【千歌繚乱インタビュー】AXESSORY、「ソロ活動はSadieのアクセサリー」
Sadieの亜季(B)によるソロプロジェクト、AXESSORY。3月25日に池袋EDGEで開催される、BARKS主催イベント<千歌繚乱vol.20>に、初出演する。
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<千歌繚乱vol.20>当日は、AKIの誕生日でもある。ひとつまた節目を迎える彼に、今回インタビューを実施。AXESSORYに込められた思いや、今後の活動、そして今考えている新曲についてなど、“今”のAKIに触れてみて欲しい。(亜季のソロプロジェクト時の表記はAKI。以下AKI)
※本記事は3月25日に池袋EDGEで開催される<千歌繚乱 vol.20>において、来場者限定で配布される「千歌繚乱 ARTIST BOOK」掲載のインタビューの一部を事前に公開するもの。「千歌繚乱 ARTIST BOOK」では各出演者への一問一答アンケートなど、より深い内容が掲載されている。
◆ ◆ ◆
──AXESSORYとしての活動が始まって、約1年半経ちました。現時点での手応えや感想としてはどういうものがありますか?
AKI:一番強く思っているのは、「ベースボーカル」というポジションに甘えちゃいけないということですかね。もちろん僕はベーシストですし、ベースありきのソロプロジェクトではあるんですけども、ボーカルとしてステージに立つ以上、結局はボーカリストなわけで。よく「ベースボーカル」というじゃないですか。そうではなくて、「ボーカルベース」にならなきゃいけないなと思っています。ニュアンスの話ではあるんですけど。
──でも、その差はかなり大きいですよね。
AKI:そうですね。ボーカリストになりたいという感じとはまた違うんですが、ライブに足を運んでくれているファンのみなさんに対して、ボーカリストでいたいと思うようになったというか。フロントに立つ人間としての責任を果たさなきゃいけないなと感じています。
──そもそもの話になってしまうんですが、なぜベースを弾きながら歌うという方法を選んだんですか? AKIさんはピアノも弾けるわけですけども。
AKI:……どうしてでしょうね(笑)。ピアノも好きですし、ベースも好きなんだけど、インスト曲だけをアウトプットしていくイメージが沸かなかったからですかね。
──あとは、自分はボーカルに徹して、誰かにベースをお願いするという方法もありますよね。
AKI:その発想はなかったです。ベースは自分で弾けるから、任せるのが難しいというか。例えばこの曲は自分ならこう弾くと思いたくないというか、そこまで寛容になれないなと思ったからというのはあるかもしれません。
──であれば、自分で弾くのが一番いいだろうと。ソロプロジェクトを始めるにあたって、どういうヴィジョンを描いていましたか?
AKI:いわゆるシンガーやボーカリストができないことをやろうと思っていました。たとえば、こういう歌い方をすると喉に悪いとか、シャウトをたくさんするとメロディーが歌えなくなるとか、そういうことはプロとして当たり前のことではあるんだけど、同じパートになるということは、そういう人たちと戦うことになるわけじゃないですか。だから、そいつらができないことをやってやろうと。そういうイメージでしたね。自分にしかできないことをやれれば一番いいかなと思っていました。
──「自分にしかできないことをやる」となったときに、いまの自分は何を持っているのか、いろいろ考えられたんじゃないかなと思うんですが。
AKI:そうですね。でも、あまり深いことは考えずに、自分のやれることをやってみたら今の感じになったかな。例えばこのプロジェクトはこういうものにしたいと思ったとしても、それはきっとこの先変わっていくと思うんですよ。やっていくことによって見えてくるものもありますし。そこはバンドを10年経験したことでわかっていることでもあるので、なにか大きなコンセプトを決めるというよりも、始めるときは「何があってもやめない」ということしか決めてなかったです。
──とにかく続けていくことが大事であって。
AKI:そうですね。自分がやめない限り、続くので。つらいことや大変なことが今後たくさん出てくるとは思うんですけど、とにかく続けること。それだけを目標にしています。
──実際にAXESSORYを動かし始めて感じたものを教えてください。
AKI:すごくいいことばかりでもないし、悪いことばかりでもないですけど、どうしてこういうことになるんだろうっていうことはないですね。平たく言うと、自分の気に入らないことはない(笑)。ただ、すべて自分でやらなくてはいけないので、今まで誰かがこういうことをやってくれていたんだなと感謝したり、見えなかったものが見えるようになった気はしています。たとえば、Sadieのメンバーであれば、こういうことを考えてこの曲を作ってくれていたんだろうな、あそこにギターが入っていたのはこういった意味だったのかな、シャウトがここに入ってくるのはこういう意図があったのかな、とか。本当のことは確認していないからわからないんですけど、それを感じるというか。もちろん感じていたつもりなんですけどね。そこをより感じたかな。
──身に染みたと。ひとりで活動をすることは、自分の気に入らないものがない状態ではありつつも、すべての責任の所在が自分にある状況ではありますよね。それが大変だったところもありますか?
AKI:なんだろうな……制作に関して言うと、歌詞の部分ですかね。ベースであればいろんなアプローチができるけれども、自分は歌詞を書く引き出しがあまりにも少なすぎたなと。元々歌詞自体を読むのは好きで、理解というか、自分なりの解釈をするタイプではあるんですよ。Sadieでは真緒に「ここの歌詞いいね」って話していたりもしたし。でも、そこはあくまでもリスナーだった。作る側ではなかったんですよね。
──いざ自分でペンを持ったときに、どうしようと。
AKI:そうです。もう書くことがないんですよ(笑)。
──(笑)。でも逆に、自分の言いたかったことは、1stEPの「CALL MY NAME」ですべて出せました?
AKI:吐き出せたと思ってます。ただ、EPでは自分のことばかり歌ってしまっていた気がするんですよね。だから、今度は相手に向かってというか。それがファンの人たちなのか誰なのかはわからないけど、パターンをちょっと変えてみようかなとか、いろいろと模索しながら今はやっています。
──AXESSORYのサウンドはラウドミュージックが基盤になっていますけども、始動させる時点でこういう音楽性にしたいという明確なイメージはありましたか?
AKI:激しいライブをしたいと思っていたので、ライブをイメージしながら、こういう楽曲があったらいいなとか、こういう楽曲でオーディエンスとひとつになれればいいなと思いながら、いろんなピースを作っていた感じです。ライブを想定して作るというのが大前提にあります。
──でも、なぜまた激しいライブがしたいと思ったんですか?
AKI:僕の個人的な趣味でもあるんですけど、お互いボロボロになるライブが、一番分かり合える気がしていて。もちろん素晴らしい楽曲を、素晴らしいクオリティで届けて感動させるアーティストさんもすごいと思うんですが、僕は、翌日にもまだ身体に痛みが残っているほうが、ライブが続いているような感じもあっていいなと思って。
──たとえば、ソロプロジェクトをやるときに、バンドとはかけ離れたものをやろうと考える方もいらっしゃると思うんですが、音楽性としては……。
AKI:近いですよね。
──そうですよね。そこに関しては特に差別化を図ろうとかは考えず?
AKI:別なことをしたいと思わなかったというのが一番ですかね。バンドでは、ラウドな中でいろんな楽曲に挑戦してきていたんですよね。暗い楽曲ばかりじゃなくて明るい楽曲もあったし、すごく世界観を大事にした曲もあって。そうやっていろんな挑戦をした結果でこの形なので、特に違うことをやりたいとは思ってなかったですね。そこは今も思っていないです。
──純粋に、自分のやりたい音楽をやろうと。曲自体を作ることはスムーズに進みましたか?
AKI:そこは工程がひとつ増えただけですね。今までは曲を作ってメロディーを乗せれば終わりだったんですけど、そこから歌詞を書くわけじゃないですか。そこでもし歌詞が長くなったり短くなったりしたら、メロディーを変更してるんですよ。言葉の方が大事なので。そうするとバックのアレンジがもう一度変わるっていう。その最後の作業が増えただけですかね。
──でも、珍しいですね。歌詞をメロディーに当てはめなきゃっていう発想になりそうなものですけど。
AKI:まあ、うまくはめられればいいんですけどね(笑)。はまらないことのほうが多いですし、思いついてしまったその言葉を崩したくないと思ってしまうので。だから、自分が得意なほうで対応する感じです。もっと自由に書けるようになったら楽曲先行で、このサウンドの形は崩したくないというものにチャレンジしたいなと思っているけれども。でも、言っても微調整で済むので、デモとはちょっと違う形になって最終形になることが多いです。
──ちなみに、新曲は今作っているんですか?
AKI:作ってます。これはちょっと約束できないんで言いたくないんですけど、やりたいなとは思っているんですよ、3月25日の<千歌繚乱vol.20>で。ただ、これを言うと約束になっちゃうんで、この話はカットしてほしいんですけど。
──(笑)。いや、そこをなんとか……!
AKI:いやあ、歌詞がね(笑)。一番と二番が同じでもいいならいいですけど。
──でも、その一番はAKIさんが言いたいことなんですよね。
そうです。
──であれば、繰り返しでも問題なさそうですけど。
AKI:僕の曲はだいたいサビは一緒だし、まあ、言いたいこともそこまでないんですけど。でも、それを表現するテクニックであったり、アレンジしていく力は絶対に必要だと思っていて。だから「同じ歌詞でいいや」ではいけないなと思っていて。
──ああ、確かに。そこもニュアンスの差ですけど、大事なことですよね。
AKI:だから……まあ、やれたらやります(笑)。
──楽しみにしてます。リリースについてもお聞きしたいんですが、始動を発表した後、矢継ぎ早に曲を出していく方法論もあると思うんです。AKIさんとしては、それよりも一曲一曲じっくり作っていきたいという考えでしょうか。
AKI:まず、「CALL MY NAME」は、こういうライブになるだろうというイメージで曲を作ったんですよね。それを実際にライブでやったわけですけど、その楽曲は自分がボーカルとしてライブをする前に作ったものであって。だから、ライブをしてみて感じたことや、自分がイメージしていた感覚とどれだけ差があるのか確かめてから、次の曲を作りたかったんです。想像だけで先走ってしまって、「あれ?」と思いたくなかったので。実際にやってみてそんなに違和感はなかったですけど、もっとこういう楽曲がほしいなとか、こういう曲があればこっちの曲も活きてくるかなとか。そこで出てきたものを次の音源でまとめたいなと思っていますね。
──確かにそういう考え方であれば、リリースペースはそうなりますよね。
AKI:みんなが早く新曲が聴きたいのは充分わかってはいるんですけど、まあ、そこは自分のペースでいいのかなと。
──僕はそういう活動の仕方は素敵だと思うんですが、世の中のサイクルってめちゃくちゃ早いじゃないですか。数ヶ月おきに新曲が生まれてくる状況であって。そこに対してカウンターでいたい気持ちもあるんですか?
AKI:「どの曲も自分にとっては大事な子供のようなもの」っていうベタな言葉がありますけど、作った曲がワンツアーで使い捨てになってしまいかねない状況というのは、やっぱり寂しい気持ちはあるんですよ。もちろん新曲はあったらあったに越したことはないのはわかっているんですけど、僕としては発表している楽曲を大事にしたいなと思っています。たぶん、そこの葛藤はずっとしていくのかなとは思うんですけどね。
──そもそもの話なんですが、なぜAXESSORYという名前にされたんですか?
AKI:基本的に自分のソロの活動は、バンドの活動のアクセサリーでいいなと思って。いまSadieは止まっていますけど、ソロを主軸に活動していくというよりは、それはあくまでもSadieのアクセサリーでいいなと。というのと、服は毎日着替えるけれども、アクセサリーってその人を象徴するものというか、アイデンティティになりうる存在でもあるじゃないですか。「この人、ずっと同じやつをつけてるな」とか。そういった音楽がいいなと思ったんですよね。それがリングなのかネックレスなのかはわからないけど、自分の人生において、僕のソロの楽曲はそういう存在であって、ファンの人にもそういうものになればいいなと。
──ソロプロジェクトを始める人って、自分のやっているバンドを乗り越えたいと考えることもあると思うんですが。
AKI:そこは自分がどうこうという感じではないかもしれないです。現状、バンドは止まってしまっていて、復活しない限り、前に進まない限り、あの時点からSadieが成長することはないんですよね。だからみんなが一回り大きくなってまた一緒に音を出せたら、あのときから今に飛び級するじゃないけど、成長できるだろうなっていう思いはありますね。
──AXESSORYの話をSadieのメンバーと話したりします? The THIRTEENとは対バンもされていましたけども。
AKI:普通に話しますよ。真緒と美月には「歌モノを作れ」と言われましたし(笑)、剣とは、ナナとして<渋谷が大変>に出たときに一緒の楽屋だったりして。景は音楽活動をしていなのでなかなか会えないんですけど。
──実際に歌モノ作りに挑戦してるんですか?
AKI:挑んでますね。やっぱりボーカリストの先輩の言うことは聞いておこうかなと(笑)。ただ、より歌詞が難しいですよね、歌モノになると。
──確かに。でも、挑みがいがありますよね。
AKI:そうですね。なにか大変なことも、一度やると耐性ができるというか。普通になるというと変ですけど、乗り越えていけるので、挑戦しがいがあるなとは思ってますね。歌うからにはいいものにしないと。
──そちらも楽しみにしつつ、今後はどんな活動をしていきたいですか?
AKI:もちろんワンマンライブはやってみたい。ただ、ワンマンとなると……まあ、15曲ぐらいですかね。それだけ続けて歌ったことがまだないんですよ。だから歌いきれるのかどうか。もちろんいきなりワンマンというわけにもいかないので、徐々に曲数を増やしていく展開というか、スリーマン、ツーマンを経て……になるのかはわらかないですけど、チャレンジしたいなとは思っています。
──AKIさんとしては、このプロジェクトを通してどんなことを伝えたいですか?
AKI:伝えたいことと言うほどのものでもないんですけど、やっぱり生きていると嫌なこととかつらいことのほうが多いじゃないですか。だからライヴの間ぐらいは、それを忘れることができたらいいなと思って。終わった後に、明日からまた頑張るかって思えたらいいなと思ってますね。それを伝えたいかといったら違う気がするんですけど。
──自分が音楽をやる上で大事にしたいというところでしょうか。
AKI:うん。そうですね。
──そして、もうひとつ重要なことが、このプロジェクトを続けていきたいという。
AKI:それが一番の目標ですね。声が出なくなるまでは……ぐらいの勢いでやりたいです。いつまでステージに立ち続けることができるのかはわからないですけど、続けていくことが目標ですね。
──いつまでステージに立てるだろうかと考えたりします?
AKI:うーん、海外の方はすごく高齢になってもやられていますけど、まあ、ヴィジュアル系ですからね、我々は。
──いや、高齢でもやれると思いますよ、僕は。
AKI:でもまあ、ずっと続けていらっしゃる先輩方がいるので、その人たちの背中を追いかけようかなと思います。正直、今はいつまでというのは見えないですね。ずっといける気もしているし、すぐに寿命がくるのかなと思ったりするし(笑)。
──続ける前提ではありつつも、すぐに寿命が来るかもしれないと考えてしまうぐらい激しいことをやっているというか。それこそ喉への負担とかを考慮していないように。
AKI:そうですね。そういうのは全部取っ払いたいと思っているし、なんか、バンドを始めたときってそうだったような気もしていて。「別に長生きしたくねえ!」みたいな。「太く短くだ!」みたいな感覚があったんですけど、気持ち的にはそういうところにちょっと近いものもあるかもしれないです。
取材・文◎山口哲生
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AXESSORYが出演する<千歌繚乱vol.20>は、3月25日(月)池袋EDGEにて開催。チケットの購入はコチラから。
<千歌繚乱vol.20>
出演
ARTiCLEAR/AXESSORY/AMBEEK/K/Ruiza solo works
料金 ※ドリンク代別途
一般チケット 3,800円/当日券 4,000円
チケット
3月1日(金)12:00~3月24日(日)
購入ページ:https://eplus.jp/sf/detail/2847400001-P0030001
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