【レポート】L'Arc-en-Ciel、<25th L'Anniversary LIVE>WOWOW独占放送に観たハイライト
L'Arc-en-Ciel結成25周年を記念して2017年4月8日および9日、東京ドーム2Days公演<25th L'Anniversary LIVE>が開催された。『L'Arc-en-Ciel × WOWOW “L'Anniversary” Special』は、これを記念して計4番組が2ヵ月にわたってオンエアされるスペシャルプログラムであり、先ごろ放送された<15th L'Anniversary Live>および<20th L'Anniversary LIVE>に続いて、6月24日、ワールドツアーに密着した2014年公開のドキュメンタリー映画『Over The L'Arc-en-Ciel』に加え、ついに<25th L'Anniversary LIVE>がWOWOW独占オンエアされる。
◆<25th L'Anniversary LIVE>ダイジェスト動画
<25th L'Anniversary LIVE>のテーマは“世界中に散らばったL'Arc-en-Cielのピースが一つの場所に集い、そしてまた世界中に旅立っていく”というものだった。25年の歴史を集約したセットリストはもとより、それらを効果的に演出する史上最大級の高精細LEDスクリーンや豪華絢爛な照明、高く舞い上がる炎や舞い降りる純白の羽根など、光や映像に加えて物理的な演出が巧みに融合されたステージが華々しく鮮やか。そして、その中心にはいつも4人の表情豊かなサウンド&パフォーマンスがあった。WOWOW独占放送は両日のベストチューンから、約2時間で構成された音楽プログラムとして届けられる。あの夜が描き出した圧巻と感動を濃縮真空パックした映像とサウンドは芳醇、永久保存版のスペシャル放送となるものだ。
映像は、黄金の光に浮かび上がるメンバー4人のシルエットと、それを迎える55,000人(両日110,000人)の大歓声から幕を開ける。イントロが鳴り響いた瞬間に歓喜に包まれた「虹」は彼らのバンド名を冠した代表的ナンバーであり、ライヴ終盤で演奏されることの多いこの曲での始まりにドーム内から大歓声とどよめきが起こったという意味では、意外性をもはらみ、記念すべき夜への期待感を高めていくばかり。続く「Lies and Truth」をはじめとするナンバーは、1990年代中盤から愛されてきた楽曲だ。25年の歴史と歩みを感じさせるセットリストに、ファンの笑顔と感涙が揺れる映像もまた美しい。
「Shout at the Devil」など、アルバム『HEART』や『ark』からコアな人気曲が披露された場面は、燃え盛る炎や荒れ狂う大海原の映像が効果的に使われ、楽曲本来が持つ深みに拍車をかけてあまりにもドラマティック。煌びやかさとは対照的な陰影がL'Arc-en-Cielサウンドの奥ぶかさと広さを感じさせて印象的だ。かと思えば、「REVELATION」。同曲ではhydeとkenがパーカッション、tetsuyaとyukihiroがギターでパフォーマンスを展開しながら、ムービングステージに乗ってメインステージからサブステージへと空中移動するというサプライズ。さらには観客の腕に装着されたL'edバンドが赤く輝くなど、会場全体を演出空間として使ったエンターテイメントには度肝を抜かれるはずだ。この振り幅とスケールの大きさは映像ハイライトのひとつ。空中からムービングステージ真下から、あらゆる角度によるムービーが躍動的なステージを映し出し、サブステージで披露された「X X X」が客席との密着感をリアルに伝えるシーンとなっている。
またポールダンスなど、アンドロイドダンサーがパフォーマンスを展開する中で披露された「花葬」「浸食 -lose control-」「HONEY」は、1998年当時、3枚同時発売されたシングル曲だ。シーンの最前線をひた走りながら未知を切り拓き、ファンと揺るぎない信頼関係を築き上げてきた彼らならではのスピリットが演奏に滲むと同時に、2017年現在のカタチで表現されたステージには、その強靱なサウンド&ヴィジョンを感じずにはいられないだろう。
ライヴ中盤から後半にかけては各メンバーの演奏的見どころにも事欠かない。kenの幻想的かつブルージーなギターソロが導く「MY HEART DRAWS A DREAM」、怒濤の後半への狼煙を上げるtetsuyaのベースソロはもちろん、広大な会場を浮遊する近未来CARの飛行船が場内に出現したナンバーでは、その映像との相乗効果に視線が釘付けにされつつも、バンドアンサンブルが圧巻だ。tetsuyaの6弦ベースによるカウンターメロディ、E-bowを使用したkenのシンセ的アプローチ、2つのハイハットとバスドラだけでリズムを構築するyukihiroのビートなど、いわゆる4ピースバンドのフォーマットすら超越した奇跡のアンサンブルを映像が見事に浮き彫りにしてくれる。
そして「Link」の曲中では、「9年ぶりにメンバー紹介をやっちまおうかな」というhydeのひと言に導かれて、yukihiroがリズムを刻み、tetsuyaがベースリフを乗せ、kenのギターソロへ。“君に出会えた事だけでもう何も恐くはない”“たとえ遥か遠く離ればなれになっても繫がり合う想い”という歌詞が、前述した<25th L'Anniversary LIVE>のテーマと重なった名場面。ラストナンバーの前にhydeがMCで語った言葉は、メンバーやファンとの絆を表したものだった。
「25周年。考えたら人生の半分以上をL'Arc-en-Cielで過ごしていることになるんですよね。これからどんどん、その月日が長くなっていくといいなと思います。ここまでの道のりはすごく長かったけど、こうやってたくさんの人に愛されて、今日この場所に来ることができました。遠回りもたくさんして、楽しいことも苦しいこともいっぱいありましたけど、でも、みんなの今日の笑顔に、報われます。本当にありがとう」──hyde(※一部抜粋)
ライヴ放送番組では曲間のMCが全てカットされることも少なくないが、今回のWOWOW独占放送では印象的なMCがピックアップして届けられることも見逃せないポイントとなる。hydeのこの言葉に続いて、東京ドーム2Daysのラストを飾ったナンバーは「瞳の住人」だった。“ずっと君の笑顔を見つめていたい”という歌詞に、hydeのMCと、L'Arc-en-Cielの25年が重なる。ステージ上のミラーボールと客席のL'edバンド、そして舞い降りる白い羽根が、それを祝福するように輝いて<25th L'Anniversary LIVE>が幕を閉じた。
映像はすべての演奏を終え、客席に感謝を伝えるように手を挙げる各メンバーの表情をとらえて幕を閉じる。WOWOW独占放送には、L'Arc-en-Cielの25年の歩みがうかがえると同時に、この先に輝く未来が映し出されているかのごとく感動的だ。メンバーの一挙一動も、壮大な演出も、美しい衣装の数々も、2日間の模様を2時間に凝縮した同スペシャル版をお見逃しなく。
なお、放送当日は2012年に14都市17公演の巨大規模で行なわれた<L'Arc-en-Ciel WORLD TOUR 2012>の熱気を余すところなく収めたドキュメンタリー映画も併せて放送される。
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
■『L'Arc-en-Ciel × WOWOW “L'Anniversary” Special』
『Over The L'Arc-en-Ciel』
※2012年に14都市17公演行なわれた<L'Arc-en-Ciel WORLD TOUR 2012>の熱気を余すところなく収めたドキュメンタリー映画をテレビ初放送。
■『L'Arc-en-Ciel × WOWOW “L'Anniversary” Special』
<L'Arc-en-Ciel 25th L'Anniversary LIVE>
L'Arc-en-Ciel結成25周年記念ライヴ。東京ドームで行なわれた2日間の模様を2時間に凝縮してWOWOWで独占放送。
収録日:2017年4月8日、9日/ 収録場所:東京ドーム
<放送楽曲>
「虹」「Lies and Truth」「Shout at the Devil」「REVELATION」「X X X」「花葬」「浸食 -lose control-」「HONEY」「MY HEART DRAWS A DREAM」「Driver's High」「READY STEADY GO」「Don't be Afraid」「Link」「瞳の住人」他
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