【ライブレポート】澤野弘之<LIVE “R∃/MEMBER”>2日目、LiSAとAimerの共演も実現した情熱と幸福に彩られた夜
澤野弘之が、2019年3月6日、7日に東京チームスマイル・豊洲PITにてワンマンライブ<SawanoHiroyuki[nZk] LIVE "R∃/MEMBER">を開催した。
西川貴教やLiSA、Aimer、SUGIZO(LUNA SEA/X JAPAN)、岡野昭仁(ポルノグラフィティ)、スキマスイッチ、Uru、さユり、ASCAなど豪華ゲストが参加したニューアルバム『R∃/MEMBER』を3月6日にリリースした澤野弘之。さまざまなアーティストとの刺激的な共演を果たした挑戦作となる本作をタイトルに冠したこの公演は、彼のアーティストとしての現在地と新たなる可能性を見せてくれるものとなった。本記事では、LiSA、Aimer、mizuki、Yosh、Gemie、Tielle、naNamiがゲストボーカルとして参加した2日目の公演の模様をお届けしよう。
◆<SawanoHiroyuki[nZk] LIVE "R∃/MEMBER"> 画像
客席の照明が落とされ、オープニングナンバーの「Glory -into the RM-」が始まる。重低音がフェードインしピアノが鳴らされたと同時に、ステージ正面上部のライブタイトルが記された幕が落ち、そこに『R∃/MEMBER』のジャケットの無数のケーブルが結線されたピアノが現れる。この冒頭の演出から興奮を覚えずにはいられない。場内にも手拍子が響く。ほどなく舞台の下手から澤野、上手からYosh(Survive Said The Prophet)が登場。2人はステージの中央に歩みによると、拳と拳を付き合わせる。そのシーンは、Yoshがゲストボーカルという立ち位置を越えて、澤野と固い絆を結んだ存在であることを物語るものであった。<[nZk] LIVE "R∃/MEMBER">の切込隊長となったYoshは、会場全体を揺るがすほどのパワフルな歌声と強烈な煽りを武器に、のっけから圧倒的な熱狂を生み出す。音楽への愛、ロックへの愛、澤野のファンへの愛、そして澤野自身への愛を、熱いパフォーマンスで体現。オープンニングの3曲で観客のテンションを一気に跳ね上げ、切込隊長としての役目をキッチリと果たして、ステージを堂々と去った。
▲Yosh
「Cage<NTv>」のイントロの儚さを感じさせるピアノの旋律が放たれると、雰囲気は一転。青を基調としたライティングによる幻想的なステージで、Tielleがメロディの1つひとつを感情を込めながら紡いでいく。彼女の憂いと色気のある歌声が、エモーショナルな情景をステージに描く。この曲は『機動戦士ガンダムNT』においても心を震わせるシーンで使用されていたが、この日のステージを観ていて、そのシーンが頭の中に自然と浮かび上がり、胸にグッと来るものがあった。初日公演ではアッパーな「X.U.」が入っていた位置に、この日はバラード曲「call your name<Gv>」を披露。情感たっぷりの歌声を響かせるGemieは、澤野のライブで観るたびにシンガーとしての成長を感じさせてくれる。MCを挟んで、“声出していくぞー”と投下されたのは、『Re:CREATORS』第1期オープニングテーマ「gravity Wall」。TielleとGemieは、ユニゾンとハモリを使い分けながら勢い溢れるツインボーカルで、観客のテンションを上げていく。左右に振られた無数の手がフロアを埋め尽くしたラストのサビでの光景は壮観だった。
▲Tielle
▲Gemie
澤野の音楽性の多彩さを表すようにさまざまなシーンを描きながら濃密な時を刻んでいったこの日のライブは、気がつけば中盤へとさしかかっていた。mizuki(UNIDOTS)は、澤野の楽曲に宿る感情の機微を透明感のある歌声で表現。2日目は、「&Z」「ViEW」のほか、ライブ初披露となった『ギルティクラウン』挿入歌「close your eyes」を担当。疾走感のあるビートと浮遊感のあるシーケンスフレーズ、そして細かく場面展開していくこの曲では、彼女の持ち味の1つの美しいハイトーンで観客を魅了した。アメリカンロックに通じるグルーヴ感と広がりのあるメロディを聴かせる「Next 2 U -eUC-」を経て、「Home ~in this corner~」では、ステージ上部のピアノが照らされる厳かな雰囲気の中、naNamiが芯の通った伸びやかな歌声を響かせる。観客もステージに完全に惹きつかれているように、澤野たちが生み出す叙情的なサウンドに静かに聴き入っていた。
▲mizuki
▲naNami
「s-AVE」のイントロフレーズが放たれた瞬間、大きな歓声が上がる。[nZk]の1stアルバム『o1』に収録されたこのバラードは、Aimerが歌唱する澤野の楽曲の中でも大きな人気を得ている曲の1つだ(実は、Yoshも澤野のフェイバリットソングの1つとして挙げている)。幻想的なライティングのもと、Aimerが繊細な歌声でステージ上に描いたドラマティックなシーンに、オーディエンスは片時も目を離すことができない。「s-AVE」で荘厳な世界観を構築したAimerは、続く「bL∞dy f8 -eUC-」では一転、力強いボーカルを披露。澤野のピアノも躍動感を増していた。
「bL∞dy f8 -eUC-」直後のMCでは、澤野は開口一番“今日、Aimerさんと目が合いました!”と喜びの一言を放ち、リハーサルの時にAimerから「bL∞dy f8 -eUC-」の曲中に澤野を見ると言われたことを明かす。そのAimerは、4月に“太陽”と“雨”をテーマに掲げた2枚のオリジナルアルバム(前者は『Sun Dance』、後者は『Penny Rain』)をリリースすること、その“雨”のアルバムに澤野が手がけた「i-mage」が収録されることを発表すると、澤野は<LIVE "R∃/MEMBER">が2日間とも雨であったことを引き合いに“よりにもよって、雨の方です。でも、雨、最高!”と叫び、会場に笑いを起こした。しかし、すぐさま“はしゃぎすぎました。Aimerさんと目が合って、もう思い残すことはありません。みなさん、ありがとうございました!”と反省。このようなくだけたMCもまた、澤野のライブの醍醐味の1つだ(前日に出演していた西川貴教からは、褒める意味も含めて“クソMC”と言われていた)。
次に披露されたのは、MCで触れていた新曲「i-mage」。洋楽ロック的なうねりのあるグルーヴ感と疾走感が見事に同居したリズムを土台に、澄み渡った空へと飛び立っていくような伸びやかで美しいメロディが会場全体に響き渡る。ライブ当日は新作がリリースされた翌日ということもあって、オーディエンスもまだ耳に馴染んでいないにも関わらず、気がつけば観客の合唱も聴こえていた。それは、この曲が人の心を即座に掴む力を備えていることを証明するものであった。煌びやかな景色を描いた「i-mage」から一転、「ninelie<cry-v>」では照明が暗く落とされ、妖艶な世界が現れる。7つの星が輝くステージから幻想的なサウンドが放たれ、Aimerも儚げな歌声を響かせた。
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