【インタビュー】SHOW-YA、50歳を過ぎてなお進化し続け燃え盛るロックガールが放つオリジナル・アルバム『PROGRESS』

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■50歳過ぎてそうそう人に強く惹かれて「好きでたまらない!」という想いをしなくなってきた
■でも10代の頃の好きでたまらない気持ちと妄想して思いこみの激しい女を歌いたいなと思って


──「A VIEW AFTER DARK」はデビュー前の代表曲ですが、これまでどうしてRECされなかったのでしょうか?

寺田:これは1982年のコンテストで賞をもらった曲なんだけど、あまりにも当時のメンバーと今のメンバーが違うので。当時からいるメンバーは私とキャプテン(Keyの中村“captain”美紀)だけなんですよ。これは30周年でSHOW-YAの軌跡を表した作品にしたいと思ったときに、スタートラインというか、もともとSHOW-YAはプログレ・バンドで、それがメンバーが変わって色んなものを経験して今の形になっているんだけど、その原点というのもやっぱり大事だよねという話になって。私とキャプテンは最初からいるから色んな曲に思い入れがあるんだけど、メンバーは色んな曲の中でやったことがない曲があるわけだし、何曲かの中からこの1曲を選んだんです。

──寺田さんにとっても思い入れの強い曲ですか?

寺田:思い入れはあるよ。すぐに歌えたもん(笑)。私がこの曲を歌ったのは18歳のときなんです。カルメン・マキさんに憧れてロックを歌い始めて、やっぱり歌い方もマキさんっぽいし、SHOW-YAのメンバーはNOVELA(ノヴェラ)とかプログレのジャパニーズ・ロックが好きだったから、私はそこを聴き始めた最初の頃なんで、どうやって歌って良いのかわからなかったんです。だからあの頃のテープを聴いてみると、一生懸命に歌っているんだけど、「ああ酷いなあ」って(笑)。ただ、楽曲が楽曲なだけに、そういう歌い方が若干しみついているのね。その当時の歌い方をしないと成り立たない箇所もあるので。だけど今はそういう歌い方をしていないし、あれから35年近く経っていて私も成長しているし、そのままの歌い方はないよねって。だから今のボーカルスタイルと、当時の最初に歌った印象とをミックスして仮歌は歌ったんですけど、それが見事にハマったんですよね。だからこの曲はリズム録りのときの仮歌がそのまま入っています。


──ギターの五十嵐☆sun-go☆美貴さん作詞作曲の「Show-yA」はバンド名を冠した曲ですが、ちょっと異色な印象に聴こえます。

寺田:sun-goが加入してからのSHOW-YAの歴史の曲なんだけど、彼女とだけではなくて、SHOW-YAの歴史も入れられる楽曲にしたいなというのがあったので、詞の部分は彼女と相談しながらまとめて行ったんです。メロディアスの中にハードさや速さがあるのが、みんなが知っているSHOW-YAだと思うんですけど、ミディアムの曲は過去にもいっぱいあるので、そういえば今回ミディアムの重たい感じを選んでなかったね、という話になってこの曲を入れたんです。メンバーそれぞれがアルバムの中で言葉を発するというのはほとんどないので、そういう意味では1人ひとりがピンで言葉を発するのはこの曲が最初なんじゃないかな。

──それもあって「Show-yA」というタイトルになったんですね。

寺田:そう。SHOW-YAというバンドは5人でSHOW-YAなんだという気持ちで。オリジナルメンバーで30周年を迎えられたというのも、女性ハードロックバンドというのも、世界的に見てもほとんど皆無だと思うんですよ。なので、こういう楽曲は今のSHOW-YAに相応しいんじゃないかなって。

──ラストのバラード「限りなくはるかな自由へ~go again~」は歌詞が寺田さんになっていますが。

寺田:この曲は『Glamour』(1988年)に入っている曲で、セルフカバーなんです。私はこの詞がすごく好きで。人というのは、どんなに悲しいことがあっても一歩一歩進んで行かなきゃいけない生き物なんだねっていう部分で作っているので。ライヴでもアレンジして歌っていた曲なので、そのアレンジで今回改めて入れさせてもらったんです。最初のギターと歌の部分は、リビングとかでフッと「ちょっと疲れたなあ」ってお風呂上りにお酒でもチビチビやりながら、ギターをボローンってしながら歌うイメージがあったので、そういう感じで録らせてもらいました。本当に遠くの方にマイクがあって、なんとなくリビングっぽくしてもらって(笑)。


──最後はこの曲で包み込むように終わりますけど、前半の肉食系ラブソング「秒殺 Crazy Love」とのギャップがすごいなとも思います。

寺田:肉食系というか、ちょっとアブナい感じだよね(笑)。50歳過ぎてそうそう人に強く惹かれて「好きでたまらない!」という想いをしなくなってきたので。なんかやっぱり大人だからってセーブする部分もあります。でも10代の頃って、好きな人がいたら1日中その人のことを考えていられるというか。そういう好きでたまらないんだよっていうものプラス、妄想して思いこみの激しい女を歌いたいなと思って。最近、SHOW-YAって戦っている強い女の歌を歌い続けてきたので、自分が段々女らしい部分がなくなってきたんじゃないかって恐怖心があって(笑)。それで森雪之丞さんにお願いして書いてもらいました。

──8月23日(日)に今年2回目の開催となる<NAONのYAON 2015 SUMMER>がおこなわれましたが、振り返ってみていかがですか?

寺田:女性バンドも女性アーティストが昔に比べると増えているし、歌ってほしい人もいっぱいいる中で、4月と8月の両方参戦してくれた人もいたし、8月は出ることが出来なかった人もいたんですけど、やっぱり女性のパワーがすごく強いというか本当にハンパなかったですね。昔はお披露目の場みたいな感じもあったんですけど、今は「何やってるのみんな!こんな日本でも頑張ろうよ!」って結構ガツガツお客さんを煽って盛り上げてくれて、みんなに元気を与えるぞっていう思いでやってくれているアーティストが多かったかなって思います。だからステージを観るのがすごく楽しかったし、みんなが頑張るほど主催者としては燃えざるを得ないというか。「負けてられない!」と思いましたね。

──そして8月29日と8月30日には目黒鹿鳴館でのライヴ<Return to 鹿鳴館>もおこなわれました。これは感慨深いものがあったのではないですか?

寺田:感慨深かったねえ。泣くつもりがなかったのに思わず泣いちゃったんだ。30年前のまだデビューするしないという頃にずっとライヴをやっていて、レコード会社の人が観に来てくれて「今のこのSHOW-YAだったらデビューして良いよ」って言ってくれた想い出の地というか、自分たちのプロとしてのスタートが鹿鳴館だったので。本当は大々的に大きな所でやっても良かったんだけど、ここは自分たちの想いを通させてほしいという気持ちもあって2Daysやって。初日ですごいテンションが上がって、その興奮冷めやらずに2日目に来ちゃったんだけど、アンコールのときにお客さんが「HAPPY BIRTHDAY」って書かれた横断幕を出してくれて、みんなで“HAPPY BIRTHDAY Dear SHOW-YA”って歌ってくれたんだよね。それを聴いた瞬間に、腰が抜けちゃって(笑)。涙が止まらなくて。今もその光景を思い浮かべると胸が詰まってちょっと涙が出てくるんだけど。普通、ちょっと泣いてもすぐ立ち直って「みんなありがとう」って言えるんだけど、声にならなかったのはあの時が初めてだったかもしれない。それくらい嬉しかったですね。

──ファンの方に支えられてきたことを改めて感じられた日だったんですね。

寺田:そうだね。ずっとファンでいてくれて支えてくれる人たちがいて、こうして活動できるバンドって数が限られてくると思うんです。SHOW-YAはそういう所にいられるんだなっていう喜びを感じました。自分は一度SHOW-YAを辞めている人間なので、それでも信じてくれるというか、今やっているSHOW-YAを観て「やっぱりSHOW-YAが好き」って戻って来てくれたファンもいるので、そういう人たちが「SHOW-YAを好きで良かった、信じていて良かった」って言ってくれると嬉しいよね。だからその人たちに応えなきゃって思うし、ファンがいないと続けられないからね。どんなにバンドが一生懸命やろうが、聴いてくれる人がいて初めて成り立つ仕事だから、すごく感謝しています。

──12月27日(日)には東京・東京国際フォーラムAでのライヴが控えています。

寺田:ここ最近は明日のことは考えないライヴを常にやっていて、限界を越えたところでしかライヴをやっていないので、フォーラムも限界を越えたライヴになると思うし、本当に30年の集大成に相応しいライヴになると思います。鹿鳴館のときに来れなかった人も含めて一緒に30周年をお祝いして、「SHOW-YAまだまだ頑張ってるよ、これからもよろしくね!」という一日にしたいですね。みなさんぜひ来てください。

取材・文●岡本貴之




『PROGRESS』

2015.9.30(wed) Release
価格:\3,000(税抜) 全12曲収録 UICZ-4334
01.限界LOVERS 2015
02.秒殺 Crazy Love
03.反逆のフラッシュ
04.BRING IT OUT!
05.Always On Your Side
06.Rock Love
コーラス:杏子、相川七瀬、中村あゆみ、土屋アンナ、Gacharic Spin(はな、オレオレオナ)、石田ミホコ、稚菜
07.MEDUSA
08.A VIEW AFTER DARK
09.SIGN
10.Show-yA
11.限りなくはるかな自由へ~go again~
【SPECIAL TRACK】
12. 限界LOVERS feat.安室奈美恵
ヴォーカル:寺田恵子、安室奈美恵

ライブ・イベント情報

<『30th Anniversary オリジナル・アルバム』秋ツアー>
●10月24日(土)名古屋E.L.L.
●10月25日(日)梅田クラブクアトロ
●10月29日(木)渋谷O-WEST

<SHOW-YA 30th Anniversary Live>
12月27日(日)東京国際フォーラム ホールA


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