【ライブレポート】tofubeatsと森高千里による、誰もが終わらないでと願ったスペシャルパーティー
12月17日に一夜限定で、tofubeatsと森高千里が<Don’t Stop The Music “First Album” Special Night@WOMB>を開催した。
◆<Don’t Stop The Music “First Album” Special Night@WOMB>ライブ写真
この夏に話題を呼んだ異色コラボが、この夜帰ってきた。両者は、tofubeatsがメジャーデビュー曲「Don’t stop the music」で森高千里をゲストボーカルに招き、共に<SUMMER SONIC 2014>にも出演した間柄だ。急遽、tofubeatsの全国ツアーファイナルのスペシャル編として開催されることが決定したライブである。一部と二部の入れ替え制の公演だったため、それぞれ正味1時間程度のパフォーマンスだったが、お腹いっぱい、とても満足度の高い体験をした。それは、このライブの“豪華さ”や“異色さ”によるところ以上に、時に音楽はあらゆることをひとつにしてしまう、という音楽の魔法のひとつをダイレクトに感じてしまったからだ。
会場にはラフな格好の若者も多いが、仕事帰りのおじさまらしき方々も詰めかけている。tofubeatsと森高千里のファンが半分くらいずつ駆けつけていただろうか、そのブレンド感によってWOMBにはちょっと只ならぬ高揚感が漂う。歓声に迎えられたtofubeatsが「No.1」をプレイし、少しずつ確実にフロアを揺らしていく。日本列島を寒波が襲っていたこの日、この場所ではみんなの期待と熱気でみるみるうちにヒートアップしていく。
いよいよ、森高千里が登場。それまではビデオ映像が映し出されていた大きなビジョンに、サマソニの時よりグレードアップしたギャラクシーな衣装に身を包んだ姿が現れるやいなや、「かわいいー!!」と女性の歓声が、「ぅおー!!」と男性のどよめきが沸き起こる。まずは“手をたたこう”で会場のハンドクラップを誘うと、すぐさまこの空間は一体化。ハンドマイクに持ち替えた“気分爽快”では、もれなく誰もが体を揺らした。
tofubeatsいわく、「渋谷のこんなところ」に森高千里がいる。そして、森高千里の楽曲がこれほど新しく、そして「人を楽しくさせる」という機能を果たしている素晴らしいダンスミュージックに変身を遂げている。そのことに驚きと幸せを感じながら、ライブはどんどん進んでいく。だからとても楽しいのに、でもそれがとても寂しい。なんて贅沢なことだろう。
ミラーボールが照明に反射したロマンティックな空間が一層夢を見させてくれた「ディスコの神様」、歌い終わると森高千里が深々と頭を下げたからオーディエンスもこの曲がいかに長年愛されているかを再確認した屈指のポップチューン「私がオバさんになっても2014」。さらに、「一番盛り上がる曲です」とtofubeatsがあおって始まった「ストレス」では、EDM全開の躍動的なバキバキのアレンジと、カオティックな模様が飛び交うVJによって、凄い覚醒感もたらした。森高千里という、もはやアイコン化されている指折りのポップシンガーと、音楽に対する豊かで鋭い着眼点を持つtofubeatsという音の職人が、目の前のステージで凄まじく実力を発揮している。
「この時間が終わるのが名残惜しい」誰もがそう思い始めていた頃、「水星」を披露し、そこから一路大団円へ向かっていった。楽しい時間が終わっていく寂しさを吹き飛ばそうとするように、WOMBにはハンドクラップが一層強く鳴り響く。その頃になると、森高千里の曲が持つアッパーなバイブレーションと、基本的に“終わり”や“達観”を内包するtofubeatsの叙情的なダンスミュージックの融合は、ライブで目の当たりにするととてもアンビバレンツな感情を持たせるということにも気づく。
そして、「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」へ。元々ボコーダーボイスというのは神秘的な音がするものだが、このタイミングのtofubeatsのボコーダーボイスはとても効いてきて、非常にセンチメンタルな気分にさせた。だがその一方で、この曲の太い四つ打ちのビートは、みんなの気持ちをまんべんなく盛り上げるのだった。その瞬間は、「切ない願いも音楽の中なら叶う、現実では叶わないから音楽の中では願っていよう」という特別な強い気持ちを抱かせてくれた。
ラスト、「Don't Stop The Music」が始まる。きっとみんな、森高千里とtofubeatsの異色コラボレーションが巻き起こっていることや、すぐ目の前であの森高千里が歌っているという感激といった印象論を飛び越えた境地を迎えていたと思う。とって代わって、優れたポップミュージックを全員が楽しんでいるという、音楽のシンプルな魅力を感じる次元に辿り着いていたのではないか。私はそうだ。この曲は、先行する話題性に負けない、詰まり過ぎているほど身の詰まったこの素敵なパーティーを見事に締めくった。
このライブの模様は、2015年3月に『tofubeats with 森高千里 at WOMB LIVE Special Program』としてWOWOWにて放映されることが決まっている。急遽開催がアナウンスされたこの公演を見逃した人も、実際に体験した人も、チェックしてみて欲しい。さらに、同イベントの開催を記念し、ライブでパフォーマンスされた楽曲をレコーディングした『森高豆腐』がiTunesにて発売されている。森高千里がこの配信のために歌った楽曲の数々を、tofubeatsによるDJ MIXで繋いだ1曲約45分にわたるスペシャルな内容だ。
text by:RYOKO SAKAI/photo by:三浦憲治
2014.12.17 WED@渋谷WOMB
tofubeats with 森高千里
<Don’t Stop The Music “First Album” Special Night@WOMB>SET LIST
M1.No1.
M2.No1.remix
M3.framed moments
M4.untitled
M5.手をたたこう (tofubeats edit)
M6.ララサンシャイン (tofubeats edit)
M7.気分爽快 (tofubeats remix)
M8.勉強の唄 (tofubeats MAJI-BENKYO remix)
M9.ディスコの神様
M10.私がオバサンになっても2014
M11.ストレス (tofubeats remix)
M12.ジン ジン ジングルベル (tofubeats remix)
M13.水星
M14.朝が来るまで終わる事の無いダンスを
M15.Don't Stop The Music
¥1,800
URL https://itunes.apple.com/jp/album/id948635245?at=10l6Y8
収録楽曲:LIVE SET FOR 20141217
手をたたこう(tofubeats edit)
ララサンシャイン(tofubeats edit)
気分爽快(tofubeats remix)
勉強のうた(tofubeats MAJI-BENKYO remix)
ディスコの神様
私がオバさんになっても2014
ストレス(tofubeats remix)
ジン ジン ジングルベル(tofubeats remix)
水星
朝が来るまで終わることのないダンスを
Don't stop the music
この記事の関連情報
tofubeats、自身最大規模の単独公演開催決定
岸谷香、恒例<岸谷香感謝祭2025>ゲストに、森高千里、渡瀬マキ(LINDBERG)参加決定
森高千里、アクスタ付きのライブ映像作品登場
【速レポ】<LuckyFes'24>森高千里、老若男女をトリコにしたハッピーなステージ「楽しかったでーす!」
tofubeats、新作のボーカルはすべてAIで制作
<LuckyFes’24>第1弾で石井竜也with杏里、MWAM、水カン、金爆、森高千里、すりぃら
tofubeats、二子玉川ライズのクリスマスイルミネーション楽曲「Lights」配信リリース
tofubeats、メジャーデビュー10周年記念ライブ開催決定
tofubeats、ドラマ『わたしの一番最悪なともだち』の主題歌として書き下ろした楽曲配信リリース