【インタビュー】ななみ、引きこもり、いじめ経験からの音楽への道。「歌で世界中の生きて悩んでる人たちを救えたら」

◆愛なんてそんなものだって決めつけている自分もいるけども、サビでは光を求めている。
歌詞のとおり複雑に白と黒が混ざり合ってる曲だなと思います

――そんな時期を経ての今回のデビューシングル「愛が叫んでる」は、ななみさんのダイナミックでパワフルなボーカルに圧倒されたんですけど、どんなときに作った曲ですか？

ななみ：この曲を作ったのは＜Music Revolution＞の第一次審査にどの曲で出ようって思って、過去の持ち曲を家で全部練習してた時期なんですよね。どの曲もピンとこなくて、すごい悩んでいたときに、ギターを適当に弾いてたらできた曲だったんです。パッとできたというか、それこそ降りてきたみたいな感じで。歌詞もすぐに書けたんですけど、そのときの自分の心情だったと思います。結局、みんなどこかで今日も一人どこかで愛が欲しくて愛が泣いているっていう。自分がちょうどヤンキーを卒業した時だったので、一周して振り返れるようになったというか。

――ああ、18歳ぐらいの時期だったんですね。

ななみ：それまで“救ってほしい”っていうような曲が多かったんですけど、初めて客観視したような曲ができたというか。

――“「助けて」って叫んでみても　見て見ぬフリで「人間なんてそんなものだ」と決めつけた”という歌詞は、以前のななみさんのことを歌っているとも捉えられるなと。

ななみ：そう思ってたけど、違ったっていう気持ちもあるし。14歳15歳の子たちがこの歌を聴いたら、愛は恋愛のことだと思うかもしれないけど、2～3年後にまた振り返って聞いた時に家族の愛もあったんだなとか、成長とともに愛の捉え方も変わっていけばいいかなって思うんですよね。家庭を持った時に、「あ、あの歌って恋愛の歌だけじゃなかったんだな」って思ってくれるといいなと思って。私の中でも成長していく曲だと思っています。

――過去のななみさんのように苦しんでるような人もこの曲って刺さってくるんじゃないかなって気がします。

ななみ：最初はすごく孤独で深い海の底にいるような、暗くてすごく悲しいイメージなんですけど、サビで光を入れたくてメロディーだったりとかコード進行で少し明るくしたりとか。愛なんてそんなものだって決めつけている自分もいるけども、サビでは光を求めているような心情だったりとか、歌詞のとおり複雑に白と黒が混ざり合ってる曲だなって自分で思いますね。

――“どうしようもなく　一人で　愛を叫ぶ”って歌詞も出てきますが、孤独感は全編に漂っていると思います。

ななみ：でも、愛っていうものは一人では絶対成立しないものっていうのもわかっている。そういう歌ですね。

――確かに。恋愛のことにも捉えられるし、もっと大きいスケールの世界愛っていう風にも捉えられる。

ななみ：そうですね。平和だったりとか。

◆この世の中、弱いものと強いものがいるのは仕方がないことで
その中でどんな残酷なことが起きようと、誰が悪いと言えない

――あと、この曲、ロサンゼルスでレコーディングしてるんですよね。デビューから海外ってスゴイですね。

ななみ：私も「いいんですか？」。自分だけ、恵まれてるじゃないですけど、このご時世に（笑）。そんな贅沢していいのかって。だから、風邪ひけないって、すごくプレッシャーでした。時差ボケしましたけど、レコーディングになると、自然とスイッチが入って疲れも全部飛んでいったというか。とにかく洋楽で育ったので、大好きな方たちのバックでやってる人たちに会えることが、もう嬉しくて嬉しくて。レコーディングスタジオの雰囲気も違うし、アメリカの匂いだし、空気だし。

――カラッとしてる。

ななみ：カラッとしてるしボーカルも自分が大好きな洋楽の方たちと同じような声質になるし。嬉しくて嬉しくて。歌は後から正式に録音したけど、スタジオで「せーの」でみんなで録ったんですよ。6回ぐらい一緒にやったんですけど、私の歌を何度も聴く内に「このコはこの部分でこう歌うから、こういうふうに演奏しよう」ってだんだんみんな変わってくるんですよ。ほんと生ものというか。本来自分がしたかった譜面通りじゃない音楽を感じることができました。

――ちなみにどんなミュージシャンが参加してる？

ななみ：アヴリル・ラヴィーンだったりとか、ケリー・クラークソンのバックで演奏している方だったり。エンジニアの方もエアロスミスやマドンナを手がけている方だったんです。みんな、すごい方だからこそ優しかったです。私が緊張しないようにジョーク言ってくれたり。

――貴重な経験ですね。

ななみ：何十人ものバイオリンの方たちもみんなで私の歌を弾いてくれて、私主役でいいのかな？って思っちゃいました。“どうしようもなく一人で愛を叫ぶ”って歌詞を歌う時に、私もう一人じゃないんだな、って思ったんですよ。

――いい話です。

ななみ：海を越えてまでも、この曲が存在しようとしている、その生きる力がすごいなって思って。あの頃は一人だったけど、こんなに成長できたんだなってことに、改めて歌いながら気づきました。あの時一人だと思ってた自分に言ってやりたいなぐらいの気持ちになりましたね。あと、今一人だって思ってる子たちが世の中たくさんいると思うので、その子たちに、絶対将来一人じゃないからっていうのを伝えたいなと思いました。

――カップリングの「巨人のおはなし」はいつ頃の曲？

ななみ：これは去年の夏か秋ぐらい。作った当時『進撃の巨人』っていうアニメが流行っていて、原作の漫画の諫山創さんっていう方が同じ大分県出身だったので、親近感が沸いていたんですよ。『進撃の巨人』って物語的には人間が巨人に食べられていて、巨人ってひどい奴だっていう、悲しいサバイバル的な物語なんですけど、アニメを全部見て思ったことは、たしかに人間がかわいそうに見えるけど、私もちっちゃい頃は蟻の巣を潰していたなと。その時は蟻からしたら私は十分巨人だったんだって。この世の中、弱いものと強いものがいるのは仕方がないことで。その中でどんな残酷なことが起きようと、誰が悪いと言えないというか。自然の摂理というか。でも、弱いものも強いものも小さいものも大きなものも、命の重さだけは変わらないんだなって思った時に、この世の中、生きている命だけが美しいんだなと思って作った曲です。

――サウンドは民族音楽のテイストも入っていますね。

ななみ：アニメが好きなので、サントラを聞くことが多いんですけどイタリアとかポルトガルとか、あっち系の民族音楽も大好きで聴くんですね。なので、自分の曲にもそれを取り入れたいなと思って。CD一枚の中でいろんな自分を見せたかったというのもあるし。「巨人のおはなし」も「愛が叫んでる」も孤独感は共通してますね。

◆世界の中で生きて悩んでる人たちを救えたらいいなと思っています
この先、自分の知っている世界が広がっていくほど、救える人たちが増えていくと思っている

――確かに3曲、アプローチが違いますね。「揚羽蝶」は一番ボーカルがロックテイスト。

ななみ：ブラックミュージックっぽいというか。ギター一本だからこそ伝わるリズム感を出したかった曲ですね。日本の曲にはないリズムみたいな。「巨人のおはなし」「愛が叫んでる」はバラードなので、気持ちを伝えることをいちばんに歌っていますけど、「揚羽蝶」は歌が大好きってことを感じてほしくて。

――歌い方、譜割りが独特でカッコいいですよね。

ななみ：歌詞は揚羽蝶がモチーフで、女性の話なんですけど。私がヤンキーだった時に思ったことなんです。夜のお姉さんたちに、男の人たち、殿方はみんな「愛してる愛してる」と言うけど、その甘い蜜を吸ってばかりだと目が覚めた時にはすでに手遅れで、罠にかかってるのよ、っていう。ちょっと怖いというか、女性をなめるなよって感じの歌詞にしましたね。

――ギターとボーカルの呼吸感がすごいですね。

ななみ：ライブにも来たいと思ってくれるといいなと思って。

――ライブに来ればいろんなななみさんがいるわけですね。

ななみ：「愛が叫んでる」も弾き語りでやっているので。バージョンというか、全然違うものになりますね。弾き語りでやることはすごく大事なことだと思うし、一人でも表現できる。これからワンマンライブがあったとしても、最後は一人で締めたいと思ったりするし、原点は忘れたくないと思ってます。

――最後に今後の野望を語ってください。

ななみ：野望？ 目標みたいなのですか？

――そうそうそう（笑）。

ななみ：大きい会場を目標に挙げる場合もあると思うし、もちろん武道館でもライブをしたいと思っているけど、ずっと言っているのは、すごく綺麗ごとに聞こえるかもしれないですけど、世界を変えたいですね。それは世界平和とか、そういう大きな話ではなくて、先ほどお話したような自分の知っている世界の中で生きて悩んでる人たちを救えたらいいなと思っています。今21歳なんですけど、この先、自分の知っている世界がどんどん広がっていくと思うんですよ。広がっていくほど、救える人たちが増えていくと思っていて。自分が知らない世界の人たちは、無理に助けようとしても、気持ちをわかることができないから絶対綺麗ごとになっちゃうんですよね。少なくとも自分が経験している世界の人たちは救えると思っているので、今はそれが目標です。私の歌を聞いて孤独になって殻にこもったとしても、現状よりも何か変われたのならばそれはキッカケになった証拠だとも思うし。

――歌聞いて、痛いって思っても、自分の本当の気持ちに気づくかもしれないってことですよね。そこから一歩踏み出せるかもしれないし。

ななみ：はい。普通だったら相談に乗ったりとか、対一人にしかできないですけど、歌を１曲歌っただけでその会場にいる人を一気に助けられるかもしれない。今後、どんなに忙しくても、どんなプレッシャーがかかっても、それは土台に置いていきたいなと思います。

インタビュー＆文◎山本弘子



Major Debut Single
「愛が叫んでる」
2014年10月8日発売
CRCP-10327　￥1,111＋税
1.愛が叫んでる
2.巨人のおはなし
3.揚羽蝶
4.愛が叫んでる ～instrumental ver.～

＜10月8日デビューシングル『愛が叫んでる』発売記念　CD予約イベント　ミニライブ＆サイン会＞
9月20日（土）　1.TSUTAYA天神駅前福岡ビル店　2.新星堂トリアス店
9月21日（日）　1.TSUTAYA熊本三年坂店　2.オプシアミスミ鹿児島

■ライブ／イベント情報
9月19日（金）　東京渋谷Gee-ge.
9月27日（土）　長崎「KTN×FM Nagasaki『Lovefes 2014～笑顔がまってる～』」出演
9月28日（日）　福岡「MUSIC CITY TENJIN」出演
10月4日（金）　大分 テレビ大分開局45周年記念イベント
『SPARK ON LIVE』at 大分iichikoグランシアタ
10月17日（金）　大分iichiko音の泉ホール　※ワンマン
10月19日（日）　東京「音展2014」イベント出演
10月24日（金）　宮崎「FM宮崎エアポートナイトライブ」出演
10月26日（日）　東京 原宿アストロホール　※ワンマン

◆ななみ オフィシャルサイト
◆ななみ iTunes
◆ななみ レコチョク