【インタビュー】seek&AYA [Psycho le Cému]、「作ったのは“生で観ないと聴けないもの”」

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■それぞれ復活まで10年間修行を積んで
■ドラクエみたいに再びパーティーが集まった

──当時、解散とかそういう話にはならなかったんですか?

seek:DAISHIが捕まった時ですか? もうみんなの思考回路が止まっていた気がします。その時に“活動休止”って言葉を付けたのはYURAサマやったと思うんですけど、その言葉を置いただけの話で。あの時「解散」だと言われたら、たぶんその道だったのかもしれない。“今は活動休止”だって、先の展開を考える余裕は誰にもなかった。それぐらいの感覚で、ずっと短距離走をやってきた感じだったんです。今は、“これから先、どうやったら音楽を続けていけるんだろう?”ということを考えた上で、時には持久走と長距離走を使い分けている時もあると思う。

──ええ。

seek:“DAISHIが捕まったことでPsycho le Cémuが終わった”と思われてるかもしれないですけど、実はそうじゃなくて。それはたまたまのきっかけです。あんな走り方してたら、いずれはどこかで僕ら大怪我してたはずで。それはすごく思うんすよね。それぐらい勢いあったし、動員がどんどん増えて、目指していたメディアにも出られるようになって、目まぐるしく環境も変わって、というのが続いてる中やったから。武道館も、“手が届きそうや。あれ?届かんかったぞ……着地どうすんねん?”みたいなところから急激にガタガタってコケた印象がありますね。

▲2017年<Doppelganger ~Next Generations~>

──それはAYAさんも同じ感覚ですか?

AYA:そうなんですけど、ちょっと違う感じ方もしてました。“DAISHIというアイデアマンがいるけど、自分も何かをやりたい”っていう欲はずっとあったんです。だから、DAISHIが捕まったことをきっかけに僕は“自分のやりたいことをやりますよ”という考えになったのかな。で、それぞれが復活まで10年修行を積んで、再び『ドラクエ』みたいにパーティーが集まった、みたいな感覚なんです。なので……別に感謝はしてないですけど、まぁ良かった10年やと僕は思っています。ちゃんと成長してこられたと思うので。

──タラレバですけど、DAISHIさんの事件がなかったら、逆にバンドは空中分解していたと思いすか?

AYA:もう1年やって解散して、みんな音楽を辞めていたかもしれないですね。

seek:AYA君の言うとおり、事件があって、結果放り出されて、各自が修行を積めたんです。そして、その成果をDAISHIもすごく信頼してくれている、それはすごく嬉しいことで。でも、Psycho le Cémuのパワーバランスをもう一回、DAISHIが無茶苦茶にすべき時期に来ています。音楽的な意味、表現的な意味でね。「若いチームもしっかりしてきたから、僕、結構安心してできるわって」ってDAISHIが言ってることに対して、苛立ちが大きいんですよ。

──“丸くなってんじゃねぇよ”みたいな?

seek:“DAISHI、丸なるの早ない? それせめて武道館やってから言ってくれへん?”みたいな感じです。僕ら元々めちゃめちゃ仲の良いバンドなんですよ。でも大人になって、“昔やったら、ここまで踏み込んだら喧嘩になったかな”というところまでは言わないようにしているというか。そこは仲が良いからこそだし、いい関係だなとも思うんですよ。でも、DAISHIは元々すごく尖ってるというか、牙の生えているタイプで。にもかかわらず、最近は牙が休んでいる状態なんですよ。

──事件を起こした心苦しさもあると思いますし。それでも、“破滅へと向かうの? あの世界 僕が終わらせた”の一行が書けたので、なにか吹っ切れたかもしれませんね。

AYA:僕はこの歌詞を聴いてお客さんがどう思うんやろ?って。そこが楽しみです。

──それにしても丸くなることはこのバンドではダメなんですね?

AYA:うーん……似合わないと思いますね。

seek:ホンマに向いているのは短距離走やと思いますよ。もう僕らコケたくないし、死にたくないから、長距離走もしていますけど(笑)。

▲2018年<TOUR 2018 Doppelgänger ~ゲルニカ団 漆黒の48時間~>

──来年は20周年ですが、そこからまた短距離走ペースに戻るとか?

seek:そのターニングポイントがいつなのか分からないですけど、本来はそうあるべきかなと僕個人は思っています。でも、僕が長距離走のタイプやから、今、パワーバランス的にそれを握っているところはあるかもしれない。

──なるほど。

seek:僕らやっぱりイジられてなんぼやと思うんです。復活してから3年なんですけど、この期間が結構しんどくて。若い時は周りが先輩ばっかりなんで、イジられやすかったんです。「おいおい、お前、魚みたいな格好して、カッコええと思っとんかい!」「いやー、楽しいんですよ。あははは!」って感じのはずやったんですけど、後輩が増えてくると、段々ベテラン感が出てきちゃうんです(笑)。

──あはははは。

seek:「先輩、スゲーっすよ」って後輩たちは僕らを立ててくれるんですけど、この見た目で立てられても困るし(笑)。自虐ネタで、「僕らこんな格好なんで、弾きづらい!」と言ったところで、「そうなんですか。勉強になります!」って返されるみたいな。「いや、そこ笑ってもらわないと」みたいな時期やったんですよ、この3年間は。でも、さらに年齢を重ねることによって、逆に面白くなっていくのかな。40歳を超えてこの格好でこんな楽しいライヴやってたら、逆に世代を超えて楽しんでもらえるかなと思うので。でも、基本は貫禄が出てくるタイプのバンドになったらあかんと思っています。

──確かに(笑)。

seek:初めて僕らを見た人に「知らんけど、えっ!? こんな人らおるんや!」ってならないと。「Psycho le Cému、知ってます!」と言われちゃったらダメな気がしてるというか、辛いタイプのバンドではあるんです。

AYA:そうですね。

seek:Psycho le Cémuっていう名前自体も、覚え辛くするために付けたし。

AYA:そうなんですよ。わざと長くしてるんですよ。

seek:“名前を見たところで読み方が分からへんやん”みたいな。そもそも造語なので意味ないし(笑)。“画の情報が先に入ってくるように、バンド名は覚えられないように長くしよう”という意図やったんです。来年で20年。キャリアが長くなってくると僕らも麻痺してきて、“知ってもらってて当たり前でしょ”みたいになっちゃうんです。でも、そこは今あらためて、そういう気持ちにならないようにしとかなダメかなと思ってます。

──その状態で武道館とかドームができたら、本当にすごいですよね。

seek:そうですね。今まで僕らがやってきたこと、結果やってしまったこと、全てが武道館だったりの大きなドラマに繋がっている気はしているんです。今度こそ、きっちり山を登らないとですね。

──「人がやってないものをやる」って言い切れるバンドは面白し、興味が尽きないです。

seek:そう言ってもらえると嬉しいです。パッと見の印象はイロモノだったりチャラいだったりするかもしれないけど、やってるスタイルがここまで変わらない部分も含めて、「話を聞くと、“めちゃくちゃロックやな”」って言われることが多いんです。この間もある先輩から、「初めて見た時はすげーイロモノなバンドやなって思ったけど、話を聞いたり一緒にセッションすると“ロックな気持ちを持ってるんやな”って思える」って言ってもらえたんです。そこが僕ら自身ずっと変わらないし、20年過ぎても変わることなくいきたいですね。

取材・文◎ジョー横溝


■東名阪ツアー<FANTASIA>


▼<FANTASIA~恋の幻想曲を探す物語~>
2018年12月8日(土) 名古屋ボトムライン
Open 17:30 / Start 18:00
▼<FANTASIA~怒りの幻想曲を探す物語~>
2018年12月9日(日) 大阪パルティッタ
Open 17:30 / Start 18:00
▼<FANTASIA~勇気の幻想曲を探す物語~>
2018年12月14日(金) Zepp DiverCity Tokyo
Open 17:00 / Start 18:00
▼チケット
楽天チケット https://ticket.rakuten.co.jp/music/jpop/visual/RTCYPLH
ローソンチケット http://ur0.work/Nbbp


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