【速レポ】<中津川ソーラー>go!go!vanillas、「帰ってくるあいつに、みんなの声を!」

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「雨の予報にも負けず、大晴天! どうよ、これ。太陽に愛されたフェス。去年も出たけど、大好きです!」

観客も一緒に「1、2、3!」というカウントの声を上げた1曲目の「エマ」から「マジック」、牧 達弥(Vo、G)が観客の上に身を乗り出しながら歌った「チェンジユアワールド」とダンサブルな魅力もあるロックンロールナンバーをたたみかけ、一気に盛り上げていった序盤が終わったところで、牧はふと青空を見上げ、観客にそう語りかけた。

◆go!go!vanillas 画像

今年は雨になるだろう、と誰もが覚悟していたにもかからず、これだ。しかも2度目の参戦となった今回はgo!go!vanillasにとって、ある意味、記念すべきライヴになったんだから、<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>、確かに“持っている”。

昨年12月に交通事故に遭った長谷川プリティ敬祐(B)が復帰に向けたリハビリを始めたため、それまでサポートベーシストを迎えていたgo!go!vanillasはこの春から、長谷川がプレイした音を、3人の演奏に加える形でライヴを続けてきた。この日のライヴもそう。牧を中心に左右にジェットセイヤ(Dr)と柳沢進太郎(G)が一列に並び、長谷川が鳴らしたベースを背負いながら熱演を繰り広げていったが、中盤、柳沢の口から突然、うれしい言葉が飛び出したのである。

「3人のライヴは(これが)最後です! 帰ってくるあいつに、みんなの声を届けたいんだけど、行けますか!?」

観客が歓喜の声を上げたことは、言うまでもない。そして柳沢の「プ・プ・プリティ!プ・プ・プリティ!」というコールに観客がレスポンスを返す。その声の大きさが、みんながどれだけ歓んでいるかを物語っていた。



そこから、「待ってたぞ!4人揃ってgo!go!vanillasだ!」(柳沢)となだれ込んだ「カウンターアクション」。牧と柳沢がセイヤのビートに煽られるようにギターを応酬しあうその裏で長谷川が鳴らしたベースが唸りを上げ、4人が一つになったところを観客に見せつけると、「俺たちと一緒にロックンロールで転がろうぜ! 中津川、本気を見せてみろ!」と牧が叫んでから観客にぶつけたのが「No.999」。つんのめるようなリズムが演奏を加速させ、牧、柳沢、セイヤがぶつかりあうような熱演を繰り広げる。

さあ、一気にラストスパートか──と思いきや、「3人でやるライヴは最後になります。最後になることが歓びに変わるなんて、なかなかない経験」と観客に語り始めた牧は、「音楽を鳴らし続けたかったし、あいつ(長谷川)もそう思ってると思ったから止まらずに進んできました」と、長谷川不在のままバンドを続けてきた理由を改めて説明すると、「バンド、人生まだまだ続けていける」とその歓びを口にした。

「(3人で演奏する)最後のフェスがこんなに天気で、みんなの音楽愛が感じられて、バンドやってきてよかった!」



そしてこの日、go!go!vanillasがラストナンバーに選んだのは、柳沢が奏でるイントロのクラシカルなフレーズと跳ねるモータウン・ビートが印象的なポップナンバーの「パラノーマルワンダーランド」。ロックンロールナンバーで駆け抜けるように終わってもよかった。しかし今日の彼らには、ミッドテンポで歌い上げるこの人生賛歌がふさわしかった。

「このままじっくり生きようぜ!」と牧も曲の途中で叫んだ。そう、ロックンロールバンドだからって、生き急ぐ必要はないのだ。焦ることはない。再び4人が揃ったgo!go!vanillasの息の長い活躍を期待している。

取材・文◎山口智男
撮影◎柴田恵理

【go!go!vanillas セットリスト】

01. エマ
02. マジック
03. チェンジユアワールド
04. 平成ペイン
05. カウンターアクション
06. No.999
07. パラノーマルワンダーワールド

■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>

9月28日(土) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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