【インタビュー】華原朋美、「はじまりのうたが聴こえる」は「「I’m proud」のように大切に歌っていきたい」
華原朋美が5月20日にニューシングル「はじまりのうたが聴こえる」をリリース。約9年ぶりのオリジナルシングルとなる今作では、16年半ぶりに小室哲哉とのタッグが実現した。このタッグはリリース前より大きな話題を呼んでおり、さらに華原朋美自らが作詞したその歌詞の内容にも注目が集まっている。
◆華原朋美 画像
BARKSでは、華原朋美にインタビューを敢行。「はじまりのうたが聴こえる」の歌詞に込められた切なる思いを語ってくれた。また、デビュー20周年イヤーを記念して発表される初のオールタイム・ベストアルバム『ALL TIME SINGLES BEST』、『ALL TIME SELECTION BEST』についてや、7月よりスタートする全国ツアーへの意気込みも語ってくれているので、ぜひご覧いただきたい。
◆改めて自分の歌を見つめ直したときに
小室さんの歌を歌ってみたいなと思うようになりました
――9年ぶりとなるオリジナルシングルであり、小室哲哉さんとの16年半ぶりのタッグ曲「はじまりのうたが聴こえる」がついにリリースとなります。今回、小室さんに作曲をお願いしたのには、どのような経緯があったのでしょうか。
華原:デビュー20周年イヤーということや9年ぶりのオリジナルシングルということもあるんですが、復帰後に発表したカバーアルバム『MEMORIES』シリーズを経て、やっぱり私の声というのは、小室さんが作曲した音楽にすごく合っているんだなっていうのを実感しました。
――カバー曲を歌ってきたうえで改めて気づいたことですか?
華原:そうですね。『MEMORIES』ではいろんな名曲をカバーさせていただいて、たくさん勉強をさせてもらったんですね。そこで改めて自分の歌を見つめ直したときに、小室さんの歌を歌ってみたいなと思うようになりました。あとは『FNS歌謡祭』とかでコラボをする機会があって、またさらにその思いが増してきたところもありますね。
――ボーカリストとして、今、小室さんが作曲された歌を歌ったらどうなんだろう、と。
華原:もちろんそれもありました。
――歌詞よりも先に楽曲が届いたのでしょうか?
華原:そうですね。2014年のクリスマスに楽曲が届きました。
◆やっぱり私の声のクセを
わかってらっしゃるなと思いました
――楽曲について、小室さんとのやりとりはありましたか?
華原:編曲は武部聡志(華原朋美復帰後の音楽監督を担当)さんがやってくださったんですけど、楽曲がアレンジされていくなかで、何度かお話しをしたことがありました。
▲ニューシングル「はじまりのうたが聴こえる」初回盤
――楽曲は壮大なメロディーの中から力強さや優しさが伝わってきます。初めてこの曲を聴いたときは、どのようなことを感じましたか?
華原:やっぱり私の声のクセをわかってらっしゃるなと思いました。キーが高いだけだったら聴いている人が気持ちよく聴けないところがあるので、そういうところもきちんとうまく調整して作っていただいたなと。小室さんに作曲してもらうのを楽しみにしていたので、とてもうれしかったですね。
ーー今回、華原さん自身が作詞することもあらかじめ決めていたんですか?
華原:最初、私は小室さんに作詞作曲をしていただくことを望んでいたのですが、周りのスタッフから“過去の出来事を振り返って、今書けることがたくさんあるんじゃない?”というアドバイスをもらって、“あ、そうだな”って。
◆自分を変えたくて、一生懸命頑張っているとき
そんなときに聴いてもらいたいですね
――それで歌詞を書き始めたんですね。
華原:書き始めのころはまったくどんなことを書こうか想像がつかなくて、書いていくうちにこれまでの人生の出来事を辿っていくようになっていったんですね。自分が生まれたところから辿って、昔を思い出したり、“今どうしてここにいられるんだろう”、とか、“その苦しみはどういうカタチで旅立っていくんだろう”とか。
▲ニューシングル「はじまりのうたが聴こえる」通常盤
――書いていくうちに歌詞のテーマが生まれていったと。
華原:つらい思い出とか、楽しい思い出とかをすべて書き出していくうちに、旅立つことが結果良かった、その後の自分を元気にさせてくれた。そう改めて思ったんです。さらにそこから希望を持てるようにもなった。私はまだ100%元気とは言い切れないのですが……日常の中には不安も伴うわけで、みんなその中でも頑張って生きていると思うんです。だから私自身、経験してきて思ったことを歌詞に書いて歌で伝えていくことが絶対必要なんじゃないかなと思って。つらいとき、痛みを感じたときにとどまることも時と場合によっては大切だと思うのですが、そこから脱出すること、旅立つことも大切だと思うんですね。誰でもあると思いますが、自分を変えたくて、どうにかしたいと一生懸命頑張っているとき、そんなときにこの曲を聴いてもらいたいですね。
――つらい経験を持っている人にはとても響くものだと思うし、華原さんが歌うことですごくリアルであり、説得力があります。
華原:リアルさについてはかなり追求しているので。あと、歌詞を書いているうちに、“感謝”という言葉が出てきたんですよ。すべての経験があったからこそ、苦しみを味わった分だけ、人に優しくなれた。これまでのつらさ、苦しみが報われたと思うんです。自分自身がきちんと過去を振り返ることも、これまでは出来なかったことなんですね。でも今は出来た。だからすべての経験に感謝だなって。なかなか感謝できない時期のほうが長かったので、よかったなと思いました。
◆ステージに立って歌ったときに
自然と笑顔で歌えたんです
――旅たち、始まり、そして感謝というテーマがあることから、恋愛のことだけじゃなくて、家族や友達など、大切な人を想って聴くこともできますね。
華原:そうですね。私が歌うと恋愛だけがテーマに思われがちなんですが、私も恋愛がすべてというわけではなかった。恋とか愛とかだけの苦しみだけでここまで来たわけじゃないので。歌があって、いろんな人たちとの素晴らしい出会いがあってここまで来れた。そういうこともきちんと書かなくてはいけないなと思いました。また、5月20日リリースなので、旅立ちや別れがある、新学期の季節にもちなんで作りました。
――そんな歌詞に沿ってミュージックビデオでは切ない表情もありながら、清々しい表情も見せていますね。
華原:この間、テレビの収録で初めてこの曲を歌ったんですね。この歌は苦しみの中でもがいていて、そして最後には旅立ち、はじまりへの決意や感謝へとつながっていくのですが、“あなたがいなくても 歩けるよ“っていうフレーズは、笑顔で歌えるのかな?とか、歌うときは笑顔じゃないんだろうなって思っていたんですね。あまりにも壮絶なことを書いているので。でもステージに立って歌ったときに、自然と笑顔で歌えたんです。それで、“ああ、この歌は私の本当の話なんだ”って思いました。私もこれを歌うことで発見や確信することがあったんです。レコーディングのときは笑っていなかったのですが、ステージに立って歌ったら、笑顔になっていて、自分でもびっくりしましたけどね(笑)。
――すごく素敵なお話です。今後も歌詞で書き綴りたいことなどはあったりするんでしょうか。
華原:先ほども言いましたが、真実を追求していきたい、リアルを伝えていきたいというのが私のスタイルなので、そこが見つかったら曲がなくても書き留めておきたいです。
◆インタビュー(2)へ
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