【ライブレポート】BENI、初の47都道府県ツアー完走「またすぐ、会おうね!」

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2017年3月30日、BENIが自身の誕生日でもあるこの日に東京キネマ倶楽部からスタートしたライブハウスツアー<BENI Live House Tour 2017 “HOTEL BENI”>が1月20日、同所での追加公演で大団円を迎えた。

◆BENI ライブ画像(全6枚)

今ツアーはBENIにとって初の47都道府県を巡ったキャリア最長のツアーであり、加えて、凝ったセットや派手な演出はなく、シンガーとしてのルーツであるシンプルなステージで、楽器、DJ、ダンサー、そしてBENIの歌とパフォーマンスだけで表現するというテーマのもと実施。初日のライブで「本気の全国ツアーをやろうと思っている」と力強く宣言した彼女は、最終日のステージでその言葉を証明して見せた。

シャレを交えながらライブの諸注意を、フライトアテンダントのような口調で説明するBENIの影アナが開演を告げる。そんな開幕の合図から一呼吸の間に、メインステージ横の壇上にあるサブステージに颯爽と現れ、スポットライトの下で「見えないスタート」からライブはスタートした。ベートーヴェンの「悲愴」に日本語詞を乗せた、ボートレースのCMソングとしてお馴染のナンバーだ。BENIのボーカルのみで聴かせる歌い出しから、ギター、ピアノと徐々に音を重ねていく厳かな幕開け。息遣いまで聴こえてきそうなライブハウスだということもあり、歌の力がダイレクトに伝わってくる。

4人のダンサーを従えて披露された「stardust」「CANDY」などアッパーなダンスチューンでは、しなやかでダイナミックな身体の動きだけでなく、指先や視線の繊細な動作にも目が惹かれた。中でもアグレッシヴな「RED」からミドルバラードの「AM2:00」への流れでは、突き上げた拳をそっと開いて下ろす腕の動きまでもが美しく、曲と曲の間すらも魅せられた瞬間だった。


途中のMCでは、ライブの3日前に体調を崩して“家で監禁状態”だったことを告白したBENI。「みんなに会うことだけを考えてパワーにして、こうやってみんなに会えて、歌えて、幸せを噛みしめています!」と語り、「(私の)ベースになった大切な曲」という童子-Tとのコラボ曲「もう一度」を、2017年9月にリリースした英語カバーアルバム『COVERS THE CITY』のカバーバージョンで披露。しかも、ファンにとっても思い入れの深い、ライブでは大合唱が定番の楽曲であるため、「サビだけ日本語を残しました(笑)」という特別バージョンでの披露となった。心情を吶々と吐露するように繰り出すラップと、オーディエンスと想いを共有するように歌われるサビのコントラストを生で見られたことは、大きな収穫だったと思う。

そして、「ちょっとしんみりしちゃったけど、ここからはアゲていきますよ!」と羽織っていたジャケットを脱ぎ棄て後半戦へ。

「みんなとの時間が愛しすぎて、(初日の)ワンナイトでは足りませんでした。(47都道府県を巡って)日本がもっともっと好きになりました!」とツアーの振り返りトークをしていると、肌蹴た白シャツ姿の男性ダンサー2人がBENIの両サイドにそっと歩み寄って来る。すると、オースティン・マホーンの「Dirty Work」が場内に流れ、BENIをセンターにしてダンサー2人と共にリズムに乗ってウォーキング! で、ブルゾンちえみ的キメのところでダンサー2人が背中を露わにすると、そこには「全国」「制覇」の文字がラインテープで刻まれているというオチで観客を沸かせた。

そんなお茶目な演出を経て、「SAYONARA」「FLY HIGH」とライブエンディングに向けて爽快なナンバーを連投。本編ラストの「ZERO」ではメンバー紹介をしながらハイタッチを交わす姿が、このツアーを通して培われた互いへの労いを表しているようでもあった。


アンコールは、客席のどこからか発せられた「今日は「永遠」でいきましょう!」という声を契機に、“アンコール”ならぬ“「永遠」コール”が。永遠の愛を誓うこの歌を、BENIへの親愛の証とするように客席に広がる合唱が会場に広がると、その声に応えてBENIが再びステージに姿を見せ、ツアーを終える心境を語り出した。

「ツアーロス。……これから土日はどうするの?(笑)」とロングツアーの完遂と達成感と消失感を伝えるBENIに、客席からは「2周目回って!」という容赦ないリクエストが。すると「日にちはまだ発表できないけど、ライブもCDもあります。2018年、いろいろ決まっていますから、心配しないで!」と約束。そして、「みんなへの想いを込めて、この曲を特別なバージョンでお届けします。支えてくれて、集まってくれて、ありがとう。今年もみんなの支えになる歌を歌っていきます」と、ストリングスとフルートの演奏で「Arigato」を歌い上げたBENI。ありったけの感謝を込めて歌い終えると、笑顔でいっぱいになった客席の隅々までを見渡し、「またすぐ、会おうね!」といって両手で投げキスをして名残惜しそうにステージを後にした。

BENIの歌に癒され、その存在に救われてきた人たちのもとを訪れた今回のツアーを通して、“みんなの支えになる歌を歌っていく”という決意を新たにしたBENI。“いろいろ決まっている”何かが届けられる日を楽しみに待つことにしよう。


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