【インタビュー】ハンマーフォール「新作はスタンダードでモニュメンタルでソリッド」

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<LOUD PARK 15>に参戦し圧倒的な存在感を発揮したスウェーデン産メロディック・パワー・メタル・バンドのハンマーフォールが、通算10作目となるアルバム『ビルト・トゥ・ラスト』を発表した。これまで以上にスピード感のある曲を満載したこの作品は、バンドの勢いやチャレンジングな姿勢が感じられる作品となっている。

◆ハンマーフォール画像

前作に続いてヨーロッパでは間違いなく大ヒットするであろうこの作品について、ヨアキム・カンス(Vo)に語ってもらった。



――<LOUD PARK 15>では10年ぶりの来日公演が実現しましたが、改めて振り返るといかがでしたか?

ヨアキム・カンス:長いブランクの後にやっと日本へ戻れて、最高に良かったよ。キャリアの初期の頃には日本で素晴らしいショウを何度か演っているんだけど、その後10年間どうしたのか日本に行く機会がなかった。でも、長い時が流れてアルバム『レヴォリューション』(2014年)をリリースした後に、「日本へまた来ないか」という素敵なオファーをもらった。あのショウの終了後、僕達は「ワオッ、なんて素晴らしいショウだったんだろう!」と思ったよ。素晴らしいファンがまた来てくれた。また日本に行ける日を楽しみにしているよ。本当に素晴らしいひと時を過ごせたし、最高に良いショウができた。

――その『レヴォリューション』は本国スウェーデンではナショナル・チャートNo.1に輝きましたね。これまで発表した9作中6作が5位内、その中の3作がNo.1にランク・インしていますが、本国で受け入れられている理由は何だと分析していますか?

ヨアキム・カンス:スウェーデンは僕達にどんな時にもとても優しい。ハンマーフォールが20年間やってきたことに対して誇りを持っているようだ。スウェーデンには非常に強力でかつ献身的なファン・ベースがある。でもそれに加え、何よりも面白いと思ったのは、『レヴォリューション』がヨーロッパの4ヵ国でトップ5入りしたことだ。そんなことこれまで一度も起こったことがなかったからね。

――4ヵ国と言うと?

ヨアキム・カンス:スウェーデンで1位、ドイツで4位、チェコ共和国で5位、それからあとオーストリアか、あるいはスイスだったけど、とにかくこれはバンドにとってビッグ・サプライズだったよ。

――それは素晴らしいですね。そういった大ヒットを受けて、新作の『ビルト・トゥ・ラスト』が完成しましたが、今作も大半の曲をオスカー・ドロニャック(G)がギター・リフなどを作って、あなたがヴォーカル・メロディを考える形で曲を作っていったのですか?


ヨアキム・カンス:ああ、そんなような感じだ。少なくとも、僕がギターを担当することは絶対にない。僕が得意なのはメロディと歌詞だ。そしてオスカーはコーラス・パートを助けてくれるし、メロディに関しても凄く才能が持っている。だから僕達はグレートなチームだと思う。

――オスカーが作ってきた曲に関して、以前と何か違いは感じましたか?

ヨアキム・カンス:もちろん新しいギター・リフが入っているわけだけど、彼と話した時、こんなことを言っていた。「実は今回のアルバム用の曲は、凄く作るの難かったよ」とね。時々凄くイライラしていたらしい。自分1人で何かを書いていると、自分で自分自身を判断してしまいがちだろ? 「これは最悪だ、ああ最悪だ!」などと思ったり。『レヴォリューション』が物凄く成功したもんだから、自分達に凄くプレッシャーをかけてしまった気がする。でも、曲を聴いてもらえれば分かると思うけど、『ビルト・トゥ・ラスト』は変わらずエネルギーと情熱が一杯詰まった典型的なハンマーフォールのアルバムだと思う。最後の曲「セカンド・トゥ・ナン」のようにこれまでと少し違う曲もいくつかあるとは思うけど、それ以外では典型的なハンマーフォールの作品だし、自分達が作りたいと思っているような作品に仕上がっている。

――メロディ作りやヴォーカルに関してはどういうアプローチで臨みましたか?

ヨアキム・カンス:これまで書いたことのないようなものを書こうとするのは、凄くフラストレーションの溜まる作業だった。今回のアルバムとこれまでの作品との大きな違いは、ギターとヴォーカルに言えることだけど、凄く速い曲が多いと言うことだと思う。曲が凄くハイピッチで、僕はこれほどハイな音で歌ったのは過去のアルバムではなかった。今よりも20歳若かった頃にもなかったよ。だから今回、それが新しいアプローチと言えるだろう。僕の知っているシンガーの多くは、年を重ねれば重ねるほど声を失っていくけど、僕の場合はその逆で、歌声はどんどんどんどん強くなっていくようで、それが何故なのか僕にもその理由が分からないんだ。ただ自然とそうなっただけ(笑)。

――確かに今作ではあなたのエモーショナルでパワフルな歌唱も聴きどころのひとつだと思いますが、シンガーとしてアピールしたい曲はありますか?


ヨアキム・カンス:アルバム中で個人的に一番好きなのは「セカンド・トゥ・ナン」だ。あれは通常のハンマーフォールのナンバーとは異なるタイプだし、ヴォーカル・パフォーマンスでは、シンガーとしての僕の幅の広さみたいなものが感じられる。あのコーラスにはビートが一切なく、あるのはシンバルのヒット音やストレートなギター・コードだけ。それだけにヴォーカルが頑張らないといけないんだ。つまり、ヴォーカリストとして物凄くチャレンジングなナンバーだった。完成した時にはとても嬉しかったよ。歌詞にも素晴らしいフレーズが沢山ある。これは自分が一体何者なのかを問いながら、色々な宗教を探求している歌なんだ。最初はダークサイドを訪れるんだけど、そこにはちょっと気に入らないことがあって、それで今度はライトサイドを探求する。でも、そこでも自分の居場所を見つけられず、全ての結論として導き出されたのは、「己の神であれ」「自分を騙すな。こういう預言者に騙されずに、自分の心に耳を傾けることが大切だ」ということだったんだ。

――それは興味深いですね。他の曲に関してもどういったことを歌っているのか教えていだけますか?

ヨアキム・カンス:いや、歌詞に関しては通常、細かいことは説明しないんだ。人に映画の内容について話し過ぎるのと同じことなのでね…、分かるだろ?その曲がどんなことについて綴られているのか、その判断は全てリスナーに委ねたいんだ。自分達でじっくり聴いて欲しいんだ。それぞれが聴いて、そして自分達でどう感じるか…。ちょうど本を読む時と同じだ。

――なるほど。ちなみに『ビルト・トゥ・ラスト』というタイトルの意味は?


ヨアキム・カンス:まず始めに、ハンマーフォールというバンドが行なったこと、つまりlast(持ちこたえる、持続する、長続きする)するために非常に頑丈でしっかりとしたものをbuilt(作り上げた)した…ハンマーフォールがバンドとして永遠に残ることはなくても、その音楽は、時の試練に耐えて持続するだろう…と。「Built to last」、つまり「持続するように建てられたもの」。僕が思うにこのアルバムは、ハンマーフォールのキャリアを振り返った時、『ビルト・トゥ・ラスト』はスタンダードでモニュメンタルでソリッドなものになるだろう。まあ、これは僕の解釈だけどね。

――では、最後に今後の予定を教えてください。

ヨアキム・カンス:ツアーは2017年1月にスタートする。そして再来年2018年の前半までツアーは続く。凄く長いツアーになるよ(笑)。

――日本へ再び来る予定は?

ヨアキム・カンス:日本側が僕達を呼ぶ予定を入れてくれれば、いつでも行くよ。1年後くらいに何とかできたらと考えている。また<LOUD PARK>が僕達に興味を持ってくれたら最高だよ。

文:Jun Kawai
Photo by Tallee Savage


ハンマーフォール『ビルト・トゥ・ラスト』

2016年11月2日 日本先行発売
【通販限定サイン付CD+ライヴDVD】¥7,500+税
【初回限定盤CD+ライヴDVD】 ¥3,500+税
【通常盤CD】¥2,500+税
※歌詞対訳付き/日本語解説書封入/日本語字幕付き
1. ブリング・イット!
2. ハンマー・ハイ
3. ザ・セイクレッド・ヴァウ
4. ディスローン・アンド・ディファイ
5. トワイライト・プリンセス
6. ストームブレイカー
7. ビルト・トゥ・ラスト
8. ザ・スター・オブ・ホーム
9. ニュー・ブリード
10. セカンド・トゥ・ナン
《ライヴ・アット・モンスターズ・オブ・ロック2015》
1. ヘクターズ・ヒム
2. エニー・ミーンズ・ネセサリー
3. レネゲード
4. B.Y.H.
5. ブラッド・バウンド
6. レット・ザ・ハンマー・フォール
7. リヴ・ライフ・ラウド
8. ギター・ソロ:ポンタス・ノルグレン
9. 400mメドレー:
・ジェノサイド
・ヒーローズ・リターン
・シークレッツ
・ザ・ドラゴン・ライズ・ブリーディング
・トレイルブレイザーズ
・ライダーズ・オブ・ザ・ストーム
・フューリー・オブ・ザ・ワイルド
10. スレッショルド
11. ラスト・マン・スタンディング
12. ハンマーフォール
13. 武士道
14. ハーツ・オン・ファイア

【メンバー】
ヨアキム・カンス(ヴォーカル)
オスカー・ドロニャック(ギター)
ポンタス・ノルグレン(ギター)
フレドリック・ラーソン(ベース)
デヴィッド・ウォリン(ドラムス)

◆ハンマーフォール『ビルト・トゥ・ラスト』オフィシャルページ
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