【インタビュー】YOSHIKI、「薔薇のように咲いて 桜のように散って」を語る
YOSHIKIが松田聖子とタッグを組み、一つの作品を生み出した。「薔薇のように咲いて 桜のように散って」である。
◆YOSHIKI、松田聖子画像
この曲は、ドラマ『せいせいするほど、愛してる』の主題歌として生まれたものだが、YOSHIKIは松田聖子が歌うことを前提に「このまま日本のスタンダードの歌になればいいなと思えるような曲を作った」と、その出来上がりに強い自信をのぞかせる。作詞作曲はもとより、すべてのアレンジと演奏をもYOSHIKI一人が行ったという、注目の書き下ろし作品だ。
松田聖子×YOSHIKIという稀代のカップリングはどうやって生まれたのか、トピックスが駆けまわった7月8日、YOSHIKIに直撃インタビューを敢行した。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
──そもそも松田聖子との出会い、きっかけは?
YOSHIKI:えと、いつだったけ…3月ですね。紅白(2016年12月31日)の時にちょっとだけお会いしたんですけど、そのあといっしょにご飯を食べに行きまして、それが3月です。そのときに「楽曲を作っていただけませんか?」みたいな依頼を頂いたんです。
──松田聖子からの直依頼だったんですね。
YOSHIKI:そうですね。それで「ではやってみます」ということで、3ヶ月の時間をかけて、今できたという感じです。
──どんなリクエストをもらったんですか?
YOSHIKI:その時には特にドラマの話も聞いていなかったので、とにかく僕はイメージをふくらませるのに時間を費やしたんですけど、自分としては久しぶりにおもいっきり日本的な曲…日本を感じさせるようなイメージの曲を作ろうと思って、聖子さんに「作るんだったらあえてそのような曲にしたい」と伝えたんです。
──コンセプトがしっかりあったということですね。
YOSHIKI:最近僕は、ヨーロッパだったりアメリカだったり西洋の雰囲気のものが多かったので、逆に強く日本を意識した曲が作りたいと思ったんです。聖子さんも是非!と。そこはお任せいただきました。
──曲作りは松田聖子が歌うことを前提に?
YOSHIKI:そうです。キーの問題もありますからね。
──曲作りは順調でしたか?いわゆる産みの苦しみとか。
YOSHIKI:僕、自分で言うのも何なんですけど、作曲には自信がありますんで(笑)、イメージさえ固まれば作曲はいつもはずさない方だと思います。
──逆にイメージが大事なのか…。
YOSHIKI:はい、イメージを固めるまでに時間をかけます。ビジュアル…というか頭のなかで雰囲気とかイメージさえ決まれば、もうメロディはガンガンついてくるから。
──その時点で“薔薇”“桜”“花びら”みたいなキーワードも生まれていたのですか?
YOSHIKI:自分の中で“日本”というものが描かれていたので、自然と。曲を先に書いて最後に歌詞が静かに降ってきたような感じです。
──日本語詞って久しぶりですよね?
YOSHIKI:そうですね、今作っているX JAPANのアルバムも99%英語ですから、X JAPANの曲で言うと、映画『手塚治虫のブッダ -赤い砂漠よ!美しく-』の主題歌「Scarlet Love Song」で書いた以来かもしれません。
──日本詞は新鮮でした?
YOSHIKI:最初はちょっと戸惑ったんですけど、書き始めたらすんなり出てきたので「あ、やっぱり僕は日本人なんだな」って思いました(笑)。
──詞もイメージが固まれば苦労はしない?
YOSHIKI:アメリカに20年くらいいますので、基本的には考えも英語で出てきてしまうんですね。夢の中も英語なので。だから、その切り替えがちょっと難しかったですけど。
──レコーディング自体は順調でしたか?
YOSHIKI:レコーディングという意味では、実はまだ完パケしていないんですけどね、あはは(笑)。
──は?
YOSHIKI:一応、TVドラマ用には仕上げましたよ。
──ドラマ『せいせいするほど、愛してる』は、7月12日(火)22時には始まるんですから、お願いしますよ。
YOSHIKI:今回ボーカル以外…ドラム、ギター、ベース、ピアノ、ストリングスも全部自分で演っちゃっています。この曲は、ちょっとボイシングとかも凝っていて、他の人に説明するのが大変そうだったので、そんな暇があれば自分で演ったほうが早いという判断で、自分で演っちゃいました。
──ボイシングというのはピアノのことですか?
YOSHIKI:音と音とのぶつかりなんですけど、微妙にストリングスなんかをぶつけているんです。メロディラインに対してカウンターメロディを与えているので、そこで弾かれるギターの音がすごく制限されていたりするんですね。譜面上には書かれているんですけど、もう自分で弾いちゃたほうが早い、と。
──それがドラマで流れる音源ですよね。松田聖子の歌が入り、どういう出来上がりになりましたか?
YOSHIKI:かなりいい曲になったというか、思っていた以上の自信作になりました。
──自分で作った曲にToshI以外が歌うのって、久しぶりですよね。
YOSHIKI:仙道敦子さんと吉田栄作さんのNOAで「今を抱きしめて」を作った以来かな。それも全部バックの演奏も自分で作ったから、それ以来かもしれませんね。「薔薇のように咲いて 桜のように散って」は、このまま日本のスタンダードの歌になればいいなと思えるような曲を作ったので、相当自信あります。
──発売が楽しみです。ちなみにスペシャルバージョンとしてToshIが歌ったものをアルバムのボーナストラックにするとか、どうです?
YOSHIKI:たまたまX JAPANのレコーディングも並行して演っていたので、ToshIに仮歌を歌ってもらおうかとも思ったんですけど、でもちょっとみんな忙しくて大変だったのでやめました。そもそも松田聖子さんをイメージしてそこからメロディーも書いた曲なので…。X JAPANもToshIのイメージで書きますし、そもそもシンガーのイメージに対して曲を書くパターンが多いので。ただ、「薔薇のように咲いて 桜のように散って」もいろんなバージョンを作ったので、楽しみにしていてください。皆さんに聴いて欲しいです。
──楽しみです。ただ、さきほどの「まだ完成していない」発言、どういうことですか?
YOSHIKI:いや(笑)ちょっと、もう2~3手を加えたいな…というのが、ま、リリースになるまでの時間があれば。いや、このままでも全然いいんですけど。
──そこね、YOSHIKIさんの悪い癖です。
YOSHIKI:ま、いわゆる僕の“X JAPAN病”ですか。
──それ。
YOSHIKI:うん、まあ…その、理想が高いというか、「もう一息できるんじゃないかな」とは、僕、思っているんで。
──それ、もうダメです。というかX JAPANのアルバムはどうなってます?
YOSHIKI:それがですね、映画にも関連して、映画『We Are X』主題歌のようなものを演っていまして…
──さらなる新曲?
YOSHIKI:アルバムには入れないはずだったんですけど、それが急遽入れることになりまして。それをレコーディングしています。「薔薇のように咲いて 桜のように散って」と同時に演っていたので、1週間位徹夜したような感じですよ(笑)。
──それは楽しみです。最後に、PATAの容態を教えてもらえますか?
YOSHIKI:順調です。近々…(笑)、大きな発表があると思います。
──おー、それはいい発表と思っていればいいですね?
YOSHIKI:はい、かなり前向きな大きな発表です。楽しみにしておいてください。
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