【インタビュー】激情★めたりっちぇ「ロリ声とデスヴォイスでメタルフェス<ヴァッケン>にいつかは出てみたい」
ヘヴィメタルを基調にしたアグレッシブなサウンドとデス・ヴォイスやシャウトをフィーチュアしつつ、ロリ声を採り入れた独創的な音楽性やハイレベルなプレイ、アイドルのようなキュートなヴィジュアルなどが話題を呼んでいる激情★めたりっちぇ。キャラクター面で語られることの多いバンドだが、企画色の強い“作られたユニット”ではなく、自分達がカッコ良い、面白いと思う音楽をナチュラルなスタンスで提示していることに注目したいガールズ・バンドだ。結成から2年ほどでメジャー・デビューを果たした激情★めたりっちぇの素顔に迫るべく、西野みがき(Vo)と立松みどり(G)の2人に話を聞いた。
◆激情★めたりっちぇ~画像&映像~
■梅田まで走って迎えに行ってみがきと初めて会ったときは
■AKB48みたいな恰好をしているから一発で分かった(笑)
――激情★めたりっちぇは、どんな風に誕生したのでしょう?
立松みどり(以下、みどり):激情★めたりっちぇにコンポーザーとして関わっているヨシングヴェイ・マサムスティーン(以下、ヨシングヴェイ)という人がいるんですけど、彼は私が通っていた音楽学校の同期だったんです。ヨシングヴェイはガールズバンドが好きで、ガールズバンドをやりたいけど、自分は女の子じゃないからと(笑)。僕が楽曲を提供するからガールズバンドをやりなよと私に言ってきたんです。ヨシングヴェイが形にしたい音楽が、ちょうど私がやりたい方向性だったので、やろうやろうといって。それで、学校のツテを使ってメンバーを探し始めて、みがきとつばさ(Dr)と出会って、2013年に激情★めたりっちぇを結成しました。
西野みがき(以下、みがき):私は、みどりに誘われるまで、ちゃんとしたバンドはやったことがなかったんです。誘われた時は女子高生で、一応友達とバンドを組んではいたけど、全然ちゃんと活動できていなくて。月に1回スタジオに入ったらそれで終わり…みたいな。ライブもしたことがなくて、本当に趣味以下の趣味みたいな感じだったんです(笑)。そんなバンドなのに、ボーカルをやるならボイトレに行けとメンバーに言われて……。
みどり:えっ? ボイトレ、メンバーに言われて行ってたの?
みがき:うん。ボイトレに行っていたら、そこでたまたま声をかけてもらって。ちゃんとバンドをしてみたいなと思っていたところだったので、即“やります”と言いました。それで、どんなバンドですかと聞いたら、オリジナルをやりますと。“オリジナルやべぇ…”みたいな(笑)。“私の曲…”みたいな(笑)。それで超テンションが上がったけど、私はそれまでメタルは聴いたことがなかったんです。ヤバいですよね。しかも、初めてのスタジオに遅刻したという(笑)。
みどり:そう! 私、梅田まで走って迎えに行きましたから。みがきとはその時初めて会ったんですけど、AKB48みたいな恰好をしているから一発で分かって(笑)。“あっ、絶対この娘だ!”と思いました。
みがき:めっちゃオタクだったんです、私。っていうか、今でもオタクですけど。そうやって、みどりと初めて会ってスタジオに行ったら、いきなりデス・ヴォイス出してと言われて。
みどり:できるわけないですよね(笑)。それで、デス・ヴォイスは私とつばさでやっていて……。
みがき:太い声で、メッチャ怒鳴ってて、この人達は、どこの国から来たんだろうと思いました(笑)。そんな風に、なにも分からない状態で始まったけど、やっていくうちにメタルの魅力が分かっていって、バンドを楽しめるようになったんです。
――メタルはハマると抜けられない魅力がありますよね。それぞれの音楽的なバックボーンや、好きなアーティストなども話してもらえますか。
みどり:私は、メタル寄りのヴィジュアル系を聴いてロックに目覚めて、ギターを弾くようになりました。ヴィジュアル系から入って、どんどん激しい方に寄っていきましたね。自分が好きなギタリストのルーツを辿っていって、洋楽のメタルだったり、ジャパメタに行き着いて、すごくカッコ良いなと思いました。プレイ面で影響を受けたのはLEDA(ex.DELUHI/Far East Dizain)さんとか、Syu(Galneryus/SPINALCORD)さんです。私はテクニカルなプレイも好きですけど、泣きのギターを極めたいと思っていて。そういうところで、彼らのギターはすごく好きですし、自分もニュアンスを大事にしたギターを弾きたいと思っています。
みがき:私は元々歌うことが好きで、リスナーとしてはかなり雑食でしたね。いろんな音楽を聴いていて、激情★めたりっちぇに加入した頃はAcid Black Cherryのyasuさんの歌がすごく好きでした。Acid Black Cherryは、わりとヘヴィだから、メタルにもすぐに馴染めたんじゃないかなと思います。今はマキシマム ザ ホルモンがすごく好きです。最初に知った時はインパクトの強さに、“なんだ、この人達は?”と思ったけど、すごくカッコ良くて、大好きになりました。
――激情★めたりっちぇがアグレッシブかつエモーショナルな理由は、バックグランドからもうかがえます。メタリックな楽曲にロリ声を採り入れた独特のスタイルは、どんな風に生まれたのでしょう?
みがき:私はオタクなので、日本橋とか秋葉原とかの萌え萌えな文化がすごく好きなんです。このバンドを組んだ頃も、普通にメタルを聴くし、アニソンとかも聴くという感じで、両方を混ぜたら面白いんじゃないかなと思ったんです。
みどり:元々みんなでカラオケに行ったりした時に、みがきはアニソンを歌ったり、ロリ声で喋ったりしてて。バンドというのは、フロントマンが一番引き立つ形にするのが正解ですよね。みがきは普段からAKB48みたいな恰好をしているし、ロリ声とかも似合うから、そういう面を活かすのは良いんじゃないかということになったんです。ロリ声なら高い声も出るというのもあったし。そういう感じで、別に奇をてらったりしたわけではなくて、自然とやるようになりました。
――ヨシングヴェイさんやプロデューサーなどの発案ではなくて、メンバー自身から出て来たアイディアなんですね?
みどり:そうです。私達はやりたいと思ったことをやらせてもらっていて、誰かに何かを強制されたりということは一切なくて。ボーカルがみがきだったから…というのが大きいですね。もしボーカルが私みたいなタイプだったら、ギラつこうぜということになったと思うけど、こういう子だったので。
みがき:私は、“萌え萌え服”とかが超好きなんです。だから、私達にとってはすごく自然なことだったけど、周りの皆さんが個性になっているとか、面白いねとか言ってくれて。みどりとつばさ、私の3人で良い化学反応が起きたんだと思います。
――“やらされてる感”がないことが魅力になっています。それに、メタリックな爆音の中でロリ声は聴こえるというのは盲点でした。
みどり:これが、聴こえるんです(笑)。
みがき:ロリ声は、逆に“キン!”と出ますね。鼻に抜いて声を出しているので、声が通るんです。
みどり:3人でロリ声を出している曲とかも、ありますからね(笑)。
みがき:ある! バンドをやっていくうちに、全員出せるんじゃないかなと思って。
みどり:“ええっ? マジかよ!”とか言いながら、私もやるようになりました。誰やねん、おまえ…っていう(笑)。
――染まったんですね(笑)。では、メジャー・デビュー・アルバム『あっぷぐれーど(仮)』は、どんなテーマのもとに作られた作品でしょう?
みどり:いわゆるコンセプトみたいなものはなくて。激情★めたりっちぇはいろんな曲をやっているので、それを1枚にギュッと凝縮しようと。それが、テーマといえば、テーマでしたね。『あっぷぐれーど(仮)』に入っている曲はどれも気に入っていますけど、特に思い入れが強いのは「境界線」というバラードです。この曲は、自分が骨格を持っていったんです。最初に素材をバンドに持っていって、この曲で表現したいことをみんなに伝えました。大事な人に裏切られると傷つきますよね。それで、仕返ししたいと思うけど、仕返ししたところで虚無感が消え去るわけではなくて、空虚さが連鎖していくだけという。そういう空虚さを表現したかった。そこから入っていって、曲作りも、アレンジも、ギター録りもいろんなことを試しながら形にしていきました。そういうところで思い入れが強いし、激情★めたりっちぇ初のメタル・バラードということもあって、ぜひ聴いて欲しいです。
みがき:私は、「Monday Syndrome」が好きです。この曲は、タイトル通り“月曜日は嫌だ”ということを歌っていて。日曜日の夕方になってね、「サザエさん」を見ているくらいの時間になると、“明日メッチャ嫌”ってなるんですよ。また週明けか…と思った時に書いた曲で、ある意味自分への応援歌ですけど、みんなに月曜日からまた頑張ろうという気持ちになって欲しいという想いを込めて書きました。なので、この曲はぜひ日曜日の7時くらいに聴いて欲しいです。
――「Monday Syndrome」もそうですが、リスナーの背中を押す歌詞が多いですね。
みどり:歌詞は結構つばさが書いていて、歌詞を書く時に、そういうことを意識すると言っています。あとは、今回はそうでもないけど、怒りとか、戦いとかをテーマにした歌詞も多いですね。ただ、そういう歌詞もネガティブなものはあまりなくて、聴いてくれた人の気持ちを上げるものが多くなっています。
――そこもポピュラリティに繋がっています。『あっぷぐれーど(仮)』はメタリック&メロディアスなナンバーを核としつつ、エモーショナルな「世界「観」」やメロコアっぽい「激情協奏曲第五番核長調「謝罪」」なども収録されています。
みどり:「世界「観」」は、このバンドを結成した当初に作った2曲のうちの1曲です。こういうテイストのものも最初からやっていたんですよ。今回録るにあたってリ・アレンジしましたけど、自分達の中では“激情★めたりっちぇの伝統の継承”という感覚があって。こういうエモーショナルなものも、どんどん追究していきたいと思っています。
みがき:「世界「観」」は、爽やかですよね。このバンドを始めて、まだメタルが分からない状態で、この曲を渡された時は安心しました。“私は、まだ生きていける!”みたいな(笑)。「激情協奏曲第五番核長調「謝罪」」も、すごく好きです。アッパーな曲調が良いし、もう延々“ごめんなさい、ごめんなさい”と謝ってる歌詞も良いし(笑)。それに、この曲はつばさが初めてメイン・ボーカルを取っていて、私は完全にロリ声と、デス声と、シャウト担当なんですよ。そういうところも楽しんでもらえればと思います。
みどり:この曲のギターは、たぶん激情★めたりっちぇの中でも一番刻み倒していますね。BPM=190とかでタイトに刻むということでちょっと大変ですけど、弾いていると気持ちが上がるので、この曲も大好きです。
◆インタビュー(2)へ