【インタビュー】the GazettE、一大プロジェクトの表裏を余すことなく詰め込んだ映像作品『漆黒』

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■いまだに、何が自分たちらしさなのか? っていう定義すら解らないから。
■それくらい自然に自分たちらしさって、身に付いていくもの


──それはそれで、すごくいい話だよね。

RUKI:今回はそういうのがなかったし、そういう場面は入ってないけど、昔は本当にそんなんしょっちゅうだった。

──映像の話からはちょっと逸れちゃうけど、そういう時代があって今があるっていう話としては、すごく興味深いな。ちょっとそこ、広げてもいい? やっぱり、今って、the GazettEに憧れてバンドを始めてる子が多いから、どうしてもthe GazettEが抜けないんだよね。最初の頃は誰でも、憧れた人に似てるって言われたいし、似てるって言われることが嬉しかったりするけど、そこを抜けないとオリジナルは生まれてこないわけで。

REITA:まぁね、たしかに。でも、自分たち的には、そんなに自分たちっぽいって思わないけどね。みんな頑張ってるなって思うというか。

RUKI:あんまり接する機会もないからね。

──そっか。でも、そういう意味では、the GazettEも若い頃、そういう時代があったりしたのかな? って。

RUKI:あったあった。ありましたよ。俺たちも散々、“誰々っぽい”っていうのは言い続けられて来たからね。

──やっぱりそうなんだね。それが嬉しいと思えた時代もあった?

RUKI:いや、俺は“似てる”と言われることに対して嬉しいと思ったことは特になかったかな。

葵:っていうか、逆に申し訳なかった。

──申し訳なかった?

葵:そう。始めた当初の俺らって、バンドとしてすごく小汚かったんですよ(笑)。だから、申し訳ないって思ってたね(笑)。

RUKI:そうそう(笑)。始めた当初はID JAPANじゃなかったからね、衣装も(笑)。

REITA:本当にね、俺らの貧乏臭さは異常だったから(笑)。

戒:(大爆笑)

REITA:何っぽいって言われてたことがおこがましいくらい(笑)。

RUKI:今の子たちの衣装って、すごくちゃんとしてるでしょ。ウチらの頃って、そんなちゃんとした衣装なんてなかったからね。

REITA:あんまりよくは知らないけど、今の時代、動員100人くらいのバンドでも、すごく衣装ちゃんとしてない? 

RUKI:たしかに。すっごいカッコイイよね。たしかに。すごいなって思うよ。

──the GazettEは今、誰もが認める【the GazettEっぽさ】っていうのを確立しているバンドになっているわけだけど、“自分たちらしさ”を掴むまでの葛藤ってあった?

麗:葛藤はなかったかな。今もみんなが言ってたみたいに、俺たちも散々“誰々っぽい”って言われてきたけど、それって周りからの評価なわけでしょ。でもね、それに対してどうこう言えるわけではないし、俺たちだって憧れから始まってるわけだから、その憧れから受けた影響が出てくるのは当たり前のことだし、それは、今の若い子たちだろうが、俺たちだろうが違わないと思うんですよね。ウチらだって、散々“二番煎じ”って言われ続けてきたわけだからね。でも、そんなのは関係ないって思う。そんなのは、いつかは自然と抜けてくるものだと思っているから。だから、もしそういうことで葛藤しているバンドがいるんだとしたら、そんなことは気にしなくていいと思う。

──ギターなんて如実に出るよね。好きだと思って憧れたギタリストから受けた影響あって、ギターを初めているわけだから、好きなリフとかフレーズとかコード感は、そこから吸収したものだろうからね。

麗:そうそう。だから、最初は真似から入ったっていいと思うんですよね。俺だって完全に自分が影響を受けてきたものを存分に出してるからね。それを“っぽいね”って言われることが嬉しい部分もあれば、嬉しくない部分もあるし。でも、それがthe GazettEというバンドを通して、いつの間にか自分自身になっていったと思ってるからね。それにね、自分たちじゃその“the GazettEっぽさ”が分からないように、the GazettEっぽくなれたなんて思ったり意識したことなかったからね。いまだに、何が自分たちらしさなのか? っていう定義すら解らないから。でも、それくらい自然に自分たちらしさって、身に付いていくものだと思うけどね。

──いいこと言うなぁ、麗くん。

RUKI:うん。いいこと言ったね。

──たぶん、そういうことで葛藤しているうちは、抜けられないのかもね。

REITA:うん。そういうもんなんだと思うな。

▲『the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE AT 02.28 国立代々木競技場第一体育館』通常盤/BD

──ということで、話はちょっと逸れたけど、映像作品をオススメする一言を、RUKIくんよろしく。

RUKI:表側も裏側も、余すことなくこの1年を全て詰め込んだ映像作品になるので、是非是非、見ていただけたらなと思います。これを買わずして、ファンと言えるのか!? っていうくらい、間違いなく、買って損はない作品になっていると思うので。これを見てもらわないと、the GazettEというバンドの歴史の1つを見逃しているような感じかなと。11月9日に買わなくてもいいけど、確実に後々残る作品であると思うから、過去が美化されていくというか、俺たちも、久しぶりに見た時に、改めて楽しめるんじゃないかなと思ってます。

麗:反省せずにね(笑)。

RUKI:そうそう。まだね、正直、自分たちでは、今はついこの前のことでもあるから、そういう目線では見れないからね(笑)。

──後々ね(笑)。今後のこともちょっと聞いていきたいんだけど、今後やってみたいこととして、シークレットでイベントに出たいって言ってたよね。

RUKI:うん。別に食ってやろうとは思ってないけど、なんか面白いことしたいなと思って。

葵:ね。やりたいよね、完全シークレット。

REITA:15分でいい! 3曲だけとかでもいいからやりたいよね。シークレットやりたいなぁ。

──でも、なかなか難しいよね。動員数を上げたいだろうから、主催者側は告知したいもんね、the GazettEが出ることを。

RUKI:ん~、難しいとこだよね、実際には。

葵:気も遣うしね、シークレットだと。

REITA:スタッフも人数多いし、機材も多いし、場所取るし、ウザイだけだもんね(笑)。

戒:あはははは。そこまで(笑)?

RUKI:たしかに。間違いない(笑)。主催者にまったくメリットがないっていうね(笑)。でも、本当にただただ面白いことやりたいなって思う。

葵:面白いことやりたいよね、ホント。

──2017年の3月10日に国立代々木競技場第一体育館で行われる、<十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」>も控えているわけだけど。

REITA:すごく楽しみですよね。

葵:15周年の節目のライヴなんで、自分たち的にも楽しんでいけたらなって思ってます。また『DOGMA』とはまったく違ったライヴになると思うから。

──バンドが初期に掲げていたコンセプトである、“大日本異端芸者”が冠されたライヴとなるわけだからね。どんなライヴになっていく感じ?

RUKI:“大日本異端芸者”をテーマとしてやるというか、今言ってもらったみたいに、バンドの初期に掲げていたコンセプトでもあったんで、最近the GazettEを知ってくれた人たちの中には、この時代を知らない人も多いと思うんですよ。だから、the GazettEにそういう時代があったってところが膨れ上がってる感じかな。“大日本異端芸者”をコンセプトとして掲げてた時期って、まだ全然the GazettEが盛り上がってない時代だからね。発展途上の頃でもあったから、改めてそこを再定義するというか。そんな意味合いかなと。その時期の曲もいい曲はいっぱいあると思ってるんでね。今だからこそ、15周年目にやるからこそ面白いのかなと。周年だからこそ、昔の曲をファンの子たちも望むだろうし。だとしたら、振り切っちゃった方が面白いかなって。

──なるほどね。でも、本当に、今だからこその魅せ方ができそうだね。すごく面白そう。

RUKI:うん。でもね、本当に『DOGMA』をやれてなかったら、こういう発想にはなれてなかったのかなって思う。『DOGMA』をやれてない状態では、やれなかったかなって。過去に縋ってる感じがしちゃうと思うからね。それだけは、今も否定してる気がして嫌だから、やろうと思えなかったと思う。でも、『DOGMA』で1つやりきれたから、思いっきり振り切っちゃおうって思えるというかね。自分たち的には納得がいくというかね。“これもthe GazettEだよ”って言えるというかね。the GazettEって、過去と今が入り交じってこないバンドでもあるからね。アルバムごとの世界観があるから、アルバムのツアーでも昔の曲は入ってこないから、だからこそ、周年ライヴで、こういうことができるのかなって思ってますね。

葵:最初にこの案が上がってきたときから、すごくいいな、楽しそうだなって思ったんで。きっと楽しくなると思うんで、楽しみにしててもらえたらなと思います。

戒:15周年イヤーとして、ここを皮切りに何か面白いことをやっていけたらなと思ってますね。その中の1つとして、新たなコンセプトを上手いこと提示して繋げていける1年にしていけたらなと思ってます! 来年も頑張ります!

REITA:やっぱりね、“大日本異端芸者”っていうのは、バンドとして最初に掲げたコンセプトでもあったし、しっかりと届けていけたらなと思ってますね。ファンの子たちはきっと、セットリストを想像してくれたりすると思うけど、期待に沿えるようなラインナップに出来ると思うので、楽しみにしててもらえたらと思いますね。俺らの見た目のヴィジュアルがどうなるかは、まだこれから考えていくとこなんですけど、俺らとしても15周年のお祭でもあるんで、後々振り返ったときに、楽しい企画だったねって思えるように考えていきたいし、昔の気合いを今でも持ってるっていうところを魅せていけたらなって思ってます。

麗:やってることは、10周年も15周年もあんまり変わらないんだけど、ただ、こういうのが利いてくるっていうのは、今、RUKIが言ったように、普段『DOGMA』のように、その度ごとのコンセプトを貫いたブレないライヴをしているからこそなのかなって思うので、思いっきり振り切ろうかなと思ってますね。普段がブレブレだったら、こういうフックは利かないと思っているので。そこを強みにできてるというかね。“普段のライヴでも聴けるし”って、お客さんに思わせなかった自分たちへのご褒美ライヴでもあるのかなって思っているので、ブレずに頑張ってきたご褒美として、思う存分楽しめたらなと思ってます。

──そこから始まる15周年イヤーも、目が離せなくなりそうだね。

RUKI:そうありたいなと。ぶっちゃけ、10周年の3月10日は、周年ライヴしてもしなくてもどっちでもいいけどって言ってたくらいだったからね。それくらい、そこまで周年にこだわりを持ってはいないんだけど、今、こうして再定義、DOGMAとやってきて、やっと自分たちも楽しみながら大日本異端芸者をやれるのかなって思っているんで。

REITA:そう思うと、10周年までの10年より、10周年からの5年で、すごく大きく変化したのかもね。相当いろんなことにチャレンジした5年だったのかなって思うね。激し過ぎたというかね(笑)。

RUKI:老けたね(笑)。

一同:(爆笑)

RUKI:今だからこその【大日本異端芸者】を、15年の歴史を感じさせられる今のthe GazettEで、しっかりと届けられたらと思います。

取材・文◎武市尚子


『the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE AT 02.28 国立代々木競技場第一体育館』(DVD・BD)

2016年 11月9日(水)発売

初回限定盤 DVD2枚組
品番:SRBL-1721~22
価格:¥9,258+税
特製LPサイズ仕様
透明スリーブケース
48ページ撮りおろしLPサイズパンフレット
『DOCUMENT OF [DOGMA] 2015-2016』収録(DISC2)

通常盤DVD 2枚組
品番:SRBL-1723~24
価格:¥5,800+税

通常盤BD 1枚組
品番:SRXL-108
価格:¥6,800+税


<十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」>

日程:2017年3月10日(金)
会場:国立代々木競技場第一体育館
開場 / 開演:17:30 / 18:30
チケット料金:全席指定 \8,000-(税込) ※3歳以上有料
チケット一般発売日:2017年2月11日(土)10:00
TOTAL INFORMATION:ディスクガレージ:050-5533-0888(平日12:00~19:00)
特設サイト http://the-gazette.com/15/0310/


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