【詳細レポート】氣志團<SEKIGAHARA>最終日、<10・リーグ>と真剣勝負「好きなものがひとつあるだけで人生は楽しい」
■「これからも一緒に
■アポストロフィの向こうへ」
“これでどうだ!”とばかりに10・リーグの5番手として登場したのは湘南乃風。「今日は<関ヶ原>の戦場、俺らは俺らの戦場」とラップをかまし、まずはダンスショーで会場を温めていく。曲が激しいトラックに切り替わって、いよいよステージに湘南乃風の4MCが揃い踏みだ。
「ジャンルなんて関係ねえ。音楽好きなヤツ、この際、誰が好きか関係ねえ。今を楽しめ、兄弟!」と叫べば、会場は大パーティである。その盛り上がりを目にして「俺が見たところ、全員、間違いなく音楽が好き。持ってんじゃねえの、これ」と若旦那がタオルを見せた。「Jorker」ではオーディエンスが頭上にタオルを掲げ、若旦那の合図で今度はタオル回しが起こる。HUN-KUNは「言っとくけど、湘南乃風、日本一、いや世界一しつこいです。嵐を巻き起こすまで振り回せ」と煽り立て、「生きてる証、見せろ」と若旦那。ラップのライムに連射のごとく煽り文句を混ぜ込み、ひたすら踊らせ、興奮の上昇カーブも急角度。
「俺達は氣志團とも仲いい。10-FEETとも仲いい。戦いじゃない。俺らは仲間」と若旦那が叫べば、HAN-KUNも「音楽好きならガッチリつながろうぜ、兄弟。<関ヶ原>、戦いの後には必ず友情、愛が生まれる」と呼びかけた。湘南乃風もまた器がでかい。
前日の「氣志團万博 vs VAMPARK FEST」で死闘を尽くしたVAMPSが、この日は氣・リーグのトリ前を務めるとは、まさにドラマ。加えて、ここ幕張メッセは氣志團の地元・千葉ではあるものの、VAMPS主宰<HALLOWEEN PARTY>のメイン会場であり、毎年3DAYSの規模で開催されているだけに、VAMPSにとってホームといえるほどライヴ回数を重ねている会場でもある。VAMPSは前々日の<BREAKERZ 10周年10番勝負 -VS->出演を合わせて3日連続のライヴとなるが、疲れなど微塵も感じさせない。
暗転した場内を真っ赤な照明が染め上げ、拡声器のサイレンを大音量で鳴らしたHYDEが鋭い眼光を客席へ向けた。オープニングナンバーは「INSIDE OF ME」、続けて「LIPS」と重厚で金属質なサウンドが疾走していく。「Let Me Hear Your Voice!」と叫んだHYDEのシャウトが今日も広大な場内の隅々まで震わせた。
「DEVIL SIDE」、最新シングル「CALLING」、リリース前のアルバム収録曲「IN THIS HELL」といったナンバーはヘヴィなバンドサウンドながら、K.A.Zの音抜けが抜群にいい。気持ちいいほどの音圧とエッジの尖ったギターが、VAMPSサウンドをますます躍動させていく。力強い緊張感はピンと張りつめているが、切れそうもないほど強靱だ。
「今日は氣志團の援護にやってきました。“昨日の敵は今日の友”、まさにそれだなと。すごいメンツが集まったイベント、一回だけで終わるのはもったいないよね」、「暴走(房総)のスイッチ、入れてくれよ!」と後半も全開。ラストナンバーとなった「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」ではK.A.Zによるギター回しの連発が場内を沸騰させ、狂おしいフィードバックを残してステージを去るというクールなエンディング。それにしても、この3DAYSのクオリティの高さには目を見張るばかり。VAMPSはいつでもどこでも最高のステージを届ける。世界を主戦場にするとは、こういうことだと思い知らされた。
そして<関ヶ原>の戦いはついに最終決戦。各チームの首領の登場である。最初に仕掛けるのは10・リーグ。SEが鳴り響くと、大歓声とステージに押し寄せるキッズやオーディエンス。すでに肩車しているファンも。そんな熱いみんなに向けてTAKUMAは叫んだ。
「<ザ・グレート・ロックンロール関ヶ原>! 行くぞ、10-FEET、よいしょー! ブッ飛ばせ!!」
「VIBES BY VIBES」から始まったライヴは、大将の本領発揮。フミヤと共演したKOUICHIのテンションはいつもに増して高く、NAOKIもジャンプしたり回転したりと激しい。「その向こうへ」ではTAKUMAが氣志團の「One Night Carnival」のフレーズをフィーチャー。氣・リーグの大将に感謝とリスペクトを贈る。さらにROTTENGRAFFTYからN∀OKIとNOBUYAが飛び入り、TAKUMAとトリプルヴォーカルを決めた。京都の兄弟仁義がここに実現だ。完全に予定外のハプニングにTAKUMAも驚きと嬉しさを隠せない。また、ももクロのハッピを着た人達が、クラウドサーフで次々に飛んでくることにも感謝。
「10-FEETでした、ありがとうございました。また会いましょう」と早くもラストナンバー?……かと思えば、そこからの「アンコール始め!」で、そのまま続行。息をつく暇さえ与えない勢いで転がり続けるライヴだ。
「氣志團、ありがとう。一緒に主催しようと言ったのに、全部、氣志團がやってくれた。俺ら、生八ツ橋、渡しただけや(笑)。これからも一緒にアポストロフィの向こうへ行こう!」
“フェス対フェス”という構図だが、最初からお互い友情と信頼でしっかり結ばれている。認め合う仲間だからこそ、勝負もしてみたいと思うもの。勝敗がつかないのは分かっていても、刺激し合えることが嬉しい。結成20年目を今年迎えた10-FEETと氣志團のガチのぶつかり合いは、美しくもある。後半に「氣志團に最高のバトンを渡せるように飛べ!」とTAKUMAは煽り、熱さ極まるライヴを全員で作り上げた。
さあ、残すは氣・リーグの大将である氣志團。「愛を込めて、愛で倒す」とスクリーンに流れるメッセージは、この2日間、出演したバンド達の気持ちも熱くしたことだろう。スポットを浴びた團長のドラムソロでステージが始まった。「オッケー、行こうぜピリオドの向こうへ」と團長の言葉から、新旧ナンバーをメドレー形式で披露していった。
「オーラーイ。みんなよく来てくれたね。俺達がオマエらの運命の糸、気志團です」と挨拶してから、團長はとにかくしゃべり続ける。要点だけピックアップすると「おせっかいしたいのよ、みんなに。好きなものがあることは幸せだ。ひとつあるだけで人生は楽しい。こんな素敵な人もいるよって、俺はお見合いババアみたいなもんだ。VAMPS好きな人が、グループ魂を観たいと思わないだろ。でも、そんなのが起きてしまうことあってもいいかなって」という。つまり團長らしい優しさライセンス。
「スタンディングニッポン」をはじめとするライヴ鉄板曲を叩きつけながら、「行こうぜ、ピリオドのその向こうへ!」と煽りもくらわす。そして「One Night Carnival」でのことだった。会場から生まれた大合唱に感動しつつも、團長はこう語った。
「オマエら、ほんとは飽きてるだろ。この曲だけじゃないよ、立場も危ういよ。俺だって10-FEETみたいにやって、先輩にも後輩にも仲間達にも好かれるようなバンドになりたかった。結成20年になっても、氣志團に影響を受けましたってバンドに会ったことねえし。どうしたらいいんだ。人生ってのはこうやって聞いても誰も答えてくれねえんだ」と寂しいことばかり連ねる團長。顔もうつむき加減。しかし「人間は生まれ変わることができるんだ」と宣言するや、「One Night Carnival」をSuchmos風アレンジでプレイしたり、今度は星野 源の「恋」ようなアレンジで聴かせたりと、変幻自在。何だかんだ言いながら、とにかく楽しませることに100%の情熱をかける氣志團である。
その曲の途中でダンサーがやけに増えていったが、よく観れば、10-FEETの3人が氣志團のコスプレで一緒に踊るという予定外のサプライズまで飛び出す。KOUICHIのジャンプで曲のエンディングを締めくくり、最後は氣志團と10-FEETが手をつないでバンザイ!固く結ばれた友情は、そこにいるみんなをさらに熱くさせた。
ところで最終的に勝ち負けの判定のつかなかった2日間。実はバックステージの打ち上げで判定が下されていたのだ。両日とも夜8時45分、とりあえずの乾杯があったが、そのときにどっちのチームメイトがその場に残っているかが、判定の基準。「これで決着をつけたかっただけでございます(笑)」とジョークを語った團長だが、壱の陣ではVAMPARK FEST軍に惨敗し、弐の陣でも10・リーグに敗退。最後の最後は総監督のKOUICHIによる乾杯で、この2日間を締めくくった……というこぼれ話も最後に記しておきたい。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎青木カズロー (氣・リーグ)/釘野孝宏 (10・リーグ)
■<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017 「~万博大作戦日本シリーズ~」>
2017年4月16日(日)@千葉県・幕張メッセ 9~11ホールSET LIST
01. Tank-top of the world
02. 無線LANばり便利
03. ヤバみ
04. ネコ飼いたい
05. ウェイウェイ大学生
06. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
07. 喜志駅周辺なんもない
08. あつまれ!パーティーピーポー
【ももいろクローバーZ】※氣・リーグ
01. CONTRADICTION
02. 武陵桃源なかよし物語
03. DECORATION
04. Secret Love Story
05. 走れ!
【ROTTENGRAFFTY】※10・リーグ
01. STAY REAL
02. So...Start
03. 響く都
04. D.A.N.C.E.
05. 未発表曲
06. This world
07. 金色グラフティー
【キュウソネコカミ】※氣・リーグ
01. ビビった
02. ファントムヴァイブレーション
03. 邪邪邪 vs ジャスティス
04. DQNなりたい、40代で死にたい
05. ビビった(ワンナイトカーニバル Ver.)※ゲスト:氣志團
06. ハッピーポンコツ
【東京スカパラダイスオーケストラ】※10・リーグ
01. Paradise Has No Border -short-
02. DOWN BEAT STOMP
03. hammer ska ※ゲスト:10-FEET
04. 閃光 ※ゲスト:10-FEET
05. Samurai Dreamers ※ゲスト:TAKUMA
06. Routine Melodies
07. ペドラーズ
【BOYS AND MEN】※氣・リーグ
01. バリバリヤンキーロード
02. ヤンファイソーレ
03. GO!! 世侍塾 GO!!
04. ヤングマン~B.M.C.A.~
05. なごやめしのうた
06. まえのめりMinority
07. YAMATO Dancing
【藤井フミヤ】※10・リーグ
01. 夜明けのブレス
02. この空の真下で
03. わらの犬
04. GIRIGIRIナイト
05. 愛しいゴースト
06. TRUE LOVE ※ゲスト:KOUICHI
【ニューロティカ】※氣・リーグ
01. シェリーは祭りが大好き
02. 嘘になっちまうぜ
03. 絶対絶命のピンチに尻尾を高く上げろ!
04. 飾らないままに
05. 五十の夜
06. ア・イ・キ・タ
07. 夏・スイカ・27才
08. チョイスで会おうぜ
【湘南乃風】※10・リーグ
01. 〜Dancers Show Case〜
02. SHOW TIME
03. Born to be WILD
04. Joker
05. 黄金魂
06. 純恋歌
07. 曖歌
08. バブル
09. 睡蓮花
【VAMPS】※氣・リーグ
01. INSIDE OF ME
02. LIPS
03. DEVIL SIDE
04. CALLING
05. IN THIS HELL
06. UNDERWORLD
07. AHEAD
08. SEX BLOOD ROCK N' ROLL
【10-FEET】※10・リーグ
01. VIBES BY VIBES
02. その向こうへ
03. Freedom
04. 1sec.
05. アンテナラスト
06. ヒトリセカイ
07. RIVER
08. CHERRY BLOSSOM
【氣志團】※氣・リーグ
01. メドレー(SHOW Drum Solo~愛してナイト!~恋人~湾岸夜想曲~ルシファーズ・ハンマー'94~~喧嘩上等~愛羅武勇)
02. スタンディング・ニッポン
03. ゴッド・スピード・ユー!
04. One Night Carnival
05. One Night Carnival(STAY TUNE)
06. One Night Carnival(恋)
■<シミズオクト Presents 氣志團万博2017 〜房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ〜 Supported by イオン銀行>
2017年9月17日(日) 千葉県・袖ケ浦海浜公園
9:00開場 / 10:30開演 (20:40終演予定)
▼出演者:氣志團 他
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999 (weekday 12:00-18:00)
▼チケット
1日入場券 12,000円
2日通し入場券 22,500円
青春18入場券 12,000円(1ミール2ソフトドリンク付き)
駐車場券付1日入場券 15,000円(入場券 12,000円 + 駐車場券 3,000円)
駐車場券付2日通し入場券 28,500円(入場券 22,500円 + 駐車場券 6,000円)
バイク駐輪券 1,000円(1日1台)
※青春18入場券は、中学生・高校生及び2018年4月1日段階で18歳以下の方のみご購入頂けます。
一般発売日: 8/12(土)10:00〜
年齢制限: 未就学児童入場不可、小学生保護者同伴に限り入場無料
【氣志團FC先行受付】
期間:4/16(日)21:00〜4/21(金)23:59 http://fc.kishidan.com/
※袖ケ浦・木更津市内にて、特典付き地元先行販売あり(一般発売日前に、枚数限定の先着販売予定)
この記事の関連情報
10-FEET、バンド史上屋内最大規模のライブ映像作品を12月発売決定。全31曲・約2時間半のライブ+ドキュメンタリー映像も
<氣志團万博2024>、全出演者のステージを全12時間+αで放送/配信決定
【舞台裏インタビュー】<山人音楽祭2024>10-FEET、「ジャンルの壁や境界がない」
【ライブレポート】フェスの改革と変化。音楽フェス文化を次世代へつなぐ<フジロック>の現在地
<氣志團万博2024>、出演アーティスト最終発表にサンボマスター、氷川きよし、the GazettE、NEWS
【速レポ】<LuckyFes'24>氣志團、またとない真夏の一日「同じMAX COFFEEで育った俺達。そうだろ?」
<氣志團万博2024>、第一弾発表にHYDE、GACKT、アイナ・ジ・エンド、ROTTENGRAFFTY、ano、Kroiなど25組
【速レポ】<京都大作戦2024>10-FEET、今年も新たな伝説の1ページを加え閉幕「ほんまかっこよかったから、ライブもみんなも!」
【速レポ】<京都大作戦2024>SUPER BEAVER、「おまえの時間だぞ! 音楽しようぜ、大作戦!!」