【対談】フルカワユタカ×安野勇太[HAWAIIAN6]、避けていたメロコアを盟友と共作「遅れて来た青春を謳歌している」
■もてなそうとしてのビッグマウスだったり
■ちょっと面白いやつを演じてる感じ
──勇太さんはいかがですか?
安野:ドーパンですよね? 凄いなと思ってましたよ。やたらギターが上手いし、歪まないのにグレッチを無理やり弾いてたし(笑)、なんか凄いなって。ある時期からフルカワが作る曲がヤバくなってきたし。
フルカワ:お客さんもそんなに多くなかったから、対バンにかますために作っていたところはありましたね。“どうだ!”って。モチベーションが“対バンに向けて”という意識は強かったと思う。
──当時、ドーパンのデビューシングル「Dream is not over」を聴いたときは“新世代のバンドが出てきたな”と感じました。
フルカワ:僕ら、もともとパンクじゃなかったですからね。
▲安野勇太[HAWAIIAN6] |
フルカワ:対バンする仲間がそうでしたからね、自覚はありましたよ。“HAWAIIAN6がHi-STANDARDなら、オレらはHUSKING BEEだ!”みたいな。道なき道を作った先輩たちがいて、その後を歩かなきゃいけないオレたちがいて、当時は誰かになぞらえてましたからね。だから、オレらも寄せてました。後追いでHUSKING BEE は知りましたから。地元にいた頃に『Heavy Metal Syndicate』というラジオ番組を聴いてて、当時ジェイソン・ベッカーというカコフォニー(米国ヘヴィメタルバンド)のギタリストが大好きだったんですけど、その人が新譜を出すタイミングで手紙を送ったんですよ。“才能ある人がパーキンソン病になって、かわいそうだ”みたいな。“ニルヴァーナとかグリーン・デイとか、テクニックもないクソみたいな音楽が流行ってる”みたいなことを書いたら、その手紙が読まれたんですよ。
安野:マジで(笑)?
フルカワ:うん、そのクソみたいな音楽の部分は読まれなかったけどね。毎週ラジオを聴いてて、まさか読まれるとは思わなかったから、読まれた瞬間に恥ずかしくなっちゃって(笑)。翌日、学校のメタル仲間から、「山口市に住んでて、あんなことを書ける奴はオマエしかいない!」って、バレそうになり。そのときは否定したけど(笑)。
安野:ははははは。
フルカワ:ええと、何の話だっけ? それぐらいパンクに対して偏見があったんですよ。田舎に住んでいたし、メタル友達とマノウォーとかレイジとか。レイジと言ってもアゲインストザマシーンじぇねえぞって。
──ジャーマンメタルのレイジですね(笑)。
フルカワ:そうです。上京して、大学でタロティと知り合って、NOFX、Hi-STANDARDとかを知ったんですよ。その軽音楽部の先輩にはRUDE BONESのギターがいたりもして。“あっ、音楽は上手い下手だけじゃないんだな”と。それからギターも練習しなくなりました(笑)。
──メタル少年が変貌したと。
フルカワ:ヘタになろうと思いましたからね(笑)。東京でライヴを観に行くのが楽しくなっちゃって。三軒茶屋HEAVEN'S DOORにスキャフルキングを見に行ったらその対バンがASSFORT、ヌンチャクだったりして。勇太は最初からメロコア聴いてたの? ギターを弾くきっかけもそこ?
安野:違う。
フルカワ:そうだよね、プレイスタイルもそっちじゃないもんね。
安野:高校に行くまでパンクなんて全く知らなくて。「オマエ、Hi-STANDARDも知らないの?」って、高校の友達に言われて。そいつに『GROWING UP』を借りたんだよね。それが入り口でいろいろ聴いたから。
▲フルカワユタカ |
安野:いろいろ話をした記憶はあるけど、特段仲良かったわけでもないですね。
フルカワ:音楽の話をするのはHAWAIIAN6の中では勇太だけで、はっちゃんとは“打ち上げでドッカン!”みたいな感じだったから(笑)。
安野:楽屋でちょっと話す程度だよね。
フルカワ:これはマーちゃんにも勇太に関しても言えることだけど、本音でいけないところがあって。苦手とかじゃなくて、話したいんだけど、芯を食った話はしてないと思います。ヘンな言い方だけど、こっちがリスペクトしているだけに、“この人、あまりオレに興味ないな、オレを凄いと思ってないな”となっちゃったら、傷つくから(笑)。
安野:そんな風に思われていた記憶もないし。ただフルカワはヘンな奴だなと思ってました。
──というのは?
安野:ヒネクレているというか。でも基本、根が優しいんですよ。もてなそうとしてビッグマウスでヤーヤー言うような、ちょっと面白いやつを演じてる感じだったんですよ。それはいまだに思いますね。
フルカワ:ははははは。
安野:“ロックスター”って自分で言ったり、まわりからもそう呼ばれるようになって、雑誌でも凄いこと言ってたんだけど、それも根が優しいだけなんですよ。
──サービス精神が旺盛だと。
フルカワ:そういう風に言われると、クソ恥ずかしいですね。嬉しいけど。
安野:若いときはイキがっていたところもあるだろうけど、人間性自体は変わってないんだろうなと。
フルカワ:人によるんですよ。イキがる相手を選んでいたと思います(笑)。マーちゃんと勇太の前ではイキがってないですね。
◆インタビュー(3)へ
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事の関連情報
【ライブレポート】LOW IQ 01、<Solo 25th Anniversary チャレンジ25>日比谷野音公演を豪華ゲストも祝福「25周年、楽しいお祭りができました」
【ライブレポート】<貴ちゃんナイト>、fox capture plan、フルカワユタカ×木下理樹、CONFVSEの共演に和やかな音楽愛「笑っててほしいよ」
フルカワユタカ × 木下理樹 × 岸本亮 × 山﨑聖之、<貴ちゃんナイト>共演に先駆けてラジオ番組対談
<貴ちゃんナイト vol.16>にfox capture plan、フルカワユタカ×木下理樹、CONFVSE
フルカワユタカ(DOPING PANDA)、the band apart主宰レーベルより新曲「この幸福に僕は名前をつけた」リリース
フルカワユタカ(DOPING PANDA) × 荒井岳史(the band apart)、ソロ10周年記念Wアコツアーを5月開催
ACIDMAN主催<SAI 2022>ライブ映像を出演者らのトークと共に楽しむ特別番組生配信
フルカワユタカ(DOPING PANDA)、周年イベント<10×25>出演者最終発表
フルカワユタカ(DOPING PANDA)、5thアルバム発売日に周年イベント<10×25>開催発表