【インタビュー】アルハンブラ「人間技じゃない事を笑顔で演る」

GALNERYUSのYUHKI(Key)、LIGHT BRINGER、Mardelas、Silexなどのhibiki(B)、そして一昨年MAHATMAのHideki(Dr)が加入し、国内最高峰のテクニック集団となったアルハンブラ。新作『The Earnest Trilogy』は、新曲が4曲と3rdアルバム『SOLITUDE』からの楽曲を現メンバーで再録、再構築した内容で構成されている。コンピレーション的なものではなく、よりダイナミックな仕上がりとバンドの代表曲になるであろう新曲が、ひとつの作品として見事な流れを作り上げている。
◆アルハンブラ画像
アルハンブラの中心人物であるYUHKI(key)とhibiki(B)がインストアイベント前にインタビューに応えてくれた。
──『The Earnest Trilogy』は素晴らしいハードロックアルバムですね。
YUHKI:やった!
──アルハンブラはメタル、プログレも融合していますけど、これは純粋にハードロックアルバムと言って良いのでは?
hibiki:めちゃめちゃ濃いプログレメタルだと僕は思ってたんですけど(笑)。でも聴く人によっては、特にミュージシャンの人に言われるのは「今までよりもコンパクトで入りやすい曲が多いね」って。まぁ、一度出している曲ではありますけど「新曲も聴き応えがあるね」と。
──凄く色気を感じます。
YUHKI:ほうほう、色気大事だね。
hibiki:円熟したって事ですかね(笑)。
──hibikiは若いけれど、若手のバンドには出せないようなものを感じました。
YUHKI:今回のアルバムの母体となっている『SOLITUDE』は、2010年にリリースしたもののすぐに廃盤にしたんです。なぜかと言うと、もともとアルバムを出す予定ではなくて「SOLITUDE」という曲のシングルを出したかったのだけど、当時のレーベルがアルバムで出して欲しいと。今までのアルハンブラは、曲があって流れがあって一枚の作品として出していたんだけど、寄せ集め的な起承転結のないものになってしまって、アルバムとしては物足りないものだったんです。
hibiki:オムニバス的なね。
YUHKI:だからそれを再録するにあたって、流れを組み直して起承転結もつくように新曲も入れた。僕らにとってはストレートな曲が多く、それでいてひとつの流れを持ったものになったかな。
hibiki:作品がもっとハッキリ見えるようになった気がしますよね。
──「Earnest」はライブでも定番曲ですが、よりドラマティックになっているので今後のライブではこちらになっていきますか?
YUHKI:うん、基本大きくは変わってないけど、シンセのアレンジやソロの部分は違うからね。もちろん、勢いもあるし。
hibiki:ドラムのエネルギーがね、もうね。
YUHKI:それを言ったら全てのベースも全てのパートも円熟したよね。当時はもっと若かったhibikiも色気も知って(笑)。僕らはどちらかと言うと衰えだけど(笑)。
──JUNKOの歌も表現力が凄く増しましたね。曲によっては歌い方も変えました?
YUHKI:彼女も色々あったんじゃない(笑)? たしかに表現力は凄くなったよね、前は勢いしかなかったですから(笑)。
──「Warning You!」の英詞はYUHKIが書いたんですよね?
YUHKI:初めて書きました。
──佐々井康雄はアルバムでも常連的な存在ですが、ツインボーカルにした経緯は?
YUHKI:アマランスってバンドがいるじゃないですか。男女のボーカルがいて、ああいうのを少し意識したんです。聴いてみて、あれカッコいいな、アブラでやったら面白いな、と。なのでツインボーカルは考えてました。
──この曲は変拍子も炸裂していますよね。
YUHKI:Hidekiが加入して初めて書いた曲なので、これはリズム陣に遠慮なく行けるなと。演奏陣の良さを出しつつ、聴き応えのあるツインボーカルでね。これは自信ありますよ。
hibiki:演奏も大変なんです。Bメロでは1拍に5連が詰まったのが2拍続いている。あのテンポで奇数をみんなで合わせていくのって、かなりシビアです(笑)。
──手数の多いHidekiも、アルハンブラに見事にはまりましたね。
YUHKI:そうですね、Hidekiはどちらかと言うとプログレッシブでロックだけじゃない、幅広いんです。基本僕がメタル/ロック人間で、Hidekiのドラミングもだいぶ変わったよね。「ドラマーは音がデカくないと」っていうのがあるので(笑)、彼もそこらへんを意識して、スネアもキックも加入時よりも強くなった。
hibiki:彼とはアルハンブラ以外でも何度も演っていますけど、どこにいても空気を読んでそこに合ったものを叩けるんですよ。
YUHKI:仕事人だよね。それだけの引き出しもあって、只者じゃないです。Hidekiとhibikiは最強コンビ。
hibiki:hibikiドン引きでやってます(笑)。Hidekiカンペキ(笑)。
──「Das Rheingold ~ラインの黄金~」はバンドの代表曲になるキラーチューンですね?
YUHKI:間違いないです。
──ギターの方も凄く艶っぽい。
YUHKI:機械的なのは大嫌いなの。僕はディープ・パープルやイエスの人間なので、グルーヴィーな機械的ではないものをね。
hibiki:エモくなければ。エロくなければ。これ両方書いて下さい(笑)。
YUHKI:ふたつとも大事だからね。機械的に流しているギターソロもキーボードもありえなくてね、そこは意識してます。曲とフレーズとみんなの演奏が上手く絡み合って良い形でできたかな。

──再録+αとは言え、ピアノアレンジからバンドアレンジになっていたり、全体的にダイナミックに変わってますね。
YUHKI:僕らは再発とか再録って言うよりも、新曲ですと言いたい。
hibiki:『SOLITUDE』などなかった事にして(笑)。
YUHKI:「ha.ru.u.sa.gi」はピアノと歌だけで30分で作った曲なの。当時、関西のスタジオで録音したんですけど、その道中でJUNKOさんが歌詞を書いて、僕が急いで曲を作った。でも意外と曲自体は好きでね、ライブではバンドアレンジが凄く良くて、今回そのバージョンで収録しようと。ディレクターにピアノも録り直せって言われたし(笑)…なので新曲なんです。
──ミックスも凄く良いですね、全ての音の輪郭がくっきりして。
YUHKI:それは嬉しいですね。『SOLITUDE』までは外部のエンジニアさんだったんですけど、自分で作った音を伝えきれなくて、結果的に求めていたものと違ってしまってたんですよ。それで「SIEGFRIED」から僕がやり始めて、ここにきてやっとどうにかなったかな。どうですかhibiki先生?
hibiki:わりかしプレイヤーミックスになった3枚は好きですね。ここをこう見せたいって言うのがわかってきたかな。
YUHKI:ひとつひとつのフレーズが常に聴こえていて欲しいんです。
──よく聴こえていますよ。
YUHKI:それは最高の褒め言葉です。それでいて単調にならずにダイナミクスを付けて一曲が流れるように聴けるというのが最高の褒め言葉です。昔のアナログ時代の勢いも出つつ、かつクリアな音でと思っていますよ。これからもっと更に良くして行きたいし、外部のエンジニアにこうしたいと伝えるよりも自分でやった方が早くなった。日々、研究ですよ。
hibiki:良かったですよね、そのチョイスで。
YUHKI:みんなのおかげだよ、みんなが良いプレイをするからね。
──これだけのメンバーが揃うとそれぞれの個性が出過ぎる事もありますか?
YUHKI:昔のイエスとかみんな凄かったじゃない?やるんだったら日本でもそういうバンドを目指したいのが結成当初からあったので、そう言ってもらえるのは凄く誇り高く感じます。
──レコーディングは順調でしたか?
hibiki:新曲はYUHKIさん宅で録りました。
YUHKI:今はネットでデータのやり取りもできるけど、半分くらいはhibikiにうちに来てもらってやってます。
hibiki:やっぱり顔を突き合わせて作業をするのって凄く大事なんです。例えば、僕がひとりで作業して出来上がったものをYUHKIさんに送るとなると、こっちにしようかあっちにしようかと迷っているうちのひとつを送るわけです。それで「いいね」と言われてしまうと、もうひとつの可能性が断たれることになって、そこで音楽の発展は止まってしまうんです。顔を突き合わせて作業すればリアルタムにどちらも試すことができるので、熱も冷めないまま、より良いものをふたりで納得するまで作れるんです。
YUHKI:良い事言った。やっぱり楽しいんですよ。一緒にやるとこっちも欲が出ちゃって(笑)「ここ、こうやってみない?」とかなると意外とそれが良かったりして、全く新しいものができたりね。
──アルハンブラはマニアックなイメージがありますが、『The Earnest Trilogy』は一般的に受け入れられるアルバムですね?
YUHKI:キャッチーでいいと思う。当初の寄せ集め的なアルバムという歴史もありながらも、コンパクトなストレートな曲が多かったのも良かったかな。ライブではお客さんとのキャッチボールを求めているので、正座して聴くより拳をあげて欲しいんです。
──まもなくツアーが始まりますが、ずばり見所は?
YUHKI:基本は『The Earnest Trilogy』と『Fadista』の曲を中心に。大変そうだね(笑)。
hibiki:ストレートな曲でも難しいですからね。
YUHKI:相当練習しないと。個人的にはかなり出遅れているので死ぬほど練習します。
hibiki:みんな人間技じゃない事を笑顔で演るので。
YUHKI:楽しむ事だよね。しかめっ面でやるのではなくて、お客さんとコミュニケーション取りながら、それでも笑顔でプレイできるように。
hibiki:ライブではそういうパフォーマンスが本当に観れますから。
YUHKI:そして今回のツアーは全て佐々井康雄(GERARD)が出ますので、彼の縁の曲は結構やります、期待しているあの曲もね。
hibiki:久々ですよね。
YUHKI:『Fadista』の曲は「どのアルバムに入っていますか?」と言われてもCDがない状態だったから『Fadista』と『SOLITUDE』の曲はあえてやらなかったんです。なので今回からは思い切りできる。名古屋、大阪、そして東京はワンマンなので是非ひとりでも多くの方に観ていただきたいです。
hibiki:あと、アルハンブラはMCも結構面白いんですよ。
YUHKI:だいたい僕とJUNKOさん、後半はhibikiの世界(笑)。緊張した演奏と砕けたMCとね、楽しく帰ってもらえると思います。
──ツアーとともに楽しみにしています。今日はありがとうございました。
取材・文・写真:Sweeet Rock / Aki

<ALHAMBRA「The Earnest Trilogy & FADISTA」レコ発ツアー>
@名古屋・栄 MUJICA
開場16:30 / 開演17:00
前売\3,500 / 当日\4,000 D代別
出演:JIMMY feat.Arisa/ALHAMBRA/Sirius Roar(O.A.)
※チケット予約→バンド予約のみの並列入場になります。プレイガイドの販売はございません。
2017年1月22日(日)
@大阪・出戸 ORTO LOUNGE
開場15:30 / 開演16:00
前売\3,500 / 当日\4000 D代別
出演:JIMMY feat.Arisa/ALHAMBRA/Mars Brigade(O.A.)
ローソンチケット Lコード:56128
<ALHAMBRA 「The Earnest Trilogy & FADISTA 」発売記念ワンマン・ライヴ>
@東京・新宿 RUIDO K4
開場17:30 / 開演18:00
前売\4,000 / 当日\4,500 D代別
ローソンチケット Lコード:71911