【インタビュー】HISASHIが語る“作曲家としてのGLAYメンバー達”。「光の当て方で人は見え方が変わる」
待ってましたと快哉を叫ぶ、GLAYの王道サウンドが高らかに鳴り響く。GLAYの56枚目のニューシングルは、TAKUROによる「愁いのPrisoner」(セブンイレブンフェア・タイアップ曲)と、TERUによる「YOUR SONG」(スペシャルオリンピックス日本 公式応援ソング)の強力ダブルAサイド。アメリカ・ネバダ州で撮影された雄大なビジュアルに包まれた楽曲の制作過程、バンド内の結束、そして未来への展望について、HISASHI(G)が語ってくれた。
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■「そろそろTAKUROのGLAYスタンダードが聴きたいな」とリクエスト
▲「愁いのPrisoner/YOUR SONG」 |
HISASHI:すべての活動があって、結果的にここにたどり着いていることだと思うんですよね。出会いはすごく大事で、TERUの「HEROES」がアニメ『ダイヤのA』のオープニングテーマだったり、僕の「デストピア」「超音速デスティニー」がアニメ『クロムクロ』のオープニングテーマ(第1/第2クール)だったり、「YOUR SONG」がスペシャルオリンピックスのテーマ曲になったり、そういった出会いを一つ一つ大事にしてきた結果だと思ってます。そこからの今回のシングルなんですけど、ツアー中に「そろそろTAKUROのGLAYスタンダードが聴きたいな」という話を、僕はリクエストしてたんですよ。TAKUROはほかのメンバーの曲を演奏するのが面白いと言って、最近は自由なリリースの仕方をしてたんだけど、やっぱりTAKUROのスタンダード曲が聴きたいと言った記憶があります。
──HISASHIさんの中では、やはりGLAYスタンダードはTAKUROさんの曲?
HISASHI:そうですね。僕は結局サブカルチャー的なものが大好きで、今はそれがメインのカルチャーになっている感じもありますけど、GLAYの中でメインでやると面白みがなくなっちゃうタイプの曲は、メインではやりたくないなと思ってたんですよ。『クロムクロ』のお話をいただいたのはすごくうれしかったし、物語に合う曲を作れたと思うんですけど、GLAY全員がいちリスナーとして何が一番聴きたいか?というと、やっぱりTAKUROのメロディが聴きたいので。
──それがTAKUROさん作詞作曲の「愁いのPrisoner」。
HISASHI:セブンイレブンのタイアップになるという話があったので、やっぱりTAKUROの王道のメロディが、全国2万店舗にも及ぶセブンイレブンで流れたら美しいだろうなと思ってました。
──曲を聴いた第一印象は?
HISASHI:本当にリクエスト通りの、TAKUROの王道曲だなと思いましたね。ただ制作の段階に入ると、冷静に曲の良しあしやメッセージが、あんまり聴けなくなっちゃうんですよ。細かいギターのアプローチを詰めたりとか、スタジオワークが中心になるので、今ようやく冷静に聴けてる感じかもしれないです。あらためて聴いてみて「あ、こんな曲なんだ」という、いつもそんな感じなんですよ。時間が経って、ライブでやるようになってから意識が芽生えるみたいな。
──イントロのギターリフは、いわゆる付点8分ディレイによる空間的な響き。あれはHISASHIさん?
HISASHI:そうです。
──すごく雄大な感じがしますよ。
HISASHI:今回アメリカでの撮影に繋がった流れとしても、“大陸的な広さ”というイメージが曲作りの最初の段階からあったんですね。風が吹いている感じとか、そういうものが音にも表れてると思います。
──確かに、あのフレーズには風を感じます。TAKUROさんは「GLAYを広い場所に連れて行きたかった」というコメントをしてますね。
HISASHI:今回すごい久々なんですよ、海外撮影というものが。なので、今まで国内でやってきたGLAYのサウンドを、海外に行くという行程と意識も含めて、TAKUROは変えていきたかったんじゃないかなと思いますね。ちなみにこのネバダ州トノパーという街にも、一人だけGLAYのファンの女性がいて。
──マジですか? それはすごい。
HISASHI:震えながら『HEAVY GAUGE』のCDを持ってきて、こんなことめったにないから、ちょうど撮影した場所の裏あたりにダイナー(レストラン)があって、そこで一緒に飲んだりして。やっぱり日本の文化が好きみたいで、その中にはアニメやゲームやいろんなものがあって、ビジュアル系文化も珍しく見えるらしく、そこでGLAYに出会ったみたい。
──面白いですねえ。
HISASHI:そういうことも含めての、この作品なんですよね。出会いが生んだ作品という気がします。
──「愁いのPrisoner」のギターアレンジは、伸び伸びしてますね。屈託がない。
HISASHI:本当にこの手の曲は得意なんですよ。目をつぶってても弾ける感じ。だから逆に良くも悪くもGLAYになる、そういうものが拭いきれない。
──それはあったほうがいいですよ。というか、ないと困る。
HISASHI:なるべくちょうどいいバランスを自分の中で考えながら、俯瞰で見ている自分がいたりしますけどね。この手の曲は本当にGLAYらしいなという感じはします。
──もう1曲「YOUR SONG」はTERUさんの曲。これは?
HISASHI:わかりやすく言うと『ラ・ラ・ランド』の世界というか、前向きに夢に向かっていくという、TERUの人間性がまんま曲になったような感じですね。
── 一発でわかりますよね。ああTERUさんの曲だって。
HISASHI:スタジオワークもまさにこんな感じで、終始楽しかった。亀田(誠治)さんのプロデュースって、雰囲気もすべてレコーディングするんですよ。楽しいねという気持ちが詰まった歌になりました。
──ジャクソン5とか、モータウン系のノリも感じたり。
HISASHI:そうですね。こういう強いメッセージのある曲は、ほとんどギターで表現する必要がないんですよ。左手を添えるだけみたいなギターです。ソロも、自分で考えずに曲に呼ばれたようなメロディが生まれてきたし、メッセージ性とか曲調とか、TERUのやりたいことがすごく強かったから、自然と出てきた音たちですね。
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