【イベントレポート】吉川友のアルバム評価、観客全員の体が勝手に“花マルっ!!”
10月10日から怒涛の9日間連続で行なわれていた吉川友のオリジナルアルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』リリースイベントが、10月18日をもって一区切りとなった。連続イベントの最終日であり、東京で行なうリリースイベントのラストとなったタワーレコード新宿店でのイベントでは、集まった観客全員、アルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』に“花マルっ!!”という評価を体が勝手に下してしまっていたという、まるで狐につままれたような、いや“きっかにつままれた”事態となった。
◆<吉川友 『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』リリースイベント タワーレコード新宿店>画像
21時からというオトナな時間帯からスタートしたタワレコでのイベント。1曲目の「『花』第三楽章~コスモスへの祈り~」では、途中に「みなさん、今日はリリースイベント最終日、お越し下さり本当にありがとうございます。無事、アルバムリリースいたしました。」とMCを挟んで、<Do you believe in eternity?>と、永遠の向こう側を目指すかのように歌いあげる。ラストの瞬間をともに迎えようと集まった観客もコールで応えて、JR新宿駅東南口に立つFlagsの7階フロアは熱い空間と化す。
さらに、アルバムのリード曲「WILDSTRAWBERRY」では、少女の素顔と女の野望を覗かせて熱唱しながら「一緒に拳!」と、ファンとともに拳を突き上げる。攻撃的なビートと観客が生み出す激しいクラップ。すでに秋が深まりつつあるにも関わらず、熱気を帯びた会場。思わずきっかも汗を滲ませれば、観客側の盛り上がりは興奮を越えて陶酔へと誘われる。
続く「いいじゃん」では、ステージの前ギリギリのところに立つと、歌の途中途中で「みんなで一緒に踊りましょ?」「みんなで!」「みんなの本気が見てみたーい!」と呼びかける。さらには、まるで観客をひとりずつ煽っていくかのようにステージ上を端から端まで動き、身を乗り出しながら歌唱すると、ファンからの歓声はさらに激しさを増し、店内でライブハウスのような一体感を作り上げていく。そして「みんなで行くよ!」と、さらなる一体感を求めて最後のサビへと突入。ラストで“花マルっ!!”と、全員一緒に頭の上で丸を作る振りとともに力の限り声を合わせるこの部分。最初こそきっかは普通に歌うが、同じフレーズの繰り返しのところで、<Are you ready? Every day 結果オーライっ!!>にアドリブで「10月14日に発売されたアルバム、みなさんどうでしたかー?」と、言葉を詰め込む。突然の出来事に対応しきれないまま、気づけば曲は進んで、観客はいつものように声を合わせて、みんなで“花マルっ!!”と、頭上で丸を作る。そして“花マルっ!!”×3回。
「いやー、ありがとうございます。今の『いいじゃん』という曲で、最後にね『アルバム、みなさん今回のできはどうでしたか?』と言ったら、“花マルっ!!”をいただきました。ありがとうございました。自然と勝手に手が動いてくださって、こう思ってくださっているということですね。嬉しいなー。」
歌い終わって実に白々しくも満足気なきっか。思えば、前日に行なわれた新星堂モザイクモール港北店や池袋のニコニコ本社でのミニライブと比べて、今回のイベントでは、やたら頻繁に「真似してください!」「一緒に!」と呼びかけていた。
そう、それはまさに不可解な点と点が一本の線としてつながった瞬間。吉川友、なんという策士っぷりであろうか。
もっとも、きっかが不意をついて観客から“花マルっ!!”を強奪するまでもなく、彼女の3枚目となるオリジナルアルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』は充実の作品である。17分25秒に女の一生を詰め込んだ「花」や、オトナの女の魅力を存分に聴かせる「URAHARA テンプテーション」「あまいメロディー」。アコギとの一発録りでレコーディングされた「プラネタリウム」で、“いわゆるアイドル”の域を越える卓越したボーカルを聴かせれば、「こんな愛しちゃ」では歌詞の世界観を再現してみせる表現力の高さを披露する(もっとも、この曲に関してはCD音源よりもライブでどう聴かせるかが注目でもあるのだが)。そして「いいじゃん」がきっかの普段を“いかにも”な形で切り取っていれば、そんなきっかの指針となるような「Stairways」と、バラエティ豊かな楽曲群に今の吉川友のすべてが注ぎ込まれ、紛うことなき“花マルっ!!”な1枚といえるだろう。
そしてこれは、本人がステージ上で口にした「私的には、今回のアルバムが最後になってもよかったと思えるような出来栄えのアルバム」という言葉、それほどまでの満足度と、そこからくる自信の現れが、何よりも雄弁に物語っているのである。
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