成何年目ですか?
綾小路:今年で22年で、23年目に突入しました。こんな奥行きのないコンセプトで、よくも今日までやってこれたなって感じなんですけど。ただの仲良しさんの集まりなので、特に大きな揉め事もなく、ぼんやりと今日に至るみたいな。
seek:翔さんはいろんな活動もされていますけど、そのなかでのバンドの22年は、振り返ってみてどんな感じですか?
綾小路:なんだかんだメンバーのおかげ、バンドのおかげで、こうやっていろんな方々に会わせてもらったり、いろんな経験させてもらったりしているので、感謝してますね、やっぱり。僕はそもそも、クレジットに“ボーカル”と一度も表記したことないんですよ。“ドラゴンボイス”──つまりただのガラガラ声の人、って意味で。結果、今は歌もちょっとやるんですけど、普通売れたかったらこんなハンデしかない人とバンドやる理由ないですよね。つまり、よくよく考えてみると、俺がバンドができる環境って、地上でここだけみたいな。音楽のことはなにも分からないんですよ、『イカ天』の審査員でいうと、内藤 陳ぐらいの知識の無さ。
seek:内藤 陳! 懐かしいところ出しますね(笑)。
綾小路:それぐらいなにも分かってないんですけど、メンバーは根気よく付き合って曲にしてくれたりとか。“ナメてんのか!?”ってぐらいいい加減な俺の作曲を、みんながちゃんと形にしてくれたり。ワケ分からないことを言っても、一生懸命理解しようとしてくれたりするんです。この人たちがメンバーじゃなかったら、世界中の誰も僕をバンドに入れてくれなかったと思いますよ。うるさいし、細かいし、このバンド以外にいたら嫌われ者だったんですよね、間違いなく。それに、彼らといたら、ちょっとだけ“頑張らないと”って気持ちにもなるので。“仕事をちゃんとしている人”と思われているのも、多分、彼らといるからだと思うんです(笑)。だから、彼らには感謝だなと思いつつ、その何十倍も彼らから感謝されたいなという思いもありつつ(笑)。毎日、僕んちの方向を見ながら、1回拝んでから寝てもらいたい、そういう気持ちも持ってるんですよ(笑)。“よくそんなに冷たい態度取れるな”ってときもありますから。「一杯どう?」って誘ったら、「今日はちょっと用がある」って、全員帰っていったんですよ。そうしたらその後、彼らだけで飲んでいたという事実が発覚したことあって(笑)。
seek:ウワッ! 一番傷つくやつですね(笑)。
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seek:うん、家族より長く時間をすごしているのがメンバーだったりしますからね。
綾小路:この人生でガールフレンドよりも一緒にいるので。みんなでお風呂にも入りますし、最悪、歯ブラシ一緒でもいいかってぐらいの気持ち悪さもあるんですよ(笑)。“あのとき、たまたま偶然にこの人たちと会わなかったら、自分はどうしていたんだろう”って思うときもありますから。
──今では人生の3分の2以上がバンド生活ですからね。
綾小路:ほとんどPsycho le Cému、ほとんど氣志團みたいな人生ですからね。だって大川興業だって、坂本ちゃんだって学ランをもう着てないのにですよ、まだ我々は着てるって、頭おかしいですから(笑)。普通は10年続くとフォロワーが現われると言われるんですけど……。
seek:いや、だって真似しにくいですよ。“学ラン=氣志團”というイメージが強すぎて。僕らもマネされないバンドですよ。Psycho le Cémuみたいなバンドをしようと思ったら、まず衣装代にお金が掛かるし。若いバンドから、「マネしたとしても“Psycho le Cémuのパクり”って言われてしまうから、僕らは違う方向から攻めたんです」って言われたことがあります。
綾小路:確かに僕らにもフォロワーが現れることがなくて。自分たちで道なき道を走ってきたつもりで、後ろを振り向けば道ができている…かと思いきや、もうケモノ道のように樹木に覆われていて(笑)。今後も尊敬されることはないんだろうなと思いながら、“まっ、いいか”っていう。
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