【ライブレポート】the HIATUS、「痛かろうが辛かろうが、前向いて笑ってくぜ」

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the HIATUSが12月22日、日本武道館でワンマンライブ<Closing Night - Keeper Of The Flame Tour 2014 ->を開催した。

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この日を指折り数えて待っていた。「Keeper Of The Flame Tour 2014」の新木場STUDIO COAST公演(7月23日)で、細美武士(Vo/G)の口から日本武道館で追加公演を行うと耳にした時の衝撃は鮮烈に覚えている。昨日のことのようだ。そして、いざ武道館に足を運んでも、どんなライヴが展開されるのか全く予想が付かなかった。しかし、蓋を開けてみれば、the HIATUSと武道館のあまりの相性の良さに驚いた。

19時2分に暗転すると、スタンディングのアリーナは一気に観客が蠢き、ステージを覆う薄い白幕にはLEDの神秘的な照明が浮かび上がる。すると、その白幕越しにうっすらメンバーの姿が確認でき、細美の伸びやかな歌声が武道館いっぱいに広がる。「Roller Coaster Ride Memories」で火蓋を切ると、演奏中に白幕を下ろされる劇的な演出で1曲目から耳目は釘付けだ。

「The Ivy」に入ると、力強い歌声と息の合ったアンサンブルが2階席の奥にいる観客まで鷲掴みにする凄まじいエネルギーを放出している。その熱量を「The Flare」でさらに高め、アリーナでクラウドサーフに興じる観客の姿が目に飛び込んできた。ウエノコウジ(B)が左斜めに構えたポーズからうねるベース音で始まる「Centipede」、爆音ビートで畳み掛ける「Monkeys」と躍動感漲るサウンドでバンドは加速度を上げていく。

「お前らの笑顔を見てんのが一番好き」と細美は零していたが、スクリーンに何度と映し出される彼の容姿は序盤の時点で既に汗びっしょり、眼光は星のようにキラキラ輝いていた。そう、細美自身こそが群を抜く飛びっきりの笑顔を浮かべていたのだ。以降もステージと観客で至福の瞬間をキャッチボールし、その歓喜がみるみる膨れ上がり、スパイラル状に興奮は上昇するばかり。

中盤の「Bittersweet/Hatching Mayflies」以降、細美はアコギに持ち替えて演奏する曲も増え、繊細なメロディと壮大なドラマ性を秘めた演奏は音粒が埋もれることなく、武道館に四隅までしっかり響かせていた。その後、手話通訳の女性を招き、「Horse Riding」を披露。女性の手の動きを眺めていると、一つの踊りのように見え、すっかり魅了されてしまった。そして、「この2曲のためにロスから14時間かけて来てくれた」という紹介と共に、Jamie Blake(Vo)が登場。「Tales Of Sorrow Street」、「Souls」における見事な歌の掛け合いは絶品で、the HIATUSならではのステージングに激しく感動した。

後半戦に突入すると、ループするフレーズが心地いい「Thirst」、スペーシーな浮遊感を漂わせた「Unhurt」をプレイ。細美は途中でシンセを操りつつ、ハンドマイクで軽やかにステップを踏みながら歌に魂を込めていく。その姿はシャドーボクシングするボクサーのようだ。あるいは、まるで走りながら歌っているようにも見える。自らの音楽に精神と肉体のすべてを投げ打つようなパフォーマンスは、観ているこちらも心の底から熱いものが込み上げてくる。

本編を締め括る「Insomnia」、「紺碧の夜に」、「Ghost In The Rain」では武道館の二階席が揺れるほどの熱狂が渦巻き、大合唱が轟いた。Wアンコールを含め、計23曲約2時間に及ぶライヴはあっという間に終了。

「エルレ(ELLEGARDEN)が休止して、このメンバーに出会えて、震災があって、いろんな人に出会えた。ピンチはチャンスに変えるしか使い道がねえ。俺たちみたいな馬鹿が深刻な顔してたって、ほんとに何にもならねえよ。痛かろうが、辛かろうが、前向いて笑ってくぜ」とアンコール時に語りかける細美のMCが印象的だった。

masasucks(G)、ウエノ、伊澤一葉(Key)、柏倉隆史(Dr)、細美の5人による一糸乱れぬサウンド・スケープが武道館という舞台で激越かつ悠然と舞い、多くの観客から吹き零れんばかりの笑顔を引き出していた。その事実がすべてを物語っている。これほど尖鋭的なロックが痛快に鳴り響いた日を一生忘れない。5年後、10年後でもいい。またこの場所でthe HIATUSのライヴを観てみたいと心底思った。

取材・文◎荒金良介

■<Closing Night - Keeper Of The Flame Tour 2014 ->
2014年12月22日@日本武道館セットリスト
01.Roller Coaster Ride Memories
02.The Ivy
03.The Flare
04.My Own Worst Enemy
05.Storm Racers
06.Centipede
07.Monkeys
08.Deerhounds
09.Bittersweet / Hatching Mayflies
10.Superblock
11.Horse Riding
12.Tales Of Sorrow Street
13.Souls
14.Thirst
15.Unhurt
16.Lone Train Running
17.Something Ever After
18.Insomnia
19.紺碧の夜に
20.Ghost In The Rain
encore
21. Twisted Maple Trees
22. Silver Birch
w.encore
23. Waiting For The Sun

◆the HIATUS オフィシャルサイト
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