【インタビュー】世界的ジャズメン、ジョバンニ・ミラバッシがジブリ・アニメに傾倒する理由。「日本アニメの人気を、おそらく日本人が一番認識していない。」
『Animessi』は全10曲が収録され、スタジオジブリ関係は6曲。それらのうち『天空の城ラピュタ』からの「君をのせて」、『ハウルの動く城』からの「人生のメリーゴーランド」、『風立ちぬ』からの「旅路(夢中飛行)」、『風の谷のナウシカ』からの「風の伝説」の4曲が久石譲の作曲だ。ミラバッシは、作曲家・久石譲の魅力をどのように感じているのだろうか。
甘美なメロディを紡ぎ出すピアニストは、その一方で社会的・政治的な自分の意見を率直に発言する一面を持っている。ところで『Animessi』は、ローラン・ヴェルネレイ(Ba)+ピエール・フランソワ・デュフォー(Dr)とのトリオ作だが、『カウボーイ・ビバップ』『ルパン三世 カリオストロの城』『ホーホケキョとなりの山田くん』等を含めて、おそらく初めて日本のアニメ曲をレコーディングするにあたって、共演者に戸惑いのようなものはなかったのだろうか。
「この新作に限らないことですが、その都度共演者にアルバム・コンセプトは説明しません。というのも、曲が美しくて楽しければ、何も説明する必要はない。演奏する理由としてはそれだけで十分だと考えているからです。ビル・エヴァンスやマイルス・デイヴィスがディズニー・アニメの「いつか王子様が」をカバーした好例があるように、ジャズメンにとって同時代のアニメ音楽は魅力的な素材なのです。ちなみにピエールには二人の子供がいて、以前からアニメには親しんでいます。このアルバムを作ったおかげで、娘の学校でアニメ曲集のコンサートを行いました。ぼくは子供たちの間で英雄になっているんですよ」
5年以内に『Animessi』の第2弾を制作する準備はできている、と意欲的に語ったミラバッシは、インタビューの最後に秘話を明かしてくれた。
このインタビューの後日、3月13日の武蔵野スイングホール公演に、宮崎監督と、『Animessi』収録曲であり『紅の豚』の主題歌「さくらんぼの実る頃」を歌った加藤登紀子が来場。お二人とミラバッシ・トリオの記念写真、および宮崎監督からの御祝の献花の写真が現在、ミラバッシのFacebookページにアップされている。
取材・文◎杉田宏樹
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(『アニメッシ~天空の城ラピュタ ほか~』)
2015年1月21日発売
COCB-54140 ¥2,500 + 税
<収録曲>
1.君をのせて(『天空の城ラピュタ』より)
作曲:久石 譲
2.人生のメリーゴーランド(『ハウルの動く城』より)
作曲:久石 譲
3.クラッチ(『カウボーイ・ビバップ』より)
作曲:菅野よう子
4.炎のたからもの(『ルパン三世 カリオストロの城』より)
作曲:大野雄二
5.旅路(夢中飛行)(『風立ちぬ』より)
作曲:久石 譲
6.愉快な音楽Ⅰ~Ⅴ(『ホーホケキョとなりの山田くん』より)
作曲:矢野顕子
7.風の伝説(『風の谷のナウシカ』より)
作曲:久石 譲
8.グラヴィティ(『ウルフズ・レイン』より)
作曲:菅野よう子
9.銀色の髪のアギトBGM(『銀色の髪のアギト』より)
作曲:岩崎 琢
10.さくらんぼの実る頃(『紅の豚』より)
作曲:Antoine Aime Renard
<メンバー>
ジョバンニ・ミラバッシ(ピアノ) Giovanni Mirabassi
ローラン・ヴェルネレイ(ベース) Laurent Vernerey
ピエール・フランソワ・デュフォー(ドラムス) Pierre-Francois Dufour