【インタビュー】サイロン・ヴァンズ、スウェディッシュ・ヘヴィメタルの咆哮
サイロン・ヴァンズの4年振り6作目となるアルバム『ケイオス・フロム・ア・ディスタンス』が1月25日に発売となる。パワフルでオールド・スクールなチューンが全13発装填された最上級正統派メタル・アルバムだ。
◆サイロン・ヴァンズ画像
サイロン・ヴァンズは、スウェーデンで1980年に結成された。NWOBHMの影響を初めて受けたスウェーデンのメタル・バンドと言われている彼らは、スウェディッシュ・メタル・シーンにおいてもアイコンとなる誇り高きバンドだ。1980年代にリリースされた『Bringer Of Evil』と『Revenge』はクラシック・アルバムとして今も称賛され続けている。
「オレはロック・スターになりたかったんだ。バンドは音楽誌に大きく取り上げられたし、それからどんどんとシーンへと波及して行ったよ。アルバムのセールスも凄まじかった」──アンダース・ハーン
1990年代は休止状態がしばらく続いていたものの、2003年にカムバック・アルバム『Insane』を発売し、<Sweden Rock Festival>でその勇姿を見せつけシーンへと舞い降りてきた。よりハードな姿を提示した『Evil Redux』(2013)はメディアからの評価も素晴らしく、現役バンドであることを見せつけた。ジェイク E.リーのRED DRAGON CARTELとのUKツアーとセバスチャン・バックとのスウェーデン・ツアーもソールド・アウトで終了させている。
そして2017年、ついに強力なニュー・アルバムが完成した。2年を費やして練り上げられた13曲のパワフルでオールド・スクールなヘヴィ・メタル・チューンは、スピーディーでヘヴィなもの。メタル戦国時代を生き抜いて来た誇り高きメタル・マスターの最新サウンドである。
──6作目となるニュー・アルバムが完成しましたね。
アンダース・ハーン:ありがとう。新しいアルバムが完成してエキサイトしているよ。みんなに受け入れられることを願っている。様々な段階を経てようやく完成したアルバムだから、今はホッとしているところだ。このアルバムは俺達のキャリアの中でも重要な記念碑的な作品と言えるよ。メタル・ファンに訴求する本物のメタルだから、13もの新曲が間違いなくキミをロック・ヘヴンへと導いてくれるはずだ。
──アートワークもインパクトありますね。
アンダース・ハーン:チリの優秀なアーティストであるJavier Lonkoが制作してくれたんだ。彼にアルバムのタイトルからイメージできるものをとリクエストしたら、予想を超えた驚くべきアートを創り上げてくれた。Javierの説明によると、「それは実在するものであり、強く、多くの力を与えられることによって創造された。突然変異によって誕生した彼は、我々の生命と我々の夢を吸い込むのだ」と語っていたな。アルバムのブックレットも彼によるものさ。素晴しいアートワークだよ。
──楽曲はどのようにして生み出すのですか?
アンダース・ハーン:通常はオレとリンバートとで作るんだ。レコーディング・スタジオがあるからそこでアイディアを元にデモを録音する。ギター・リフからがスタートで、それを磨いていき、納得いくものができ上がったらバンド全員でさらにデモを録る。オレたちはでかくてパワフルなサウンドが好きだから、最初からそこにポイントを置いているんだ。
──お薦めの曲はありますか?
アンダース・ハーン:クラシックなメタルが好きであれば「Chaos From A Distance」と「Lies」を薦めるよ。パーフェクトさ。「God Of War」はヘヴィでアグレッシヴだし、クールなリフもかっこいい。「Trial Of The Spirit」はパワフルなエピックともいうべき曲だ。ヘヴィなギターとドラムがいい感じだし俺達のアンセムさ。グルーヴィーでクラシック・メタルな「Crucified」もいいね。
──どんな音楽に影響を受けてきたんですか?
アンダース・ハーン:一番はシン・リジー。彼らの姿勢とサウンドが本当にクールだよね。KISSの物凄いステージといい曲、テッド・ニュージェントのラウドなギターにも影響を受けた。1970年代にスウェーデンで育った俺はABBAにも影響された。最高のポップ・バンドだし楽曲がいいよね。オレの音楽の幅はとても広いし、ありとあらゆる音楽を聴く。そして違った音楽のスタイルの中から大事な宝物を発見することができるんだ。
──あなたの人生において大切な5枚のレコードを挙げるとすれば?
アンダース・ハーン:まずはシン・リジー『Jailbreak』かな。このアルバムがきっかけでギターをプレイするようになった。ツイン・リードがとてもクールだし、今でも大好きだ。あとKISS『Destroyer』…このアルバムのサウンドが最高にクールだ。曲もキャッチーで素晴らしい。まさにクラシックと呼ぶに相応しいレコードだと思う。それにヴァン・ヘイレン『VAN HALEN』。エヂィの弾くギターにはぶっ飛んだ。最初はどうやって弾いているのか全くわからなかった。後にテレビ出演している彼を観るまではね。このデビュー・アルバムは驚異的な仕上がりだし、多大なる影響を受けた。それからAC/DC『Let There Be Rock』だな。このアルバムはエナジーが爆発しているよね。クールなギター・リフが最高だ。ボン・スコットのファンタスティックなボーカルも素晴らしい。あとはテッド・ニュージェント『Free For All』だろうな。オーソドックスだけどテッドの弾くギター・スタイルが大好きでね、何か特別なものを感じるんだよ。曲とボーカルがかっこいいし、大好きなアルバムだよ。これら5枚のアルバムは若い時に影響されたアルバムだけど、これらのアルバムと出会っていなければロックの道へと進むことはなかっただろうし、今あるのはこれらのアルバムのおかげだよ。だから今も大切なレコードなんだ。
──バンド・メンバー紹介していただけますか?
アンダース・ハーン:ドラマーのマッツはディープ・パープル、シン・リジー、フランク・ザッパ、ジョニ・ミッチェルに影響を受けている。イアン・ペイス、テリー・ボジオ、コージー・パウエル、ブライアン・ダウニー、バディ・リッチなんかが好きなドラマーだ。ボーカルとギターのリンバートは、ヴァン・ヘイレン、KISS、ジューダス・プリーストが彼にとってのベストなバンドで、特にロブ・ハルフォードのスタイルには大きな影響を受けている。モントローズ、ザック・ワイルド、テッド・ニュージェントも大好きなやつだね。ベースのアンダース・セルボーンは、AC/DC、ブラック・サバス、ディオ、初期のレインボー、オジー・オズボーン、ジミ・ヘンドリックスが好きなバンドで、ギーザー・バトラー、ボブ・デイズリーがベーシストしての教科書だ。
──バンドを長く継続する秘訣は何ですか?
アンダース・ハーン:秘訣があるのならば教えて欲しいね(笑)。わからないけどいつも楽しく過ごせること、そしてお互いのケミストリーを信じてトライし続けることは大切だ。メンバーは変わってきたけどリンバートとオレは30年以上も一緒にプレイしているから、同じ感覚でわかるんだよ、全てがね。結婚のようなものさ。
──これまでで印象的な出来事や思い出はありますか?
アンダース・ハーン:今でも強烈に思い出すのはデビュー・アルバム『Bringer Of Evil』のことだよね。まだ18歳だったし、初めてのレコード契約を得たときは世界への扉が開かれた感覚だった。アルバムはとてもいい評価を得ることができたし、俺達は意気揚々で、未来への希望でいっぱいだった。これが一番の思い出だ。1980年代は素晴らしい時間だったし、全てが順調に流れていった。もうひとつは2011年のドイツ公演でね、ファンとのミート・アンド・グリートを行った時、多くのファンが未開封の1stアルバムを持ってきたんだ。長年大切にアルバムを保管して、いつかバンドと会ったときにサインを書いてもらうことを夢見てきた彼らと会えたことは、俺達もエモーショナルな気持ちにさせられた。こんな忠実なファンに支えられてきたかと思うと感謝以外の言葉は出てこないよね。素晴らしい思い出だ。
──来日も期待しています。
アンダース・ハーン:1983年からオレたちと一緒に歩んできた日本のファンへありがとうと伝えて欲しい。ファンタスティックなことだし、素晴しすぎるよ。未だに素晴しい日本へ訪れたことはないけど、このアルバムを引っ提げて実現することができると信じているさ。
サイロン・ヴァンズ『ケイオス・フロム・ア・ディスタンス』
BKMY-1041 2,222円(税抜価格)+ 税
※日本盤仕様CD(帯、プロフィール、インタビュー付)
01.God Of War
02.Angelchild
03.Chaos From A Distance
04.Crucified
05.The Seventh Day
06.Trial By Spirit
07.Lies
08.Shape Of God
09.I Don't Wanna See You Die
10.Saints On Fire
11.Master Of Overkill
12.Ringside
13.Sleepwalking
Produced by Anders Hahne
Line-up ;
・Anders Hahne(g)
・Rimbert Vahlstroem(vo / g)
・Mats Bergentz(ds)
・Anders Sellborn(b)