【ライブレポート】レインボー、昨年を上回る好パフォーマンス
2016年、ハードロックに回帰したリッチー・ブラックモアが活動復活したレインボーは昨年のみの限定活動かとも思われたが、2017年はイギリスで4公演のみ発表され、初日のロンドン公演は<Stone Free Festival>のヘッドライナーでの出演となった。多くのバンドが出演する中、45周年アニバーサリーツアーとなるブルー・オイスター・カルトやスイートも名を連ねるクラシックロックファンには堪らないラインナップでもあった。
◆レインボー画像
先日のテロ事件により、残念ながらマンチェスター公演がキャンセルとなったが、このフェスを含むロンドン、グラスゴー、バーミンガムでの3公演は行われる予定で初日ロンドン公演も無事に開演された。前回のライブは19年ぶりの復活でありリッチーがレインボーを演るというだけで興奮もしたが、会場には昨年のTシャツを着たファンも多く、昨年以上の期待が会場を包み込んでいる。結論から言えば、レインボーは昨年以上の素晴らしいステージをみせてくれた。
威風堂々から始まるステージは何度観ても鳥肌が立ち、リッチーがステージに姿を現わす瞬間の会場の湧き方は本当に特別なものがある。客席のファンのみならず、最前列通路のフォトピットにも物凄い人数のフォトグラファーたちがリッチーの登場を迎えていた。今年は過去のレインボー公演でもお馴染みの「Spotlight Kid」が「Over the Rainbow」から続き、よりレインボーらしいスタートを切った。リッチーの立ち位置はセンターになっており、シンガーのロニー・ロメロは上手側というスタイルだ。
先頃発表された新曲バージョンの「I Surrender」だが、ジョー・リン・ターナー時代の曲でもロニー・ロメロは違和感なく歌い上げ、大きな盛り上がりを見せる。この曲とともに「Since You've Been Gone」の作者でもあるラス・バラードの名前が紹介されると同時にステージに本人が登場、このサプライズに会場の歓声も更に大きくなった。彼もギターを持ち一緒に歌う「Since You've Been Gone」の共演まで観られる事は非常に特別なことであり、リッチーのプレイも昨年より数段素晴らしいプレイを聞かせている。ステージ上の虹のアーチセットは組まれなかったものの、バックドロップには曲ごとに過去のレインボー作品のアルバムジャケットや「Difficult to Cure」ではヴェートーベンが、「Long Live Rock'n' Roll」ではロニー・ジェイムス・ディオが、そして所々にいくつか過去のコンサートチケットが映し出されている。当時のレインボーでの日本最終公演となった日本武道館公演のものまで登場した。
今回のステージでは「Still I'm Sad」が披露された事も非常に嬉しく、ドラムセットもツーバスに変更されバンド全体の演奏面でも充実度が増しており、リッチーのハードロック回帰であるレインボーステージを本格的に堪能することができた。キーボードのイェンス・ヨハンソンは控えめなプレイに徹していたが、ロニー・ロメロは力んだ様子もなく随分とリラックスしたように見え、ステージから最前列通路へ降りてくる余裕も見せる。リッチー同様、余裕からか時折お茶目な仕草もみせてくれていた。
終盤「Burn」が終わるとリッチーから観客へ「あと何が聴きたいのか?」なアクションがあり様々な曲名が飛び交った。「Catch the Rainbow」と「Smoke on the Water」という予定通りのようなラストではあったものの、ここで「Kill the King」が披露されれば、多くのファンを完全にノックアウトすることだろう。この素晴らしかったけれど、もっと楽しませて欲しいという思いが、また次回も観たいと思わせるエッセンスになった。
<Rainbow ~Stone Free Festival 2017 ~>
2017.6.17 London O2 Arena
1.Land of Hope and Glory
2.Over the Rainbow
3.Spotlight Kid
4.I Surrender
5.Mistreated
6.Since You've Been Gone(with Russ Ballard)
7.Man on the Silver Mountain ~Woman from Tokyo ~ Man on the Silver Mountain
8.Soldier of Fortune
9.All Night Long
10.Difficult to Cure ~ Keyboard Solo ~Difficult to Cure
11.Child in Time
12.Stargazer
13.Still I'm Sad ~ Drum Solo~ Still I'm Sad
14.Long Live Rock'n' Roll
15.Black Night
~Encore~
16.Burn
17.Catch the Rainbow
18.Smoke on the Water
写真・文 Sweeet Rock / Aki
この記事の関連情報
【俺の楽器・私の愛機】1691「ストラトと指板と私」
ディープ・パープルの新ギタリスト、演奏するのが難しいリッチー・ブラックモアの曲を挙げる
リッチー・ブラックモア、デュアン・エディを追悼「僕のNo.1インスピレーション」
リッチー・ブラックモア「多分、俺が1番好きなバンドはABBA」
ロニー・ロメロ、レインボーへの参加「感謝しているが、もうやらないと思う」
ジョー・リン・ターナー「リッチー・ブラックモアはABBAの大ファン」
スーパーグループElegant Weapons、ファースト・シングルをリリース
ロニー・ロメロ、ネット上の批判の声に「死も考えた」
ジューダス・プリースト、パンテラ、レインボーのメンバーによる新バンド、ライヴ日程を発表