【ライブレポート】アンジュルム 田村芽実が卒業。「夢のような毎日を本当にありがとうございました!」

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センターステージから、メンバーの元へと戻り、幸せな時間に少しだけ切なさと寂しさが入り混じる卒業セレモニーへ。仲間たちに囲まれながら、田村は用意してきた手紙でこれまでを振り返り、懐かしそうに、愛おしむように、笑顔でメッセージを伝えていく。背面のモニターに大写しになって気づいた人もいたかもしれないが、彼女の手紙はこれまでのハロー!プロジェクトでの卒業セレモニーで読まれた手紙としては珍しい縦書き。文中に出てきた、「私も明日から、小さな芽を大切に育て、いつしか大きな大きな木となり実りを遂げたいです。」という自分の名前(芽実)を組み込んだフレーズと同様に、きっとこれも彼女のこだわりなのだろう(手紙の全文については先に掲載した記事にて紹介済み)。

そしてお互いに新しい旅立ちを迎えようとしている田村と8人が「旅立ちの春が来た」を歌唱する。涙を浮かべるメンバーに、歌詞のように<笑顔で送り出して>と、田村はやさしく微笑み、そして視線を合わせる。そんな頼もしい姿を見れば、田村はきっと大丈夫だと武道館の誰もが思ったことだろう。

最後の挨拶では、田村にむけてメンバーひとりずつが言葉をかけていく。半年間という短い間で教わり、怒られ、そして慰められたという上國料萌衣。佐々木莉佳子は泣きそうになるのをものすごく必死に堪えながら、「今度は、自分の夢を叶えた田村さんと同じステージに立つのが私の夢」と宣言し、喝采を浴びる。「田村芽実さんに教えていただいたことを活かしてどんどん進化できるように頑張る」とは相川茉穂。そして室田瑞希は、「田村さんのストイックな部分とか、パフォーマンスとか全部、私が受け継ぎたい。」と決意を語るも、「温かく見守っていてほしいなって思います……陰から。裏のほうで」と、笑いを忘れない。

「MEIMI TAMURA」のシリコンバンドを身につけた同期たちからのメッセージは、まさしくこれぞ“スマイレージ2期メンバー”というわちゃわちゃ感とともに。「夢がかなった時には、絶対にめいが輝いている姿を、お仕事があっても見に行きたいなって(会場笑)思います。」と勝田里奈。「勝手に、ライバル意識とかしてたの。」と竹内朱莉が告白すると、全メンバーが「ええーっ!」と驚く。中西香菜は「みんな泣いたりしてるけど、めいめいがいなくなるわけじゃない」と卒業しても変わらぬアンジュルムの絆を口にする。

田村芽実は「群馬の田舎で生まれた、ただの女の子をこんなに応援してくれるなんて。私はもう一生分の運を使い果たしたんじゃないかって思ってるぐらいなんですけど、皆さんには感謝してもしきれません。」「夢のような毎日を見せてくれて本当にありがとうございました!」と感謝の気持ちをあらためて語る。

そして和田彩花は、「本当に最高の形でめいめいを送り出せて、正直ほっとしてるっていうか安心してる」とリーダーの顔を見せ、「これからもね、素敵な空間をたくさん作っていきたいなと思います。」と、次のアンジュルムでも最高の状態を生み出していくことを誓った。

在籍期間を通して、田村芽実はいろんな顔を見せてくれた。2011年にスマイレージのサブメンバーとして始まった彼女。加入当時は天真爛漫さとイタズラっ子感を持ち合わせ、当時のつんく♂プロデューサーがスマイレージを表現する際に使った“悪ガキッ”感を初期メンバーからもっとも受け継いだかのようなキャラクターで我々を楽しませた。一方で、アンジュルムへの改名、後輩メンバーが加入するにつれて、当初のキャラクターに加えて、曲によっては色っぽさも含めた大人の顔を見せるなど、その表現力の幅を存分に発揮したパフォーマンスで多くのファンを文字通り“魅了”した。

その裏側には、メンバーをして“ストイック”という言葉があったように努力と苦悩があったことを忘れてはならない。初期のスマイレージが好きすぎたために、2期メンバー募集にショックを受け、「じゃあオーディションを受けてみれば?」という姉からの提案がきっかけでメンバー入り。もしかしたら田村のストイックさというのは、自分が大好きなスマイレージ / アンジュルムというグループを守るため、自分が愛するグループをみんなにも愛してもらうためでもあったのかもしれない(余談だが、田村は2015年2月の「大器晩成/乙女の逆襲」リリースイベントで、池袋サンシャインシティ噴水広場に集まってくれた大勢のファンの姿を目の当たりにして「アンジュルムが愛されるグループになってよかった」と、号泣した)。

すでに各所でも報道されているとおり、卒業後、田村芽実は昔からの夢だったミュージカル女優を目指す。

「私は、17年間生きてきたんですけど、本当に今日が一番幸せな日ですし、世界中、どこを探しても私以上に幸せな人はいないんじゃないかなって本当に思いました。ありがとうございます。みなさんに伝えたい事はただひとつです。『本当に感謝してます。ありがとうございました。』 もうひとつありましたー。『みなさん大好きですー!』 ありがとうございました。田村芽実でした。」

17年生きてきて一番幸せな日。そう語り、1752日のアイドルとしての人生を締めくくって新たな一歩を踏み出した彼女は、間違いなくこの日、日本武道館の中心で誰よりも輝いていたのである。

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

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