【速レポ】<MUSISION FEST>MAISON“SEEK”、「野外が似合うと思っていました」

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5月にして30度超えという夏のような日差しの正午、トップバッターとして登場するのは、FLiPのSACHIKOがバンドの活動休止後に新たにスタートしたソロ・プロジェクトMAISON“SEEK”。今日はMAISON“SEEK”として初の野外ライブだという。

◆MAISON“SEEK” 画像(6枚)

編成はドラムにShozo Ishida(my way my love, CURTISS)とトラック/キーボードにLASTorder、そしてボーカルのSACHIKOのトリオ編成。「鏡花水月 arrange ver」からはじまったステージは、バンド時代とはまた違った柔らかなボーカルでたゆたうようなメロディを紡ぎ、大人の表情を見せてくれる。憂いあるシンセの音色やビートに体を預けてその声を届けると、客席から拍手が湧いた。続けての「在音」ではよりエモーショナルに表現。海外のエレクトロポップ勢から受けた影響を、自身のフィルターを通して歌心のある、かつキャッチーなサウンドとして昇華。音源ではエレクトロ色が強いが、ライブでは迫力のある生のドラムとエモーショナルなボーカルが掛け合わされ、よりバンド感が強い印象だ。


「改めまして、MAISON“SEEK”です。“ミュージック+マンション”の意味を持ったMUSISIONのフェスとのことです。私も完全防音のおうちにいつか住みたいなと思っていて。この出演が決まってから、ちゃっかりMUSISIONを検索してます」とSACHIKOは挨拶する。そして、「MAISON“SEEK”は野外が似合うと思っていました。お昼の気持ちのいい時間帯なので、これを歌いたいなという曲を持ってきました。きっとみなさんがテレビで何気なく耳にしている曲です。漫画アプリのコミックシーモアのCM曲なんですけど、実は私が歌ってます」。

そう言ってアコギを手にしたSACHIKOはそのCM曲である「WLC」を弾き語る。普段、何気なくテレビを見ていても印象的に耳に飛び込んでくる曲だけに、抜群のフレンドリーさ。観客も「あの曲か!」とにこやかな笑顔と拍手で答え、会場の一体感が上がった。



「次にテレビでCMを観たときは、あ、SACHIKOだ、MAISON“SEEK”だと思ってください(笑)。自己紹介もできたので、引き続きMAISON“SEEK”の音に酔いしれて、1日楽しんでいってください」と、後半へと突入。アンビエントなパートからクールで躍動的なサウンドへと展開していく「終わらない季節」、そして低音感のあるエレクトロ・サウンドの「微睡」で聴かせる、スモーキーなファルセットボイスやハイトーンは美しく叙情的だ。特に切ない心をハイトーンで紡ぐ「微睡」は、ぐっと胸に迫る。密室的な曲でもあるが、こうした野外でもまた映える曲だ。また「君空域」では、SACHIKOがサビで大きく手を振ると、観客もまた手を振り、そして大きな手拍子を送って曲にエネルギーを送る。アップリフティングなボーカルは、会場を超え、上昇していくような感覚だ。



そしてラストは、昨日のSACHIKOの誕生日に合わせて配信を開始した「これからのこと」を披露。この曲は、アグレッシヴなドラムが冴えるロック・チューン。手拍子とともに「誕生日おめでとう!」の声が会場から起こるなか、高らかにその声を響かせ、この1日とMAISON“SEEK”の晴れやかなこの先も祝すように、明るく歌いあげ、SACHIKOは地声で「ありがとうございました!」と声を上げると笑顔を見せた。

   ◆   ◆   ◆

【終演直後の楽屋裏ミニインタビュー】

──MAISON“SEEK”としての初野外はいかがでしたか?

SACHIKO:今日のテーマは、「“あの娘と友達になりたい”って、お客さんに思ってもらえるようなライブ」だったんですね。曲が進行していくに連れて、“心が近い”って思ってもらえるようなステージができたんじゃないかなって思います。

──それにピッタリの曲をお持ちですよね。コミックシーモアのCMソング「WLC」は、自己紹介になる曲でもあって。

SACHIKO:そうなんです(笑)。さすがに耳にしてくれている方が多いなっていうことは、日常の会話の中でも感じているので。普段、MAISON“SEEK”のライブでは歌わないし、それをMCで言うこともないんですけど、今日の雰囲気だったら、歌うことができるなって。せっかくだから、この曲は弾き語りました。

──ラストには新曲「これからのこと」も演奏されました。

SACHIKO:もともとは、ドラムが打ち込みのデモ音源というカタチで以前からあった曲で、これまでのライブでは一回しか演ったことがなかったんですよ。今回、配信リリースするにあたって、レコーディングでは生ドラムとベースを入れようっていう流れになり。そのほうが、曲としての良さが開花するんじゃないかと思ったんです。

──セットリストとしてはエレクトロ色が強かったところ、最後にバンドっぽい曲で締めるっていう変化がありました。

SACHIKO:はい。異色だったと思いますし、おっしゃるとおりバンドっぽく。

──今後のMAISON“SEEK”はどうなっていきそうですか?

SACHIKO: MAISON“SEEK”は私のソロプロジェクトではあるんですけど、いろいろな人を巻き込んでいきたいんです。だから“メゾン”っていう言葉で、建物だったり家だったり集団っていうものを匂わせているんですね。まだまだ、カタチには出来ていないですけど、映像はもちろん、想像を超えるようなコラボレーションを絡めてやっていきたいなって思うんです。モノだったりヒトだったり、音じゃない部分でも絡んでいきたい。

──そういう大きな視点を持つプロジェクトなんですね。

SACHIKO:私ひとりの“個”ではあるけど、“個”じゃない。その広がりのひとつひとつを色濃くやっていきたいですね。

取材・文◎吉羽さおり

セットリスト

1.鏡花水月 arrange ver
2.在音
3.WLC
4.終わらない季節
5.微睡
6.蔦
7.君空域
8.これからのこと


<MUSISION FEST 2019>
2019年5月25日(土)
@上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)
自由席 4,000円(税込)・当日4,500円(税別)
開場/開演:11:00/12:00
出演(順不同):The Cheserasera、音速ライン、浅草ジンタ、浜端ヨウヘイ、関取花、kitri、フラチナリズム、MAISON“SEEK”


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