【ライブレポート】the GazettE、『DOGMA』最終章で見せた完全なる昇華
2015年8月26日に最新アルバム『DOGMA』をリリースした後、全42公演に及ぶホールツアー<DOGMATIC -UN->、<DOGMATIC -DUE->を開催し、続けてワールドツアー<DOGMATIC -TROIS->、そして凱旋後にスタンディング・ツアー<DOGMATIC -ANOTHER FATE->を行なったthe GazettE。彼らの動きからは短いタームで『DOGMA』という作品を終わらせることなく、完全に昇華したいという強い想いが感じられたし、これほど大規模なツアーを実現させる動員力の高さにも圧倒されずにいられない。『DOGMA』の充実した内容も含めて、今回の展開はthe GazettEのモンスターぶりを改めてシーンに示す機会となった。
◆the GazettE 画像
そんな『DOGMA』の最終章を飾るライブ<the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 GRAND FINALE DOGMA -ANOTHER FATE->が、幕張メッセ国際展示場ホール10で開催された。本公演は『DOGMA』の完全生産限定盤を購入し、そこにシークレット封入されたGOLDEN TICKETを2016年2月28日に行われたライブ<DOGMATIC FINAL-漆黒->の特設会場にて引き換え、エントリーした人間だけが参加できるプレミアム・ライブ。当日の場内はフロア後方までオーディエンスで埋まり、熱気が渦巻く中でのライブとなった。
ステージにメンバーが姿を現して客席が騒然となる中、オーディエンスが発する大歓声を圧するようにヘヴィなギター・サウンドが鳴り響き、ライブは「DOGMA」からスタート。優雅な黒装束に身を包み、力強い歌声を聴かせるRUKI。華麗なオーラを発して、ソリッドなギター・ワークを展開する麗。アグレッシブなステージングと安定感に溢れたプレイのマッチングが光る葵。ミステリアスな雰囲気を漂わせつつファットな重低音を轟かせるREITA。要塞のようなドラム・セットとパワフルかつしなやかなドラミングの取り合わせが観客の高揚感を煽る戒。強い存在感を発する5人が並び立った姿は圧巻で、幕張メッセが狭く感じることが印象的だった。
「DOGMA」で場内のボルテージを一気に高めた後は、「RAGE」「DAWN」「GABRIEL ON THE GALLOWS」といったハイエナジーなナンバーを相次いでプレイ。アグレッシブなサウンドとメンバー全員が織りなす激しいステージングの取り合わせは爽快感に満ちていて、気持ちを引き上げられずにいられない。場内を埋めたオーディエンスも怒涛のリアクションを見せ、ライブは前半から熱い盛り上がりとなった。
その後はメリハリを効かせたアレンジを活かした「CLEVER MONKEY」や、ヘヴィネスとエレクトロを融合させた「BIZARRE」、重厚な歌中とエモーショナルなサビ・パートの対比がドラマチックな味わいを生む「DEUX」などをプレイ。激しさを保ったうえで幅広さを見せる辺りはさすがの一言で、彼らのライブは観飽きることがない。それぞれの楽曲のテイストをしっかりと表現する演奏力の高さも相まって、1曲ごとに空気感が変わっていく流れが本当に心地良かった。
翳りを帯びたスロー・チューンの「OMINOUS」でさらに世界観を深めた後、ノイジーなギター・リフとメロディアスなサビ・パートをフィーチュアした「INCUBUS」からライブは後半へ。高速ビートで疾走する「LUCY」や、デジタリック&ハードな「ATTITUDE」、アグレッシブな「HEADACHE MAN」などが相次いで演奏された。「全力で来い!」「限界までついて来い!」といったアジテーションを挟みながら情熱的な歌を聴かせるRUKI。ステージ両サイドに設置されたPAスピーカーの前まで出ていって、華やかさにプレイする麗と葵。仁王立ちしてベースを奏でる姿が多かった前半とは異なり熱いステージングを展開するREITAと、テクニカルなアプローチを力強く叩き切る戒。感情を駆り立てるパワフルなサウンドと巨大な会場にマッチしたスケールの大きいパフォーマンスにオーディエンスのボルテージもさらに高まり、場内は激しいヘッドバンギングの嵐と化した。広大な幕張メッセ国際展示場ホール10を、ライブハウスを思わせる熱さと一体感に満ちた空間に変化させたのは「凄い!」の一言に尽きる。
場内がthe GazettEに染まったことを感じさせる中、本編のラストソングとして抒情的な「UNDYING」が演奏された。激しくいき上げた後に、胸に染みるエモーショナルなナンバーを持ってくる構成も実に見事で、メンバーがステージから去った場内は感動的な余韻に包まれていた。
アルバム・リリースから1年以上にわたって『DOGMA』を核に据えたライブを様々な環境で行ない、最良といえる形で最終章を締め括ったthe GazettE。今回のライブは、彼らがアルバム・リリース直後に披露した重厚かつどこか神秘的な雰囲気のライブとは異なり、アッパーな味わいになっていることが印象的だった。何本ものツアーを重ねて、こういうライブに着地したことから、彼らが『DOGMA』を完全に昇華したことがうかがえる。今年の2月に代々木第一体育館で行なわれた<LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC>の最終公演『漆黒』で完結していたかもしれない『DOGMA』のさらに先を見せてくれたことには大きな拍手を贈りたい。
最後に、アンコールでRUKIが語った言葉を書いておこう。
「『DOGMA』は、バンドにとってすごく気持ちが詰まったアルバムです。深くは語りませんが、いろんなことがあって『DOGMA』の曲達が生まれました。すごく分かりづらいアルバムだけど、それにこうやって沢山の人がついてきてくれたことを、すごく感謝しています。今日で『DOGMA』は終わるけど、また良いものを作って、長いツアーを廻れたらと思っております。今日はマジメなことを言おうと思っていろいろ考えたけど、いろんな場所を廻ってきて、こうやって最後を迎えて残る言葉というのは“ありがとう”くらいしかなかった。なので、もう一度言います。ありがとうございます。」
『DOGMA』の完全な昇華を経て、次のthe GazettEは、どんな顔を見せてくれるのだろう? 今から楽しみで仕方ない。
取材・文◎村上孝之
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この日の終演後、the GazettEは来年2017年3月10日に国立代々木競技場第一体育館での15周年記念公演<大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」>を開催することをサプライズ発表した。チケットに関してはFC先行受付が10月3日(月)12:00から開始される。一般発売は2017年2月11日(土)10:00からとなる。
■the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 GRAND FINALE「DOGMA-ANOTHER FATE-」セットリスト
SE NIHIL
01. DOGMA
02. RAGE
03. DAWN
04 . GABRIEL ON THE GALLOWS
05. VENOMOUS SPIDER’S WEB
06. CLEVER MONKEY
07. BIZARRE
08. DEUX
09. OMINOUS
10. THE SUICIDE CIRCUS
11. INCUBUS
12. LUCY
13. ATTITUDE
14. HEADACHEMAN
15. UGLY
16. BLEMISH
17. UNDYING
EN1. INSIDE BEAST
EN2. 赤いワンピース
EN3. Filth in the beauty
EN4. COCKROACH
EN5. TOMORROW NEVER DIES
WEN. 関東土下座組合
<十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」>
会場:国立代々木競技場第一体育館
開場 / 開演:17:30 / 18:30
チケット料金:全席指定 \8,000-(税込) ※3歳以上有料
チケット一般発売日:2017年2月11日(土)10:00
TOTAL INFORMATION:ディスクガレージ:050-5533-0888(平日12:00~19:00)
特設サイト http://the-gazette.com/15/0310/
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◆the GazettE オフィシャルサイト
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