【インタビュー】エクリブリウム「なるべく早く日本に行きたい」
最新アルバム『アルマゲドン』をリリースするエクリブリウムをキャッチ、前編に続きバンドのリーダーであるルネ・ベルティオムに話を聞いていこう。
◆エクリブリウム画像
──あなたはどのようなメタル・バンドから影響を受けているのでしょう。
ルネ:最近のメタル・バンドから直接的な影響を受けるということはないね。特にメタル・パートを作曲するという点においてはね。影響を受けたメタル・バンドとなると、エクリブリウムを始めた頃よく聴いていた、例えばアイアン・メイデン、ディム・ボガー、ヒポクリシー、モーターヘッドとか…。スタイル的にはバラバラだけど、エクリブリウムを始めた頃、この辺のバンドからはメタルらしいパートを作曲する上で大きくインスパイアされた。今でもこれらのバンドからの影響は、身体に刻まれていると思う。もちろん俺が受けている音楽的な影響というのはメタルだけにとどまらない。映画のサウンドトラックであるとか、コンピューター・ゲームの音楽、それから世界各地の、南米、東欧、アイルランドなどの民俗音楽とかからも影響を受けているよ。
──クラシックからの影響というのはいかがでしょう。
ルネ:もちろんあるよ。ただ今言ったように、俺はサウンドトラックからの影響が大きい。そして多くのサウンドトラックというのはクラシックから多大な影響を受けているだろう。だから俺はクラシックの作曲家から直接的な影響を受けているというよりは、サウンドトラックを通じて間接的にインスパイアされているという感じかもね。
──好きなサウンドトラックの作曲家は?
ルネ:たくさんいるよ。いわゆる大御所だとジョン・ウィリアムズ、ハンス・ツィマー、ハワード・ショアとか。それから大好きなのが、何と発音するのかわからないのだけど、ジョー・ヒザイシ?宮崎駿の映画音楽を手掛けている人さ。
──久石譲ですね。
ルネ:彼は素晴らしいよ。独自の世界観があって。大好きな作曲家さ。
──お気に入りのアルバムを3枚教えてもらえますか。
ルネ:結構変わるから難しいな。まずドリーム・シアターの『メトロポリス・パート2:シーンズ・フロム・ア・メモリ』。これは大好きなんだ。それからディム・ボガーの『エンスローン・ダークネス・トライアンファント』。あとはそうだな、現在好きという意味ではブリング・ミー・ザ・ホライズンの『センピターナル』だね。
──世界各地の民俗音楽にインスパイアされているということでしたが、ドイツの民俗音楽についてはいかがでしょう。
ルネ;今回のアルバムに関していえば、典型的なドイツの民俗音楽からの影響というのはないな。ドイツは地域によって、様々な民俗音楽が存在する。前回のアルバム『源祭壇 - Erdentempel』では、バイエルン地方の民俗音楽から直接的影響を受けた「Wirtshaus Gaudi」という曲を入れた。アコーディオンなどが入っている、俺の住んでいるドイツ南部の民俗音楽なんだ。
──エクリブリウムの音楽は、ドイツ人が聴くととてもドイツ的に感じるものなのでしょうか。
ルネ;いや、そんなことはないと思うよ。もちろん多くの曲がドイツ語で書かれているので、その点においてはドイツ的だ。だけど音楽的な部分に関しては、ドイツ的だとは思わないな。音楽的影響は世界中の音楽から受けているからね。
──歌詞のほとんどがドイツ語ですが、これは何故なのでしょう。
ルネ:バンドを始めた頃から、ドイツ語で歌うのが一番自然だったんだ。歌詞を書いているのはヴォーカリストだけど、彼にとってもドイツ語で書くのが自然なんだろうね。今回のアルバムでは何曲か英語で歌っているし、もちろんドイツ語でしか歌わないというような制限を設けるつもりはないけれど、やはりエクリブリウムにとってはドイツ語で歌うというのは重要なポイントだね。英語で歌うというのと、ドイツ語で歌うというのは、音楽的にも違いがあるだろう。今回のアルバムでは、英語で歌ったほうがしっくり来るだろうと思える曲がいくつかあったんだ。それに英語で歌った方が、より多くの人に歌詞の内容を理解してもらえるというのもあるし。
──その点をお伺いしたかったのですが、歌詞がドイツ語であるか、英語であるかによって曲の書き方が変わるのでしょうか。
ルネ:間違いなく変わる。例えばラジオでかかっている英語の曲を、そのままドイツ語に訳して歌ってみると、非常にダサくなることがあるだろう。もちろん逆もあって、ドイツ語の歌詞を英語にすると、まったくうまくいかなくなるというケースもある。
──2015年は来日予定でしたが、直前でキャンセルになりました。一体何があったのですか。
ルネ;そうなんだよ、残念ながらキャンセルになってしまった。ツアーでは中国と日本に行く予定だったのだけど、中国のビザに関して手配が遅くてね、キャンセルをせざるを得なかったんだ。日本に行く分には何の問題もなかったのだけど。今もアジア・ツアーをやろうと計画しているところだよ。なるべく早く日本に行きたいね。
──では最後に日本のファンへのメッセ―ジをお願いします。
ルネ:日本にもたくさんエクリブリウムのファンがいることは知っているよ。Facebookにも「日本に来てほしい」という書きこみがたくさんあるからね。さっき言ったように、日本に行く計画も立てている。日本に行って、日本のファンに会うのが待ちきれないよ。それまでぜひ俺たちのニュー・アルバムを楽しんでくれ。
シンフォニック・ブラック・メタルやフォーク・メタル、パワー・メタルなど様々なスタイルのメタル、そしてメタル以外の音楽からの影響を吸収し、それらすべてが見事なバランスを保っているという、まさにバンド名が示す通りのエクリブリウム=均衡状態だ。それはまた、彼らの音楽があらゆるスタイルのメタル・ファンにアピールする可能性を持っているということだ。もしエクリブリウムを体験したことがなければ、一度彼らの楽曲を聴いてみて欲しい。彼らのスタイルは、聴いた瞬間にドカンとくる瞬殺タイプ。その即効性に驚くはずである。
取材・文:川嶋未来/SIGH
エクリブリウム『アルマゲドン』
【通販限定/初回限定盤CD+ボーナスCD+Tシャツ】¥5,500+税
【初回限定盤CD+ボーナスCD】 ¥3,000+税
【通常盤CD】 ¥2,500+税
※歌詞対訳付き/日本語解説書封入
1.ゼーンズフト
2.エアヴァッヘン
3.カタルシス
4.ハイマート
5.ボーン・トゥ・ビー・エピック
6.ツム・ホリツォント
7.ライズ・アゲイン
8.プレイ
9.ヘルデン
10.コヤニスカッツィ
11.エターナル・デスティネーション
【ボーナスCD】
インストゥルメンタル・ヴァージョン
1.ゼーンズフト
2.エアヴァッヘン
3.カタルシス
4.ハイマート
5.ボーン・トゥ・ビー・エピック
6.ツム・ホリツォント
7.ライズ・アゲイン
8.プレイ
9.ヘルデン
10.コヤニスカッツィ
11.エターナル・デスティネーション
【メンバー】
ロブ(ヴォーカル)
ルネ(ギター)
ドン(ギター)
ハティ(ドラムス)
◆エクリブリウム『アルマゲドン』オフィシャルページ