【詳細レポート】氣志團<SEKIGAHARA>最終日、<10・リーグ>と真剣勝負「好きなものがひとつあるだけで人生は楽しい」

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4月15日および16日の2日間、千葉・幕張メッセにて<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>と題した“対戦型”フェスが開催された。その2日目16日は氣志團主宰フェス<氣志團万博>と10-FEET主宰フェス<京都大作戦>による合同フェス「~万博大作戦日本シリーズ~」として開催されたもの。先ごろ公開した初日「氣志團万博 vs VAMPARK FEST」詳細レポートに続いて、最終日の詳細レポートと盛りだくさんのライヴ写真をお届けしたい。

◆「~万博大作戦日本シリーズ~」画像

■「音楽に勝ち負け、優劣はないけど
■気・リーグは10・リーグに勝ちたい」

<ザ・グレート・ロックンロール関ヶ原>の2日目“弐の陣”。本日16日、氣志團が戦うのは、フェスに出れば確実に盛り上げるということから“優勝請負人”の異名を持つ10-FEETであり、その彼らがメジャーリーガー級の選手だけで集めた10・リーグだ。

オープニング映像は2日目も秀逸。團長から仮想敵と一方的に見なされた10-FEETは、決死の一戦を前に「楽しくやりましょう」と穏やかに語る。その口調からは器のデカさと余裕すら感じさせる。「そう言ってたくせに、アイツらは俺らをつぶしに来てるんですよ。湘南乃風、スカパラ、藤井フミヤさんまで10-FEET側に付いたんです」と悔しさを滲ませるのは團長。氣志團もまたメジャーリーガー級ばかり集め、なんと最終的には前日戦ったVAMPSも氣・リーグにチーム入り。野球に例えるなら、頼もしい助っ人外人選手といったところか。「音楽に勝ち負け、優劣はないけど、気・リーグは10・リーグに勝ちたいと思っているんです」とコブシを握る團長の姿が、映像で流された。




10時40分、試合カードの開幕である。10・リーグの一番バッターはTAKUMAが「ロック界の大谷翔平投手」と自信を持ってお薦めするヤバイTシャツ屋さん。“始まるよ~”とNHKの幼児向け番組を思わせるオープニングSEで、にこやかにステージに出てきた3人。その直後、音を鳴らしたら、これがヤバみ~。パンクもメタルもポップもチャンコ鍋状態。うまみ~、も凝縮。ベースのしばたありぼぼの笑顔にモノノフも刺激され、フロアではサイリウムも揺れ続ける。最新曲「ヤバみ」を終えたところで、こやまが自己紹介した。

「私達が今、会えるアイドル、週末ヒロイン、ももいろクローバーZ!」

Zはモノノフも一緒に叫ぶという一体感まで生まれた。こやまは「やりたかった、気持よかった。うちにも、あーりんがおる。“ありぼぼ”っていうんやけど。実は僕もモノノフ。モーレツのときの握手会行ってるから。みんな、ももクロの曲で何が好き? 僕はね……」

完全にモノノフ同士の会話をだらだらと楽しそうにステージと客席で繰り広げてる。さらに「うちのもりもとは夏菜子さんと同じ浜松出身なんだよな。“夏菜子~”っていう感じで、“もりもと~”って呼んで。MCが長い? そうや、「ももいろパンチ」のイントロぐらい長い(笑)」と、ももクロ愛も全開で、俄然、モノノフとの結びつきも強くなった。それがまんまフロアの激しさになり、ヤバTのあーりんも嬉しさを隠せない。「ピリオドの向こうへ行けんのか!」と煽れば、フロアはサークルやらクラウドサーフの連発。ライヴの盛り上がりはもちろん、モノノフから箱推しされたことに満足気なヤバTの3人。も・リーグがあったら絶対に鞍替えするはずだ。




そのももいろクローバーZが氣・リーグのトップとして登場。「スカパラ、湘南乃風は俺らを裏切った。でも、ももクロだけは裏切らない。任気(男気)しかない。三冠王ですよ。打って良し、投げて良し、走って良し、そして笑顔良しです」と自称“千葉の親戚のおじさん”の團長。続いてスクリーンに現われたももクロが「盛り上がっていきましょう!」と呼びかけると、モノノフもキッシーズもキッズも大騒ぎ。そこから始まったステージは、それぞれ華のある5人が歌って踊って、モノノフの興奮もマックス状態。モノノフの振るサイリウムも、ステージの照明以上のきらびやかさ。本家本元の「私達、今会えるアイドル、週末ヒロイン、ももいろクローバー」で一体感をさらに強めた。

続けて「<関ヶ原>の戦いですよ。私達、切り込み隊長ですよ。ヤバTさんには負けられない。なんか自己紹介、パクったって? あーりんもいるんだって? でも私達にはモノノフという強い味方がいますからね」と言えば、大歓声で会場が揺れる。

勝手に歌っていたらもらえたという氣志團のカバー「Secret Love Story」を挟んで、ライヴは「走れ!」へ。ところが途中、曲が止まる事態が発生。5人が注目したのは、岩に突き刺さった絶対に勝つことのできる“伝説J”のサイリウムだった。“少しおバカで、清らかな心と、ボーイッシュな胸の持ち主にしか抜けない”という厄介なサイリウム。結果、百田夏菜子が抜くという茶番劇。持ち時間は限られていたものの、アリーナワンマン超凝縮版のステージだった。




午前中から好試合が繰り広げられ、とんでもない盛り上がり。それを引き継ぐのが京都の伝統的ロック職人、10・リーグの2番手ROTTENGRAFFTYだ。1曲目「STAY REAL」からフロアではクラウドサーフが巻き起こった。それは曲が続くたびに激化するばかり。自身のもう1本の血管のように赤いマイクシールドを腕に巻き付けたN∀OKIが叫ぶ。

「1個だけ聞かせてくれ。オマエら、音楽は好きか! その気持ちを声に変えろ!!」

キラーチューンのひとつ「響く都」では、“万博大作戦、氣志團、10-FEET、ROTTENGRAFFTY”の言葉でコール&レスポンスも巻き起こす。さらにライヴ後半では「でかい声出して、輝き狂え」とカツを入れ続ける。もう一人のヴォーカリスト、NOBUYAは客席の中に飛び込み、ファンに支えられて立ち上がり歌い続ける。その周りをクラウドサーフでファンが飛び交い、さらにその周りでは大きいサークルが幾つも生まれていく。エネルギーの渦は止まることを知らない。この光景、観たことがある。まさに<京都大作戦>じゃないか。その屋内版という感じだ。「オマエら、メッチャ、カッコいいやんけ!」とオーディエンスを賞賛するメンバーでもあった。




氣・リーグの2番手はキュウソネコカミ。“ヤンキー怖い”をコール&レスポンスする楽曲を氣志團との対バンで歌った企画ライヴから友情が育まれ、その年の<氣志團万博2015>にも出演。2017年春の仙台で2度目の対バンを果たすなど、“真面目”と“ワル”、“ゆとり”と“ヤンキー”という一見すると両極が、見事に調和しての参戦となる。オーディエンスを前にしたサウンドチェックで、いきなり丸ごと1曲披露した彼らはトークで会場を温め、「じゃ、そのままいきます」とエモい展開でステージをスタートさせた。「ビビった」「ファントムヴァイブレーション」と代表曲を続け、最新ナンバー「邪邪邪vsジャスティス」を挟んで、MCへ。

「これまで氣志團とは2回タイマンしていますが、2回ともボコボコにされました。“ヤンキー怖い”と言いながら、ヤンキーチームにいます。その曲を」と「DQNなりたい、40代で死にたい」へ。“ヤンキー怖い”のコール&レスポンスは幕張メッセのオーディエンスにも大ウケだが、驚きのパフォーマンスはここから。客席へ降りたヤマサキセイヤ(Vo&G)が、オーディエンスの頭上を歩くという移動芸を披露。加えて、「1歩ずつ1フィートずつ歩いていく。10歩進んだら、俺は10フィートになる!」と叫び、歩ききったところで、10-FEETの「RIVER」が演奏され、「イエー!10-FEET最高!」と叫ぶ破天荒ぶり。“真面目”とか“ゆとり”とか、とんでもない。

さらには、「今日しかやらないフェスソングをつくってきました。仙台で氣志團に教えられた“有名曲を覚えて自分のものにする”というワザです」と語って、「ビビった」の演奏に「One Night Carnival」の歌詞&旋律をミックス。その2番では「呼んでもいいですか? 出て来いや!」と氣志團メンバーを招き入れて全員で歌う場面も。「仲間になると心強い。氣志團が大好きで、尊敬してて。追いかけていきたい先輩です!」と、アクロバティックなパフォーマンスと安定の演奏力、そして氣志團との固い絆をみせてライヴを締めくくった。




音楽のメジャーリーガー、東京スカパラダイスオーケストラが10・リーグの3番手として登場。紹介VTRでも團長は“なぜ氣志團側じゃないのか”未練タラタラ。しかし国境なき音楽集団のスカパラにとっちゃ、そんなのは小さい話だ。ピアノフレーズで始まったのは誰でも氷結が飲みたくなるあの「Paradise Has No Border」だった。氷結は未成年はダメだが、この曲は誰でもウェルカム。彼らの音楽には国境も関係なければ、年齢だって性別だって問わない。もちろんチーム分けも。ホーンを振り回し、抜群のアンサンブルを響かせ、ダンサブルなリズムでブチ上げる。さらに曲を続けたところで谷中が言う。

「さっきのVTR凄いね。まるで俺らが悪者みたい。今日は10-FEETと氣志團の戦いのようだね。俺らは10-FEET側についてるけど、本当に勝つのはお客さんだ!」

ここから始まったのは10-FEETとのコラボ。TAKUMAが歌い、NAOKIもハイトーンコーラスとGAMO持ち上げ機として大活躍。KOUICHIは賑やかしとパーカッションで加わって、思う存分に音楽を楽しむ。その音の会話は総勢12人で収まることなく、会場にいるオーディエンスも歓声や自由な踊りで加わる。それはまさに音楽のパラダイス。また團長は“スカパラと氣志團は事務所の先輩と後輩の間柄”であることを強調していたが、スカパラと10-FEETにはその壁もない。無礼講のタメ口だ。TAKUMAが「この盛り上がり、ヤバイな、谷中」と言えば、「TAKUMAさん、ヤバイですよ」と谷中。むしろ逆転の関係か。それだけ気の置けない間柄で、2人がメインヴォーカルの「Samurai Dreamers<サビレルナ和ヨ>」は息もピッタリ。ライヴ最後に谷中は「氣志團に幸あれ(笑)」と一言。團長は悔し泣きだろう。




でも泣いてばかりいられない。團長が送り込んだ氣・リーグの3番手は、名古屋のイケメン・ドラゴンズのBOYS AND MENだ。大川興業、坂本ちゃん、氣志團と続いた学ラン仁義の継承者でもある。色とりどりにアレンジした学ランで登場したボイメン。普段は10人で活動するが、全国ツアー中ということもあり、この日は5人。とはいえ研究生達もダンサーで加わって、威勢のいい踊りを見せていった。

MCの語り口調は優しいが、男らしい力強いダンスと歌。氣志團に作ってもらったナンバー「GO!!世侍塾GO!!」も披露、若さ溢れるステージを炸裂させた。




ここで10・リーグは大御所で攻めこんで来た。4番手はちっちゃなころから悪ガキだった10-FEETのヒーロー、TRUE HEROの藤井フミヤだ。KOUICHIは「男前で歌がうまい。俺もああなりたいなって想いと、もうそうなっているという想いがあって」と映像で語れば、TAKUMAから「フミヤさんに怒られるで」とレッドカードが出る。

生バンドを従えてステージに登場したフミヤは、スターのオーラに満ち満ちていた。ミディアムナンバーやバラードを軸としたステージで、分かりやすい熱いノリは生まれていないが、誰もがフミヤの歌に聴き惚れている。倒れたマイクスタンドを、女性に優しく手を差し伸べるような仕草で起こすのが、男の色気たっぷり。

「初めまして藤井フミヤです。ほとんどの人が若いと思うんで、ほぼほぼ生まれたころから俺はいたんではないかと。冷蔵庫みたいに気がついたらそこにいた、というのが俺じゃないかって。今回は氣志團を裏切り10-FEET側につくという、秀吉が裏切って徳川についたみたいな(笑)。戦うからには勝ちたいですけど」

ここからライブは「GIRIGIRIナイト」でロックンロールでグルーヴさせていく。ハンドマイクを歌の合間にクルクルと回すアクションがまたカッコよく、伸びやかな歌声はやっぱりさすが。世代もジャンルも超えて魅力するシンガーがここにいる。5曲目を終えたところでフミヤが言う。

「今日、呼んでいただいた理由がありまして。是非とも、あの歌を一緒に歌いたい、と願い状が来まして。じゃあ、やろうじゃないかと。スペシャルヴォーカリストとやりたいと」

もちろんKOUICHIだ。スーツに蝶ネクタイ姿で緊張のあまり動きもぎこちない。フミヤは「のど自慢大会みたいになってますよ、KOUICHIクン。今ひとつだったら、鐘を鳴らしていいですか(笑)?」と緊張を解きほぐす。フミヤの弾くアコギで始まったのは「TRUE LOVE」。散々、10-FEETのライヴで歌っているが、今日ばかりは勝手が違う。それでもKOUICHIは手を大きく左右に揺らしながら、いつものように愛を込めて歌う。そこにフミヤ師匠の本物の歌が重なっていく。これぞ、奇跡のコラボレーション。1番が終わると「イェー! KOUICHI!!」と優しい眼差しでKOUICHIを見るフミヤだった。

ついに歌いきったKOUICHI、夢が叶った瞬間でもある。さらに嬉しいことにフミヤからKOUICHIにハグ。大拍手が巻き起こる会場に「ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう」と丁寧に挨拶するフミヤ。どこまでも大人の魅力に溢れていた。




RIP SLYMEの代わりにピンチヒッターとして氣・リーグの4番手に加わったのが、ニューロティカだ。氣志團の盟友であり、「<氣志團万博>で2万5千人を前にしても新宿ロフトに変えてしまう」と團長もイチオシ。それだけ個性の塊だってこと。ヴォーカルのあっちゃん(ATSUSHI)も「氣志團のピンチに俺達、ニューロティカが駆けつけてきた」とやる気は充分。ステージ袖で見ていた團長と光ちゃんも、思わずステージに飛び入りして一緒にダンスも。

「夏・スイカ・27才」では早くない着替えであっちゃんがスイカ男に変身。歌っていくうちに興奮が高まったかパンツを脱ぐという暴挙にも出たあっちゃん。一度、袖に引っ込んだと思ったら、大人の紙おむつを装着して再登場。そんなコミカルさ満点だが、「チョイスで会おうぜ」ではRIP SLYMEの「楽園ベイベー」もフィーチャーしたりと、曲アレンジやサウンドでも聴かせる。ポップなパンクは会場を熱く踊らせていった。さすが、キャリア30年以上が織りなすバンドだ。

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