ザ・ビートルズ、不滅のロックの古典として輝きを増す『ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>』

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2014年はザ・ビートルズが日本デビューを飾ってから50年目になる。同じく50年前にデビューを果たしたアメリカでは、グラミー賞主催の特別コンサートが2月に行われ、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターの久々の共演が実現するなど、記念の年を華やかに彩ったのは記憶に新しいところ。

◆ザ・ビートルズ~拡大画像~

では日本はどうか。おそらくポールの来日公演が記念行事のひとつになるはずだったのだが、残念ながらその夢はかなわず。その代わりに…というわけではないが、日本のザ・ビートルズ・ファンのためだけに作られた特別なボックスセットが6月25日にリリースされる。

『ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>』と題されたこのボックスに収められた作品は、全部で5枚。いずれも当時日本盤として独自に作られ、長らく廃盤となっていたものを復刻した、熱心なファンならずとも心をくすぐられるアイテムだ。

彼らが活躍していた当時、世界各国でそれぞれ独自の編集アルバムやシングルが作られていたことは、ファンならずとも周知の事実なので説明は不要だろう。その後1987年に全アルバムがCD化された際に、イギリスのオリジナル盤のみが正規のものとされ、各国制作盤はすべて廃盤となった。

のだが、2000年代に入ると風向きが変わり、アメリカ独自制作盤を集めた『The Capitol Album Vol.1』『The Capitol Album Vol.2』(邦題はそれぞれ『ザ・ビートルズ’64 BOX』『ザ・ビートルズ’65 BOX』)のリリースに続き、それらをコンプリートした『THE U.S BOX』は日本でも話題を呼んだ。今回の『ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>』もその流れの上にある作品だが、たとえばフランス盤やドイツ盤の再リリースが許可されたという話を聞いたことはないので、品質管理に厳しいザ・ビートルズ側にとって、アメリカと日本は例外中の例外なのだろう。熱心なファンが多いことはもちろん、これまでの信頼関係が生んだ日本のファンへの50年目のプレゼントと言っていいかもしれない。

 ▲<DISC 1>ビートルズ! / Meet The Beatles
 ▲<DISC 2>ビートルズNo.2 / Second Album
 ▲<DISC 3>ア・ハード・デイズ・ナイト / A HARD DAY'S NIGHT (ORIGINAL MOTION PICTURE SOUND TRACK)
 ▲<DISC 4>ビートルズ No.5 / Beatles No.5
 ▲<DISC 5>4人はアイドル / Help!
そろそろ中身を紹介しよう。DISC1は『ビートルズ!(Meet The Beatles!)』。ジャケットはアメリカでの実質的なデビューアルバムに準じたものだが、収録曲はまったく異なり、「ラヴ・ミー・ドゥー」から「抱きしめたい」までのシングル・ヒット5曲に加え、英国オリジナル『プリーズ・プリーズ・ミー』『ウィズ・ザ・ビートルズ』から「ツイスト・アンド・シャウト」「オール・マイ・ラヴィング」など人気曲を収めた、初期ベスト盤と言える最強の14曲だ。

続く『ビートルズNo.2(The Beatles Second Album)』は、初期2枚の英国オリジナル盤から、『ビートルズ!(Meet The Beatles!)』に入れられなかった残りの曲に、シングルのB面だった「サンキュー・ガール」と、当時の最新シングル「キャント・バイ・ミー・ラヴ」を合わせたもの。濃厚なロックンロールやR&Bとポップな曲が同居して、やや渋めながら勢いのある選曲だ。この2枚は、どちらもモノラルになっている。

DISC3『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!(A Hard Day’s Night)』は、英国オリジナルの『A Hard Day’s Night』と中身は同じだが、ジャケットが異なっているところがミソ。ステレオ盤だ。

DISC4『ビートルズNo.5(Beatles No.5)』は、アメリカ盤『Beatles’65』のジャケットを転用しているが、中身はまったく別もの。「アスク・ミー・ホワイ」「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」など、初期2枚の英国オリジナル盤から『ビートルズ!(Meet The Beatles!)』『ビートルズNo.2(The Beatles Second Album)』に入れられなかったさらに残りの曲に、シングル「アイ・フィール・ファイン」や、当時4曲入りEPとしてリリースされた『Long Tall Sally』の全曲、「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」のドイツ語バージョンなど、その時あった曲を全部詰め込んだ印象のアルバム。統一感はないが、初期ザ・ビートルズの音楽的幅広さを俯瞰する意味では、聴き応えがある。音はモノラルだ。

そして最後の1枚が、DISC5の『4人はアイドル(Help!)』。英国オリジナルの『Help!』と中身は同じだが、ジャケットが日本盤、US盤が見開き仕様になっている。ステレオ盤。そして今回の5枚については、すべて2009年のリマスター音源だ。ちなみに、実はこの他にも『ビートルズ’65』という邦題がつけられた、中身は英国オリジナル『Beatles For Sale』と同じ日本盤があったのだが、今回の復刻は見送られたようだ。

いずれにせよ、当時の日本のリスナーが手に取り、耳にしたそのままの形の作品が再リリースされるという歴史的な意味が、この『ミート・ザ・ビートルズ <JAPAN BOX>』の最大の特徴だと言える。加えて、品質の高さで定評のある日本制作の紙ジャケット(帯、内袋なども忠実に再現)、そして100ページに及ぶ日本語ブックレットには、高嶋弘之(ザ・ビートルズ初代ディレクター)、星加ルミ子(ミュージック・ライフ元編集長)、行方均(ザ・ビートルズ研究家)の対談が掲載され、日本デビュー当時のビートルズがもたらした衝撃について、様々な興味深いエピソードが語られている。

今回はボックスセットのみで分売はされないとのことだが、ボリュームもクオリティも、それだけの価値はある中身の濃さ。50年が過ぎてなお不滅のロックの古典として輝きを増すザ・ビートルズのヒストリーに、新しく魅力的アイテムが加わったことを歓迎しよう。

文●宮本英夫

(C)Apple Corps Ltd.

また、この『MEET THE BEATLES <JAPAN BOX>』の発売を記念して、ジャケットキャンパス画と、Tシャツを各1名にプレゼント。応募は下記のリンクからどうぞ。


『MEET THE BEATLES <JAPAN BOX>』
UICY-76429 15,120円(税込)■5CDボックス・セット
※ボックス・セットのみの発売。分売はございません。
■100ページ日本語ブックレット
■高嶋弘之(ザ・ビートルズ初代ディレクター)×星加ルミ子(ミュージック・ライフ元編集長)×行方均(ビートルズ研究家/レコード・プロデューサー)対談
■アルバム解説 / 歌詞・日本語対訳
<DISC 1>ビートルズ! / Meet The Beatles
<DISC 2>ビートルズNo.2 / Second Album
<DISC 3>ア・ハード・デイズ・ナイト / A HARD DAY'S NIGHT (ORIGINAL MOTION PICTURE SOUND TRACK)
<DISC 4>ビートルズ No.5 / Beatles No.5
<DISC 5>4人はアイドル / Help!

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