【インタビュー】SUGIZO × J、<LUNATIC FEST.>を語る_第一夜「これは奇跡だ」
■だから表層的な部分を模写してるわけじゃないんですよ
■それはやっぱり嬉しいし、グッときますよね──SUGIZO
──僕もそう信じてます。続いてのバンドは、6月28日出演の[Alexandros]。バンドとしてはミューズ、プライマル・スクリーム、カサビアンなど海外アーティストのサポートを務めるほか、海外でのライヴを多数こなすなど、世界を視野に入れて活動するバンドで、今や日本のフェスでも引っ張りだこという感じなんですが。彼らが本格的に活動を開始したのが2007年ということで、ずいぶん若いバンドですよね。LUNA SEAと[Alexandros]との関係性は?
J:俺はソロで何年かに一度主宰イベントをやったりしてるんですけど、そこで対バンしたりとか。「どうしても出たかったんですよ。でも声がかからなくて悔しくて」みたいなことを言ってくれたのが2011年ぐらいのイベントで。2014年11月に[Alexandros]と一緒にやって、「やっと夢叶いました」みたいな(笑)。すごくいいヤツらですよ。たしかドラムの(庄村)聡泰くんが真矢の弟子だって。
SUGIZO:俺が最初に知り合ったのは聡泰くん。LUNA SEAのライヴに凛として時雨のピエール中野くんが連れてきたんだよね。で、俺は2~3年前にフェスで対バンしたんですよ。まだ[Champagne]時代に。その前からすげえカッコいいと思って注目していたんです。去年の武道館公演に行った時に、[Champagne]から[Alexandros]に名前が変わって。あれも素晴らしいライヴでね、一緒にやりたいなと思っていたんです。
──そういう若いバンドとは積極的に?
J:そうですね。新しいエネルギーに触れるのは俺自身好きだし、俺たちがそうだったように、やっぱり新しいうねりというか、そういうものは押し出してあげたいとは思うんですよね。
──芸術表現って、僕はリレーみたいなものかなと僕は思っていて。それはバケツリレーなのかバトンなのかわからないですけど、中に入ってるものってけっこうシンプルじゃないですか。アーティストの方っていうのはそのリレーに参加してる人たちなのかなと。それは同じ年代でぐるぐる回していてもきっとダメで、若い世代へ向けてバトンを繋いでいかなきゃいけないのかなと思うんです。今回のフェスはそれが見事に体現できているような気がして。
SUGIZO:それを繋いでいくっていうのがすごく大事なんですよね。まさにそれが今回の最も大切な目的だったかもしれない。
──改めておふたりにおうかがいしたいんですが、[Alexandros]の魅力は?
J:まだまだ未知の部分があるバンドだなって、俺はライヴを一緒にやってて思ったんですよ。これからまだまだ彼らの世界が広がっていく可能性をすごい感じたかな。
SUGIZO:彼らのソリッドでメロウな、ガンガン前に出てくるロックって、新しい日本のスタイルだと思っている。もう世界を視野に入れていいバンドだと思います。日本を背負って立てるバンドとして、俺はすごい注目してますね。
──LUNA SEAのふたりがこんなこと言ってくれてるって聞いたら、[Alexandros]のメンバーは喜ぶだろうな(笑)。
SUGIZO:この世代が日本を背負って立っていくんです。いちファンですね、俺は。
──すごい発言が飛び出しました。続いては6月27日に出演します9mm Parabellum Bullet。2004年に横浜で結成して、昨年迎えた10周年では武道館2DAYSを大成功させております。9mmはLUNA SEAの大ファンだっていうことを聞いたことがあるんですが。ちなみに直接の関わり合いというのは、バンド同士とかプライベートとかあったりするんでしょうか。
J:彼らはあらゆるところで「LUNA SEAの音楽を聴いてすごい影響を受けたんです」って公言してくれてますね。たしか、僕が最初に知人からすごくいいバンドがいるっていう話を聞いたのが、2006年。
──では結成から2年後には情報を仕入れていたという。
J:そうですね。で、俺が大阪でライヴやる時に「オープニングアクトとして一緒にやらない?」って誘ったのが最初でしたね。そこからあれよあれよという間に、彼らは自分たちの力で登りつめていって。俺たちの音楽を聴いて、彼らなりの言語で、彼らなりの音を作っている。俺はそこにすごく逞しさを感じていて、いいバンドだなと思ってたんですよ。ただ、俺にとっては永遠の若手だったんですけど、もう10年なんですね! 俺はスタッフには彼らをボーイズって呼んでるんですけどね。もうボーイズではないじゃないですか(笑)。
──ないですよ(笑)。SUGIZOさんは9mmとは?
SUGIZO:すごく好きなバンドなんですけど面識はないです。やっぱり日本のこの年代のエモでエクストリームなトップレベルのバンドだと思っていて、一緒にやりたかったので嬉しいです。
J:今度ちゃんと紹介するよ。俺はベースの和彦くんと何度か一緒に飯食ったりとかしててね。
SUGIZO:対談してなかったっけ?
J:対談したね。……なんかね、ああ見えて、あのまんまなんですよ。その場にふわーっといるんですよ。でも芯がすごい熱くて、おもしろいですよ。
──でも考えてみたら、LUNA SEAは大ブレイクしましたけど、やっぱり異端っちゃ異端なわけじゃないですか。しかも途中、お休みがあったりしながらも、やっぱりLUNA SEAを聴いて育った若手のバンドがいるっていうことも財産のひとつなのかなと思います。
SUGIZO:だから、みんなLUNATICなんです。狂気であり異端なんです。異端が集まって、それが新しい道を作るんです。
──俺も自信持って生きよう(笑)。では、Jさんに9mmの魅力を聞いてみたいなと思うんですけど、改めてどんなバンドなんでしょう?
J:彼らのバンドとしての勢いはもちろん、この表現が正しいかわからないですけど、自分たちへ流れを引きずり込んできた彼らのスタイルは、実際パンクだと思うんです。9mmの前に9mmみたいなサウンドをプレイしてたバンドはなかなかいなかったし、それをメジャーに押し上げたのはやっぱり彼らの功績だと思う。
──そのボーイズたちもLUNA SEAと同じステージに。
J:和彦も、もうちょっとゴー!みたいな感じでいくと思います。でもしれっといますからね。
SUGIZO:そのふわっとした感じがいいんじゃない?(笑)。
──続いては6月27日に出演するthe telephonesです。2005年に埼玉で結成した、いわゆるダンスロックというサウンドを確立したバンドであり、ライヴハウスとクラブシーンを繋ぐバンドと言ってもいいかと思います。先日も武道館公演を大成功に収めましたが、結成10周年となる2015年をもって無期限の活動休止をすることを発表しています。ちょっと意外なブッキングでもあるんですけど、このthe telephonesはどんな関係なんですか?
SUGIZO:彼らもLUNA SEAが好きだって公言してくれてるバンドで。Jとは対バンしてるよね。
J:そうだね。
SUGIZO:俺はよく飲むんですよ。石毛くんと岡本くんとは1回、(凛として)時雨のメンバーたちと一緒にライヴでジャムセッションしたな。
──そのジャムっていうのは?
SUGIZO:時雨のピエール中野くんと、俺の仲間のギタリストのtakutoくんと、もうひとりLITEのベーシストの井澤 惇くんの3人がやってるカオティック・スピードキングっていう即興バンドがあるんですよ。そこでみんなでジャムったことが3~4年前にあって、それで意気投合して仲良くなりましたね。
──Jさんがthe telephonesとの対バンしたのはいつくらいですか?
J:俺のソロイベントで対バンしたのが、2011年ですね。the telephonesとは音楽性は全然違うと思うんですけど、本当にLUNA SEAのことを好きだって言ってくれてて。さっき9mmの時にも言ったんですけど、自分たちなりの言語で表現するっていうことは、バンドとして絶対あるべき姿だと俺は思うんですよ。それが一番の力になるし、今までなかったものとして存在するから。そういうふうに切り開いてきたバンドって美しいじゃないですか。そういう意味ではthe telephonesも彼らしかないサウンドを持っている。それはパワーがいることでもあるんですよ。
──なるほど。プライベートのお付き合いも?
J:ベースの(長島)涼平くんとかキーボードの岡本くんとかと飯食ったり飲んだりね。the telephonesはおもしろいし、すごくいいヤツら。もうちょっと大きく出てもいいんじゃないのって思うんだけど、「いやいやいや、僕らは」みたいな、そういうタイプなんですよ。
──the telephonesは2015年に発展的活動休止を発表してます。LUNA SEAも活動が止まったことがあったりしますけども、やっぱり止まることも必要なんですかね、バンドっていうのは。
SUGIZO:それもまたひとつの進化の方法なんだよね。続けることもそうだし、止まることも。ポジティヴな概念がベースにあればいいんじゃないかな。俺のイメージだと、彼らはああ見えて今回のフェスの中で一番ブチ切れてる。そのぶっ飛び度合いには、もう本当に圧倒されますよ。
──さっきJさんもおっしゃってましたけど、LUNA SEAという異端のバンドが進んできた後に咲いた花は、決して同じような花ではなくて、また違う道を歩む異端たちだったという。これが素敵だなと。
SUGIZO:だから表層的な部分を模写してるわけじゃないんですよね。うちらの時代は修羅場をくぐってきて、自分たちの確固たるオリジナリティを求め続けてきた。たぶんその根本にあるアティテュードがすごく響いてるっていうことだと思うんですよね。それはやっぱり嬉しいし、グッときますよね。やってて良かったと思います。
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