【レポート】VAMPS、ライヴハウスツアー完遂「アメリカ、戦ってくる」

2017年4月にニューアルバム『UNDERWORLD』をリリースしたVAMPSが、同アルバムを掲げ、2017年6月21日のZepp Tokyoを皮切りに全国7都市22公演の規模で＜VAMPS LIVE 2017 UNDERWORLD＞を開催、本日9月18日、同ツアーの一区切りとなる仙台公演が終了した。そのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆VAMPS 画像

VAMPSはアルバム『UNDERWORLD』リリース後、5月から約1ヶ月に渡るU.S. Tourを敢行、帰国後すぐに籠城型国内ライヴハウスツアーで東京、名古屋、熊本、福岡、大阪、札幌を廻ってきた。その締めくくりとなる公演が仙台PITだ。

16:00、＜VAMPS LIVE 2017 UNDERWORLD＞仙台PIT公演2日目が開場すると、数時間前から待ち望んでいた多くのBLOODSUCKERSが会場内へ飲み込まれて行った。VAMPSにとって仙台でのライヴは、2015年3月のゼビオアリーナ仙台公演以来、約2年半ぶり。会場を埋め尽くすファンのみならず、カウントアップタイマーがプロジェクションされる幕の奥からもその熱気が伝わってくる。

16:30、会場内に流れるエントランス・ミュージックは、現在のU.S.ROCKシーンを代表する洋楽ROCKだ。ふとVAMPSの音楽が流れていても遜色ないであろうという高揚感が胸を熱くする。国内のみならず、世界を舞台に場数を踏んできたVAMPSの今を、これから目の当たりにするのだから、高まる期待を抑えられないのも当然といえば当然のこと。

16:60、エントランス・ミュージックが強烈なインパクトとともに切り替わり、会場全体のカウントアップがスタートした。“16:66＝6が３つ並ぶ”その瞬間が待ちきれない雰囲気でざわめく会場にさらに気持ちが高まっていく。


16:66、ついにその時が来た。カウントアップを終えたと同時にステージの全貌がうっすらと明らかに。会場内に鳴り響くサイレン、全体を赤く染めるライティング。デンジャラスな雰囲気が漂う中、その赤く染められたステージにバンドメンバー、そしてVAMPSが登場した。フロアから無数に上がるVのマーク（ヴァンピースと呼ばれる裏ピース）の中、メンバー全員のシルエットがステージ上に浮かぶ。背面には大きなVAMPSのスカルロゴ。そして定番曲「MIDNIGHT CELEBRATION」でライヴがスタートした。

「EVIL」「DOLLY」と続き、オープニングから立て続けにVAMPSのダークかつヘヴィな世界観が凄まじい勢いで表現されていく。負けずとも劣らない観客の熱いテンションが正面からぶつかり合い、会場が一瞬で熱気に包まれた。

「＜UNDERWORLD＞へようこそ。最後、悔いのないようにやろうぜ。Let’s go to＜UNDERWORLD＞!!」──HYDE

HYDEからの本日初MCは、「お前らを俺らの世界に連れて行ってやるよ」と言わんばかり。その牽引力に会場がさらに引き込まれていく。アルバムタイトル曲「UNDERWORLD」、「BREAK FREE」「DON’T HOLD BACK」と最新アルバム『UNDERWORLD』収録曲が次々と披露されると、リリースから数ヶ月だが、すでに新曲とは呼べないほど観客の身体に浸透している様子が見受けられた。


『UNDERWORLD』収録曲は、これまで以上に重厚感が表現されている。名だたる海外プロデューサーとの共作を経て、さらに進化した彼らの音楽は、VAMPSを知らない世界中の人々にもワールドクラスのサウンドとして響くはず。ステージプレゼンスも同様に、もはや世界標準といっても過言でない。アルバムから、さらにダークさが濃く伝わる「BLEED FOR ME」「IN THIS HELL」が披露された。ダークの一言で表現するにはあまりにも安易すぎるこれらの楽曲は、そのヘヴィさの中にある“美しさ”や“繊細さ”をも表現し、会場内の空気を良い意味でガラリと変えた。

そして「CALLING」だ。今やVAMPSを代表するナンバーは、最新モダンロックとして音楽的に綺麗にハマるポップかつキャッチーなトップライン。日本で言うところのキュートなポップ感とは異なるが、一度でも耳にすれば誰もが口ずさめる。バンドの演奏に合わせて会場全体が歌う姿は、これまでとは比較にならないほどに熱い。その中で純粋に楽しんでいる姿が印象的だ。

ライヴも後半戦に突入すると、観客を煽るパフォーマンスで知られる「BLOODSUCKERS」へ。観客も逆にステージ上のVAMPSを煽る勢いで喰ってかかり、「INSIDE OF ME」「RISE OR DIE」と盛り上がりがとどまることを知らない。本編も残すところ数曲のところで、VAMPS定番ヒット曲へ。HYDEがギターを持ち、K.A.Z、そしてJu-kenのフロント3人がステージ中央に寄り添う形でスタートする「AHEAD」。“本能に身を委ねろ”と観る者の本性を暴きだそうとするかのような「DEVIL SIDE」。会場全体をひとつにするパーティーチューン全開の四つ打ち「B.Y.O.B. (BRING YOUR OWN BLOOD)」といったナンバーの連発で、会場はもはやヴァンパイアパーティーが行われているダンスクラブと化して本編を終えた。


その冷めやらぬ熱気で“VAMPS”コールが湧き上がる。会場からのラヴコールに応える形でVAMPSが再登場。登場SEに合わせ、会場全体で沸き起こる「SIN IN JUSTICE」コールでアンコールが幕を開けた。MCではライヴハウスツアーのファイナルとなる本日、HYDEとK.A.Zが会場にいるすべての人たち、そして全世界にいるファンのために言葉をプレゼントする。

「ライヴハウスツアー全22公演は、今日で最後です。みんな楽しそうで嬉しいです。こうやってできたのも、みんなが盛り上げてくれたおかげです。ありがとう」──K.A.Z

「さみしいね。ちょっとさみしい。でも、みんなから元気をもらったから、この後のアメリカ、戦ってくる」──HYDE

このMCに続けて、ファイナルにふさわしいバラード曲「SWEET DREAMS」を、これ以上ないほど優しく、BLOODSUCKERS全員を愛おしむように歌い上げたHYDE。K.A.Zのギターも、その優しさに寄り添うように柔らかく響き、会場全体が大きな拍手で埋め尽くされた。しかし続く「RISE UP」で、その穏やかさが一瞬にして『UNDERWORLD』の世界へと引き戻され、ラストソング「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」へ。本性をさらけ出し、すべての感情がぐちゃぐちゃになるような興奮の中、＜VAMPS LIVE 2017 UNDERWORLD＞ライヴハウスツアーの全公演が終了した。

なお、アンコールではHYDEの口から、VAMPS初見参となったZepp Osaka Bayside公演を完全収録した映像作品が、12月6日(水)にリリースされることがアナウンスされた。この後VAMPSは10月21日(土)に神戸 ワールド記念ホール、11月5日(日)に幕張メッセ イベントホールとアリーナ公演も控えている。

撮影◎田中和子