【インタビュー】MOSHIMO、大成長の裏で「最近ずっと戦闘モード。闘志に燃えてる」

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■ 幼稚さを消さないまま、ちょっとずつ大人になっている自分を出す

── 岩淵さんに関して言うと、今回いろんな面でアダルト感を感じたんですよね。歌詞もそうだし、歌い方も、歌の表情も。「触らぬキミに祟りなし」だって、曲はポップだけど歌詞はけっこうドロッとした三角関係だったりするし。

岩淵:全体を通した話になっちゃうんですけど。私は人とうまく会話ができなくて、ふさぎこんでた時期があって、その時期の曲から、今はちゃんと言いたいことは言えるようになったし、好きなことは好きと言えるようになった時期の曲まで、いろいろ入ったアルバムになってるんです。ある意味コンプレックスかもしれないけど、見た目も子供っぽいし、言葉使いも幼稚っぽく見られやすかったんですよ。それが悔しくて、自分の今の等身大をいかにMOSHIMOの曲として、いい意味の幼稚さや子供っぽさを消さないまま、ちょっとずつ大人になっている自分を出して、「今の私はこうなんです」というものを書きたかったんで。そういう大人っぽさが伝わっているのはうれしいなと思います。私、ゲスの極み乙女。をはじめて聴いた時に、この人はなんて色気のある歌詞を書くんだろうと思ったんですよ。全体的に、隠れた色気というか。

── ああー。わかる。

岩淵:こういう歌詞を女で書けるようになりたいというのがあって。宇多田ヒカルさんもめっちゃ好きなんですけど、あの人もそういうものを持っているというか、いい意味でダメな自分と、大人な自分が見え隠れしているところにすごいドキドキするんで。そういう世界観を書けるようになりたいなと思って自分なりに書いてみたのが、一番新しい「触らぬキミに祟りなし」と「途切れないように」だと思います。

▲岩淵紗貴(Vo&Gt)

── はい。なるほど。

岩淵:「この恋の結末」は、コーラスにLILI LIMITのベースの莉世ちゃんに入ってもらって。私がコーラスを入れると、かわいらしくなっちゃうというか、大人せつない感じが出なくなっちゃうのと、この曲は、好きな人に突っ走っちゃってる女の子を周りで見ている友達がいて、「やめたほうがいいと思うけど、でも頑張って」という曲だから。客観的な人がどうしてもほしくて、入ってもらったんです。

一瀬:声質がウォームな人とクールな人がいて、たぶん彼女(岩淵)はウォームで。でも「この恋の結末」はクールな声がほしかったから、莉世ちゃんにやってもらったらすごくはまった。やったことなかったんで不安だったんですけど、びっくりするぐらいはまって、みんなテンション上がりましたね。

岩淵:初めてやったことといえば、「途切れないように」にストリングスを入れたことです。

一瀬:ヴィオラの人に来てもらって、初めて生の弦を入れました。ずっとバンドをやってたし、中学の時の音楽の成績は2だったし、弦とはまったく無縁だったんですけど(笑)。クラシックのミュージシャンの方と意思疎通するのも初めてで、すごい勉強になりました。最初、一番の間奏から入ってもらったんですけど――。

岩淵:いや、イントロから入ってたよ。

一瀬:悪い意味で派手になっちゃって、そうなるとバンドの意味がないなということで、あえて一番は外して。二番から入ってくると、コラボ感が出るというか。

▲一瀬貴之(Gt&Cho)

岩淵:はじめは、歌詞が全然聴こえてこないし、これは歌がメインなの? 弦がメインなの?っていう感じになっちゃったんですよ。バンドの支えとしてやんわり包み込んで、だんだんドラマチックになってくるみたいな、気づかないように入れてくれってお願いして。入れ方のバランスを、エンジニアさんと一緒に腹を割って話しました。

── 熱いなあ。やっぱり歌ですよ。MOSHIMOの最大の武器は。

岩淵:曲を聴いてて、歌詞が聴こえてこないと楽しくないですよね。(MOSHIMOの)お客さんはバンドが好きでライブによく足を運んで、という人ばかりじゃないし、みんなが聴けるものをしっかり作りたいんで。そこはずっと、私が好きなスピッツから学んでいることというか、ああいうふうになりたいなと思ってるんです。サウンドはしっかりバンドだけど、ちゃんと歌ものとして聴けるという、それもたぶんライブで明確になってきたんじゃないかなと。おのおののバランスにしっかりこだわって、ポップにちゃんとやるということを突き詰めていきたいなと思いますね。

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