【ライブレポート】女王蜂×N’夙川BOYS、「結婚式に出たことがないのでリハーサルを」
2014年6月に渋谷WWWで行ったドレスコーズとのライブに続いて、女王蜂による恒例の対バン企画<お見合い合戦一騎討ち>が11月26日、代官山UNITにて開催された。今回は女王蜂にとって神戸時代より特に親交が深く、これまで何度も対バンしてきている盟友、N’夙川BOYSを迎えての2マンライヴ、そのタイトルも<お見合い合戦一騎討ち~友情披露宴~>となる。この日のドレスコードは”結婚披露宴後に開催される、貴方なりの二次会の装い”だ。
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「実は2マンは初めて。激レアなステージをお楽しみください!」
事前発表されたコラボヴィジュアル同様の結婚式をイメージしたド派手なタキシードとドレス衣装に身を包んだマーヤLOVE、リンダdada、シンノスケboysが登場。マーヤが「友情披露宴いきますかー!」と満員の客を煽るとフロアは大いに湧き上がる。「SON OF A GUN」「プラネットマジック」と立て続けに飛ばしまくり、リンダとマーヤの掛け合いにロックンロール・ショーはエンジン全開だ。会場は早くも興奮の坩堝と化していく。
ニューアルバム『Do You Like Rock'n Roll!?』発売日となったこの日、マーヤは「この衣装もレア、そしてズタズタの状態で披露される新曲たち、楽しんでくださいね」と同アルバムからロックンロールでポップな新曲「BANDがしたい!」「悪魔のPOP」を披露、3人の息のあったパフォーマンスにさらにフロアのテンションが上がっていく。
「ドラムが2曲続くと凄いな(笑)。ありがとう。今日はいろいろ発見できる日だ。ドラムはすげえ! ルリちゃんはすげえ! えぐいドラマーに成長してます」と兄のような父のような目線で女王蜂への想いを語るマーヤ。「どんどん喋っちゃいそうだよ。このまま3時間くらい。ヤバイこといいそうだったらアヴちゃんいつでも入ってとめてください」。そしてここで今宵限りのサプライズがマーヤの口からインフォメーションされる。
「今日は女王蜂の曲をカヴァーします。真夜中に電話でアヴちゃんと今日の相談をしていて。あ、年下でマーヤちゃんと呼ぶのを許してるのは女王蜂だけです」と、このイベントの内容を2人で話し合ったことを明かし、「2曲やるんだけど、まず2曲目のほうが神戸にいた頃から既に演っていた曲で「燃える海」。そしてもう1曲は俺らが女王蜂を初めて観たときにやっていた曲。カヴァーなんだけど、俺にとって、これは彼女たちの曲です」と言うと、女王蜂が神戸で活動した頃演奏していた、あの宮崎駿が監督するアニメーション映画『もののけ姫』のテーマをマーヤがファルセットで歌い上げる。続けて女王蜂の珠玉のバラード「燃える海」をリンダ、そしてマーヤのボーカルが会場をしっとりとさせた。「本当にいい曲だなと。こんな曲が書ける若者がいるのかと当時びっくりした。思い出も一緒に蘇ってきた。今さらだけど改めて、復活本当におめでとうございます。待ってたぜ女王蜂!」と叫んだマーヤ。
リンダが「<友情披露宴>にお集まりのあなたたちに、女王蜂に捧げる曲、いきまっせ!」と投げかけると「Candy People」をドロップ。リンダ&マーヤとフロアによるコール&レスポンスで、N’夙川ボーイズのライヴもいよいよラストスパートへ。「女王蜂と出会ったときにも歌ってました!」とキラー・チューン「物語はちと?不安定」で会場のテンションがピークに。
「出会った頃は、「ロックンロールってなんや?」ってアヴちゃんは言っていて、「マーヤちゃん見てたらロックンロールの意味わかるってことやね」って、言われたんだ。でも、俺が何にも教えないうちに、彼女たちはあっという間に素敵なロックンローラーになっていた」と感慨深そうなマーヤのMC。「友情パワーはすげえよ。仲良くなったら一生の宝物! 友情パワー、みんなで叫びましょう。友達と手を離すな!」と数々の女王蜂とのエピソードを溢れんばかりの愛をもって語り、客席に飛び込んだ。最後の曲「死神DANCE」を魂を込めて披露し、N’夙川BOYSのクレイジーでファンキーで温かいロックンロール・ショーは幕を閉じた。
大きな歓声が上がる中、間髪入れずN'夙川BOYSの「ジーザースフレンド」のカヴァーからの「鬼百合」、そしてまたN'夙川BOYSのカヴァー「Theシーン」へ。友情返し、愛情たっぷりのカヴァーだ。立て続けにアヴちゃんが背を向けて「D・I・S・C・O!」と叫び、N'夙川BOYSの「物語はちと?不安定」と共に映画『モテキ』で大フィ-チャーされた「デスコ」を披露、フロアから最高級の歓声が沸き上がり、“ジュリ扇”が客席に舞い散る白熱のディスコ・タイムへと突入する。終始笑顔のアヴちゃんは「楽しすぎてどうしよう、」と言葉を漏らし、一呼吸だけおくと新曲が演奏された。続く「イミテヰション」で代官山UNITはいつしかダンスホールへと変貌を遂げていく。
「こんばんは、女王蜂と申します。こんなに集まってくれてありがとう!」とここでアヴちゃんよりN’夙川BOYS、そして観客へ謝辞が送られる。「(N'夙川BOYSと)お付き合いをはじめて5年。もののけ姫、当時こんな感じでカヴァーしてました」と少しだけ同曲を歌い、「精霊を呼び出したことある。やしちゃんは木魚を叩いていた。ちょっとアンダーグラウンドだった頃、それからいろいろ模索していた時もいつも近くにいてくれて。念願の2マンをこんなにたくさんの人が見に来てくれて本当にありがとうございます」と2マン開催の喜びを語った。
MCから打って変わってアヴちゃんの演技とも狂気ともつかぬ独白から、無垢な小学生時代の悪夢が童謡と共に交錯する「告げ口」では、会場を支配する独特の緊張感が心地よい。「どうもありがとう。最後の曲です。ありがとうね」と、先日、衝撃の地上波生出演を果たしたNHK『あさイチ』で披露され、話題を呼んだ女王蜂珠玉の名バラード「鉄壁」へ。ギターと繊細なピアノの旋律が誘う儚くも美しい人生の無常を描く同曲は、情感溢れるアヴちゃんのエモーショナルな歌が聴くもの全ての魂を優しく包み込んでいく。客席から温かい拍手が沸き上がる中、堂々のステージが幕を閉じた。
「バブル」のイントロが鳴った瞬感、女王蜂最強のダンスチューンにオーデイエンスの導火線は発火し、会場は再び最高潮を迎える。そこへさらに、火に油を注ぐかのように“ジュリ扇”を手にしたN’夙川BOYSの3人がステージに登場し会場のテンションも爆発寸前だ。
「結婚式に出たことがないのでリハーサルをやりたいの。個人的な楽しみにおつきあいください」と祝福のフラワーシャワーをフロアに浴びせたり、アヴちゃんとマーヤでショートケーキ入刀するなど、“披露宴”タイムを楽しむと、「全然終わりたくないね」と再び仲良しエピソードを名残惜しそうに話すアヴちゃんとマーヤ。「こんなに喋れちゃうの恥ずかしい、どうしよう」と興奮さめない気持ちを抑え、「物語は“ちと”どころじゃなくいつも不安定です。出来たときにマーヤちゃんに聞かせていた、マーヤちゃんと一緒に歌いたいなと思っていたこの曲で、今日最後になります。あなたたちに会えて、N'夙川BOYSに会えて、本当に嬉しいです、ありがとう」と感謝の意を述べ、2014年2月のSHIBUYA-AXでの復活ライブで披露した新曲「緊急事態」を披露。女王蜂としては異色の軽快なパンク・チューンにマーヤもヴォーカルで色を添えて演奏が終了。
興奮冷めやらぬ中、最後に披露宴さながらにアヴちゃんが「受け取ったひとは、明日足がとっても長くきれいになります」とブーケトスをし、女王蜂、N'夙川BOYSはこの日の披露宴を締めくくった。
前述したようにN'夙川BOYSは11月26日にニューアルバム『Do You Like Rock'n Roll!?』を発売した。一方の女王蜂は演劇界の鬼才ケラリーノ・サンドロヴィッチが監督・脚本を務め、麻生久美子、坂井真紀、緒川たまきらが出演するテレビ東京系ドラマ『怪奇恋愛作戦』オープニングテーマのために新曲を書き下ろした。こちらの放送は2015年1月より。
取材・文◎薮下晃正 撮影◎Ohagi
■2マンLIVE<お見合い合戦一騎討ち「友情披露宴」>
11月26日(水)代官山UNIT
出演:女王蜂・N'夙川BOYS
OPEN/START 18:00/19:00
ドレスコード:結婚披露宴後に開催される、貴方なりの二次会の装い
◆女王蜂 オフィシャルサイト