【インタビュー】Purple Stone、5thシングルは「“V系に対する挑戦”がテーマ」

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前シングル「歌舞伎町バタフライ」がオリコンインディーズチャート2位にランクインするなど、ヴィジュアルシーンでの存在感を増幅しているPurple Stoneが8月17日、5thシングル「パニックパニック!」をリリースする。そのサウンドはEDMテイストを活かした激しく厚いダンスチューンが魅力だ。パリピよろしく、ミュージックビデオもノリノリなダンスをフィーチャー、自身の新境地も凝縮した。

◆「パニックパニック!」ミュージックビデオ

制作のテーマは“ヴィジュアル系に対する挑戦”。ダンスはもとより、ラップや重低音の効いたローチューニングなど、サウンドメイクやアレンジ、セリフのひとつひとつにこだわったレコーディングの裏側を語るロングインタビューをお届けしたい。なお、Purple Stoneは同シングル発売当日に大阪 SUNHALLでワンマンライブを開催するほか、各地でライヴを展開するなど真夏を熱く駆け抜ける予定だ。

   ◆   ◆   ◆

■セリフ部分はすごく悩みました
■“ヴァンパイア感ってなんだよ?”みたいな(笑)──Keiya

──「パニックパニック!」はどんなテーマのもとに作られた作品でしょう?

Keiya:前作「歌舞伎町バタフライ」は王道的なヴィジュアル系という感じの曲だったじゃないですか。でも、僕らは3人ともEDMも好きなので、そういうテイストを活かしたものもやりたいねという話をいつもしていて。

GAK:今回はEDM路線でいこうという話になってから曲作りを始めたので、「パニックパニック!」は最初からそれを意識して作った曲です。ダンスロック調の曲は今までのPurple Stoneにもあるけど、そういう曲は生のドラムが全編4つ打ちを踏んでいるんですね。この曲に関しては、EDMの部分は本当にEDMに寄せるというか、生々しいロック的要素は入れないようにして、逆にBメロやサビ・パートでは思い切りロックするという風に完全に振り切ることを意識しました。なので、Aメロとかのキックはダンス系の打ち込みだし、ベースもシンセベースになっています。

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──2番でダブになるアレンジもカッコいいですね。

GAK:僕は本当にEDMも好きで、この曲を作る前に1~2年かけてメジャー/マイナー問わずEDMに分類される音楽を聴きまくったんです。だから、ダブパートのアイディアはすぐに浮かんできたし、全部自分で形にしました。流行りに乗ってちょっとEDMでもやってみようか、というようなものではないという自信はあります。

──分かります。中間の意表を突くテンポチェンジなども含めて、EDMを自分達なりに昇華していることを感じました。

GAK:テンポチェンジに関しては、最初は同じテンポのままギターソロにしようかなと思っていたんですよ。でも、それだと普通で。聴いてくれた人がビックリするものにしたいというのがあって、ああいうアレンジにしました。テンポチェンジしたパートはロック感が強くて8ビートだけど、そこもドラムは生ではない。ちょっとブレークビーツ寄りのエレクトロビートを使ってハイブリッド感を活かしたところに落とし込みました。

──アレンジ力の高さが功を奏して、独自のアッパーかつ華やかさを湛えたロックチューンに仕上がっています。歌詞は世紀末的な世界の中で、踊って騒ごうということを歌っていますね。

風麻:「パニックパニック!」ができる前に同じ路線の曲があったんですけど、それをボツにして急遽この曲を作ったんですね。ボツになった曲の時から歌詞はホラー感を活かした方向でいきたいというのがあって、そのテーマを引き継ぎました。“死生観”というテーマはヴィジュアル系で多用されるけど、「パニックパニック!」はPurple Stoneならではのものになっているんじゃないかな。“これ大丈夫かな?”って自分でも思う言葉が結構入っていて、人によってはいろんなことをディスっているのかなと感じるかもしれない。そういう意識で書いたわけじゃないけど、そう受け止められても別に構わないという気持ちもあります。

Keiya:ミュージックビデオもぜひ見てほしいです。「パニックパニック」は曲をGAKが書いて、歌詞を風麻が書いたので、ミュージックビデオは俺がやるかみたいなところもあって(笑)。曲調に合わせてダンスを採り入れることにしたんですけど、ダンスの振付を自分で考えて、撮影の時はプロダンサーを呼んでもらいつつ、自分も踊るみたいな(笑)。個人的にずっと昔からやりたいと思っていたことだけど、やれるにしてももっと先になる気がしていたんです。だから、このタイミングで実現できてすごく嬉しい。

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──夢がひとつ叶いましたね。では「パニックパニック!」のレコーディングはいかがでしたか?

GAK:ギターが主役の曲ではないので、ギターレコーディングはメリハリをつけることを意識しました。サビパートとかもいつもなら6〜5弦のパワーコードでガツッといくけど、この曲は3〜4弦を鳴らしている。シンセベースとシンセが分厚く鳴っているからギターはそれで十分だったんです。音色的にも曲調を踏まえて、そこまでゴリゴリな音にはしていなくて。フラクタル(アンプシミュレーター)のディーゼルVH-4とエングルのパワーボールのモデリングを使ったんですけど、ローはかなり削りました。ディーゼルの太さがほしいというよりは、ディーゼル特有のテイストを活かしたかったんです。ディーゼルのローを活かさないという、ちょっとイレギュラーな使い方ですけどね(笑)。でも、ローを削っても、どこかにディーゼルっぽさが残ると思うんですよ。そこを活かしつつミッドレンジが強いエングルの音とミックスして、イメージしていた音に持っていきました。

風麻:ベースはデモを忠実に再現しています。いろんな音が詰まっていて、ベースが余計なことをすると破綻してしまう恐れがあったから。だから、面白いことはなにもしてない(笑)。同じようなベースをライブで弾くとベタッとしてしまうので、16分音符を入れたりすると思いますけどね。プレイ的にはシンプルだけど、4弦のチューニングがA#(通常の5弦ベースのチューニングよりもさらに半音低い)なので、弾いていてすごく気持ち良かったです。

Keiya:歌い方はいろいろ試しました。こういう歌詞だから普通に明るく歌ってしまうと、ただのポップスになってしまう、それは絶対に嫌だったんです。「甘酸っぱいマンゴー」の時もそうだったけど、キャッチーな歌詞をマジメに歌うというか、歌詞に合わせて可愛く歌ったりは一切しなかった。あとは、この曲のセリフ部分はすごく悩みました。何テイクも録ったけど正解が分からないから、メンバーをレコーディングスタジオに呼んでね。僕がブースで「やっぱりプリンが食べたいぜぇ!」とか何回も録ってみて、「今のどう?」「うーん、一個前のほうが良かったかな」っていうようなやり取りをずーっとしていました(笑)。

風麻:エンジニアとかも含めた全員が、超マジメな顔でジャッジしていたんですよ、「やっぱりプリンが食べたいぜぇ!」を。かなり不思議な空間だったと思う(笑)。

Keiya:うん(笑)。“ヴァンパイアで血を吸いたいぜ”というセリフも「いや、それだとヴァンパイア感が足りないね」と。“ヴァンパイア感ってなんだよ?”みたいな(笑)。結局、僕的には今のヴァンパイアは微妙やなと思ったテイクがあったんですけど、メンバーが「おっ、今のめっちゃ血を吸いたそうやったわ。これでいこう!」と(笑)。よく分からないまま、「じゃあ、それで」と決まりました(笑)。

──お疲れ様でした(笑)。Bメロや展開パートに出てくる硬派なラップと華やかなサウンドのマッチングも絶妙です。

Keiya:僕はこういうラップが好きなんです。あまり韻を踏んでいないけど踏んでいるビートで歌うパターン。この曲は面白い歌詞に対してシリアスに歌うんだけど、ラップ部分はカッコつけ過ぎて“Hey,You!”みたいにすると違うんですよね。その辺のサジ加減がちょっと難しかったです。

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