【インタビュー】the GazettE、一大プロジェクトの表裏を余すことなく詰め込んだ映像作品『漆黒』
■やってないというより、1本のライヴじゃやりきれないっていうのが正しいんだけど。
■本当は2夜に分けたいくらいだから。
──あははは。でも、「WASTELAND」とかは、改めて映像で見て、すごく美しい世界観だなって感じたけどね。すごくカッコ良かった。「INCUBUS」とか「UGLY」は、純粋にライヴ感が伝わってきた映像だったけど、「WASTELAND」は、映像で見るからこその美しさも生まれてた気がするよ。
葵:「WASTELAND」メンバーウケ悪いんですよ(笑)。
RUKI:え!? 「WASTELAND」メンバーウケ悪い!? 悪くないでしょ? 俺、すっごい好きだけどな、「WASTELAND」。今言ってもらったみたいに、映像でもすごく好きだったし。
葵:だって、9月27日に千葉・幕張メッセ国際展示場ホール10でやったフリーライヴ<the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 GRAND FINALE「DOGMA-ANOTHER FATE-」>では、セットリストに居なかったもん(笑)。
RUKI:あぁ、それでね(爆笑)。違う違う(笑)。なんか、幕張のときは、ある意味代々木で1つ『DOGMA』に区切りが付いていた感覚だったっていうか。『DOGMA』を抜けた感覚もあったっていうか。それもあって、またちょっと違った気持ちでセットリスト組んでたところあったから。(幕張で)「WASTELAND」やりたかった?
葵:やりたかった(笑)。まぁ、でも俺も全部好きだから、どれが入ると嫌とか、どれが入らないから嫌ってのはないんだけど。代々木のセットリスト見返しても、DVD見返しても、あの日は最高のバランスだったと思うし。どれも見応え充分だなって思うし。これで5,800円は安いんじゃないかなと。
──あ、プラスプロモーション(笑)。
葵:いや、本当に冗談抜きで、いいライヴだったなって改めて見返して思った。気に入ってる部分言いたいけど、どこも気に入ってるから、どこって1箇所に絞れないからね。
──開演SEの「NIHIL」と本編ラスト前の「OMINOUS」の映像の中で、ファンの子の掲げたメロリックサインがとても印象的に繋がっている感じがあって、改めて臨場感を味わえたりもしたの。あの激しい熱気を生んだお客さんと、そこまで彼らを熱くさせたthe GazettEというバンドのライヴのすごさと魅力を、最初と最後で改めて感じたりもして。
RUKI:それは嬉しいね。
葵:嬉しいことですね。ぶっちゃけ、自分たちだとそういう見方ができないというか、さっきからマイナスプロモーションしてるみたいだけど(笑)、やっぱり反省点を探す見方しちゃうから(笑)。でも、1から10まで自分たちでやってたから、落ち度が無いか見入っちゃって。
──あははは。そういうことね(笑)。
▲『the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE AT 02.28 国立代々木競技場第一体育館』通常盤/DVD |
──たしかにね、頭の方の並びはアルバム通りに進んでいたから、“もしや、今日はアルバム通りに進んで全編聴ける感じなのかな?”って思ったからね、途中までは。いつものツアーとは違うセットリストへのこだわりはあったりしたの? さっき、“今回は飽きることなく最後まで出来た”って言ってたけど、ツアーをやっていきながら、いろいろと見えてきて変えていったところもあったの?
麗:絶対なルールにしていたところは、代々木では本編ラストは「UNDYING」だったけど、基本、頭は「DOGMA」で、本編ラストは「OMINOUS」にしてて。頭とケツはしっかりと固めつつも、中身は縦横無尽にしてた気はしますけど。毎回ライヴ終わりに反省会しつつ、次のライヴでその反省を活かす感じで組んでいってたから。
──そこもthe GazettEのすごいところだよね。普段のライヴから、ライヴ終わってすぐにその日の反省点を1つの部屋に集まって話してたりするもんね。メイクも落とさず、着替える前の状態で、即話し始めてるのがすごいなって思う。
麗:記憶が新しい方がみんな覚えてるんで。
REITA:だいたいライヴ終わってすぐそんな話してる。たまにちょっとライヴとライヴの間が空くと、前のライヴの映像を見てからセットリストを考えるからね。だから、基本的に記憶の新しいその日のライヴの直後に次を決めてく感じかな。
──すごいよね、そういうところが本当に真摯だなって思う。
RUKI:もう当たり前になってるから、それが普通だと思っちゃう。そっか、他のバンドって、だいたいAパターン、Bパターンっていう感じでだいたい決めてあったりするって聞くもん。5本くらいのツアーだったら、それでもいいのかもしれないけど、やっぱりここまで長いツアーだと、それじゃ飽きちゃうし、何ヶ所も観に来てくれるお客さんもいるだろうし、やっぱり頭の中で考えたことと、実際にやってみた感覚って違ってたりもするからね。
──なるほどね。でも、最初の方って、色で言うと黒が占める割合が多くて、1色なイメージだったけど、中盤あたりから、ところどころで刺し色が差し込まれるようになった印象だったんだよね。
RUKI:うんうん。色で例えて言うと、「DOGMA」が黒で、「UGLY」が赤で、「UNDYING」が白っていうイメージがあったんだけど、結局【漆黒】って言ってるから全部基本は黒って感じになっちゃったんだけどね(笑)。
──そこがテーマだからね(笑)。それに、黒に勝る色はないし。代々木のアンコールでは「枯詩」と「春雪の頃」というかなり古い曲を選曲していたけど、その2曲を選んでいた意味は?
葵:ファンサービス。
──その言葉はファンにとっては最高に嬉しい言葉だと思うよ。
葵:そこは、RUKIがそうした強い想いがあったと思うよ。
RUKI:いやいやいや、「枯詩」はね、やろうと思っていたんだけど、実際にやってみて、そこからの「春雪の頃」は流れがちょっと悪かったかな? って。
REITA:また反省(笑)?
麗:基本反省(笑)。
RUKI:(笑)。本当に、本編はガッツリ世界観を貫いて、アンコールはファンの人に楽しんで、おもいっきり騒いでもらえたらっていう気持ちなんでね。そんなぐしゃぐしゃな感じが伝わればなと。
▲『the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE AT 02.28 国立代々木競技場第一体育館』初回限定盤 |
葵:そう。そこはね、買わないと見れないから、是非、買って下さい(笑)!
──今度はすごくストレートなプロモーション(笑)。
RUKI:あははは。ドキュメント映像は、13周年の武道館のちょっと前の再定義の終わりくらいから、入ってる感じ。
──そんなに前から!?
RUKI:そう。本当に『DOGMA』が生まれたあたりから。
──会議的なところから入ってるんだね。
戒:そうそう。
──74分ってかなり長いよね。
RUKI:まぁね、1年ずっとだからね。
葵:事務所の会議室で会議してるところとかも映ってるし。
REITA:そうそう。闇の部分も見えつつ、ツアー中の空気感も味わえつつって感じかな。
麗:あははは。闇の部分って(笑)。
RUKI:ライトな闇ね(笑)。
麗:戒くんがぶち切れてるところとかね(笑)。
戒:いやいや(笑)。あんなの全然闇でもなんでもないでしょ(笑)。
麗:その闇がきっかけで、スタッフが1人辞めちゃったとかね(笑)。
戒:いやいや、違うから(笑)。
一同:(爆笑)
──RUKI以外はライヴでもめったに話さないから、そういう裏側の部分は新鮮だろうし、どういう流れを経てあのライヴやツアーが作られていってるのか? っていうのを垣間見れるのは、貴重だよね。もっと深くthe GazettEを知りたいとか、the GazettEに仕事として関わりたいって思っている人たちには、すごくいい刺激になるんじゃないかな?
RUKI:いや、あれを見たら、関わりたくないって思うと思うよ(笑)。どうなんだろうね(笑)。打ち合わせ1つも、何時間やんの!? っていうくらい何時間も打ち合わせしてるからね。その一部がしっかりと映ってますけど(笑)。
葵:曲出しの段階とかも入ってるからね。そこは本当に見れない部分でもあるしね。
RUKI:うん。そこはね、すごくレアだと思う。
戒:普通は見せない部分だからね。
葵:だって、実際にアルバムに入らなかった候補曲も映像には入ってたりするから。
RUKI:そう。REITAが持ってきた曲ね。
REITA:あれ? そのシーンって結局入ったんだったっけ?
麗:入ってたと思うよ。
REITA:カットしてなかった? 戒くんが。
戒:俺!? してないよ(笑)!
RUKI:あははは。今のとこ、太字にしといてもらっていいですか(笑)? 【戒くんがカットしてなかったっけ?】ってとこ(笑)。
──あははは。いわゆる、選曲会の段階も映ってるってことだね。
REITA:そう。本当にリアル。スタッフすら見ない部分だったりするからね。メンバー5人だけしか知らない時間というか。昔はいろんなスタッフも交えて大人数でやってたりもしたけど、最近は本当に5人だけだったりするから。本当に他の人が目にしない時間。
──セルフプロデュースだからね、完全なる。1番産みの苦しみの深い部分だったりするよね。
RUKI:そうね。自分たちが提示したいものと、レコード会社の意向と合致しない場合もあったりするしね。
麗:昔はバッサリ切られてた時代もあったし。最近やっと自分たちが提示したいものが通るようになってきたとこもあるし。選曲会で何曲も出しても、“いいと思えたのは1曲だけでした”って言われてバッサリ切られてた時代もあったしね。
REITA:歌詞も1回では通らず、何回も書き直してたりもしてた時代もあったよね。
──the GazettEにもそういう時代があったんだね。
RUKI:あったあった。そんなのしょっちゅう。
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