【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第1回 椎名もた編Vol.5「同世代の絵師と出会う」
音楽プロデューサー、藤井丈司による連載対談。第1回目となる10月は10月9日に2ndアルバムをリリースした椎名もた君との対談を全8回に渡ってお送りします。では椎名もた君との対談Vol.5をお届けしましょう。
◆【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第1回 椎名もた編Vol.4「プロデュース」
Vol.5「同世代の絵師と出会う」
藤井:でも14歳で、すぐマーケットに身を投じるのが、おもしろいよね。
弘石(椎名もた レコード会社&マネジメント事務所/社長):ちゃんとギャラも設定して払って。
(と、オジサン二人が話していると……)
曽根原(椎名もた A&R/マネージャー):そこからがすげえ早いんですよ。それが一連のパックみたいな雰囲気で、教育係みたいなのが、いるんですよ。友達なんだけど、こうやったらいいよ、ああやったらいいよ、みたいなね。
藤井:じゃあ、絵を描く人とか、動画を作る人にも、出会っていくんですか?
椎名:ツイッターとかがきっかけで知り合って、みたいな感じです。一緒にコラボする人たちは、個人的なこだわりとして、ファン同士であるっていう、お互いに。
藤井:原則が。
椎名:はい。それに基づいて、一緒に作ったりとか。
藤井:最初は、「誰か絵を描いてくれる人を探してます」、「動画を作ってくれる人を探してます」みたいな求人をするんですか?
椎名:求人はいちばん最初の頃しました。“ピアプロ”っていうサイトがあったので、“ピアプロコラボ”っていう、ピアプロ内でのコラボ……なんていうか、グループがあって。じゃあ僕は曲を作りますので、あなたは動画を作ってください、あなたは絵を描いてください、みたいなのがあって。
藤井:最初にそういうところで予行演習みたいなのをした後に、ツイッターで出会ったっていう流れですか?
椎名:なんだろう、ツイッターがまだ普及してなかった頃の話。
藤井:ああ、そうなんだ。
椎名:で、そこの人たちに、動画を上げる基本原則みたいな、こうするといいよ、ああするといいよ、みたいなのを1作目で教わって。まぁ1作目は消しちゃったんですけど(笑)。
藤井:やっぱり(笑)
椎名:2作目以降は……ピアプロって絵とかがいっぱい投稿されてるんですね。で、絵を借りることができるんです。事後報告で申し訳ございませんが、イラストをお借りさせていただきました、みたいな報告さえすれば借りていいよ、みたいな。
藤井:パブリックドメインみたいにして、サイトに置いてあるって事かな。
椎名:そうですね。それを借りて、1枚絵のシンプルな動画で曲を発表っていう。
藤井:まずは、そこから始まるのか……なるほどなー。
藤井:あ、でも、自分でも一枚絵を描いてるよね?
椎名:描きます。もともと漫画家になりたいって思ってたんですよ。で、絵より曲のほうが向いてるなって思って、ある時絵を描くのをぱたんとやめちゃって、趣味程度では続けてるんですけど。
藤井:「シティライツ」だっけ? 自分で描いてますよね、PVの絵。
椎名:描いてます。よくわからない女の子を。
藤井:かわいかったけど。
椎名:ありがとうございます。
藤井:そうやってだんだん、そこで出会った人が、今の金子開発さんとか、メイサさんに繋がっていくの?
椎名:金子開発さんは今回、「MOSAIC」っていう曲のPVを担当してくれた…Yuma Saitoさんっていう方がお誘いしてたんですけど、それで知ったというか。ヤバいじゃん、この人って。
曽根原:話をちょっと戻すんですけど、いいですか? まずは、ピアプロっていうところのコミュニティがあって、その後ツイッターにいって、ツイッターはコミュニティっていうか、もっと開かれたSNSですよね。そこから例えばもっと密に繋がるために、さっき言ったみたいなスカイプのコミュニティとか、グループチャットに行くんです。そして、今度そこで仲良くなったら、コミケの自主制作サークルとか、もっと仲いいコアな団体になっていって、それが今度はサークルのようなレーベルができていく。そこでまた人が集ったり、そのコミュニティの発生と、それが膨れていって、みたいな感じなんですよ。
藤井:細胞分裂みたいですね。
曽根原:そうですね。
藤井:まさに「絶え間なく作り直すあてどのない営み」だ。
椎名:え?
藤井:いや、この前、この対談の前口上を書いたんだけどさ、そこに引用した福岡伸一さんという学者さんの言葉なの。
曽根原:で、そこの中でまた「こういうおもしろい子がいるよ」って言ったら、「あ、いいじゃん。何かやりたい」っていう、そういう上下じゃない横の繋がり、上から「こいつ使え」とか下から「使ってください」じゃなくて、「この子いいよ」「あ、いいね」みたいな、「やろうよ」とか、そういう細胞分裂っていうかコミュニティの発生っていうかネットができてからどんどん加速してるんですよ。
藤井:横に広がるんだよね。縦に伸びないっていうか。
曽根原:縦にはなかなか伸びにくいですよね。ほんとに横にばーって広がっていって。
藤井:で、その金子開発さんとは、今回のミュージックビデオ監督のYuma Saitoさんが紹介してくれたっていう事なんだね。
藤井:メイサさんは?
椎名:もともと同人の頃から、ずっとCDのジャケットとか描いてもらってたんです。
藤井:最初の頃から。
椎名:はい。っていうか同い年なんですよね、学年的には。
藤井:14歳でイラストレーターと出会うという。イラストレーターっていうか絵描き、絵師と。
椎名:絵師ですね。仲良くなって。
藤井:街は近いの?
椎名:もともとは石川と北海道だったんです(笑)。遠距離の間はネットを通じてやり取りをしたり。で、イベントがあるたびに東京に集って。
藤井:そこで初めて会うんだ(笑)。でもその前もスカイプで話してるから、顔は知ってるって感じですか?
椎名:顔は知らないんです。話したりはするんですけど、基本顔は映さない。
藤井:声だけ知ってるんだ(笑)。
椎名:声だけ知ってる。
藤井:顔、映さないんだ(笑)。
椎名:はい(笑)。メイサとはあんまり通話もしたことないので。
藤井:メール?
椎名:チャットとかツイッターとか。ツイッターで仲良くなったのがいちばん大きいかな。
藤井:へぇ~、会った事なくて、声も聞いた事なくて、仲良くなるのか(笑)。
全員:(笑)。
インタビュー&文◎藤井丈司
◆ ◆ ◆
◆椎名もた オフィシャルサイト
◆椎名もた オフィシャルTwitter
◆椎名もた 『アルターワー・セツナポップ』特設サイト
◆藤井丈司プロフィール
◆藤井丈司Facebook
◆【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第1回 椎名もた編Vol.4「プロデュース」
Vol.5「同世代の絵師と出会う」
藤井:でも14歳で、すぐマーケットに身を投じるのが、おもしろいよね。
弘石(椎名もた レコード会社&マネジメント事務所/社長):ちゃんとギャラも設定して払って。
(と、オジサン二人が話していると……)
曽根原(椎名もた A&R/マネージャー):そこからがすげえ早いんですよ。それが一連のパックみたいな雰囲気で、教育係みたいなのが、いるんですよ。友達なんだけど、こうやったらいいよ、ああやったらいいよ、みたいなね。
藤井:じゃあ、絵を描く人とか、動画を作る人にも、出会っていくんですか?
椎名:ツイッターとかがきっかけで知り合って、みたいな感じです。一緒にコラボする人たちは、個人的なこだわりとして、ファン同士であるっていう、お互いに。
藤井:原則が。
椎名:はい。それに基づいて、一緒に作ったりとか。
藤井:最初は、「誰か絵を描いてくれる人を探してます」、「動画を作ってくれる人を探してます」みたいな求人をするんですか?
椎名:求人はいちばん最初の頃しました。“ピアプロ”っていうサイトがあったので、“ピアプロコラボ”っていう、ピアプロ内でのコラボ……なんていうか、グループがあって。じゃあ僕は曲を作りますので、あなたは動画を作ってください、あなたは絵を描いてください、みたいなのがあって。
藤井:最初にそういうところで予行演習みたいなのをした後に、ツイッターで出会ったっていう流れですか?
椎名:なんだろう、ツイッターがまだ普及してなかった頃の話。
藤井:ああ、そうなんだ。
椎名:で、そこの人たちに、動画を上げる基本原則みたいな、こうするといいよ、ああするといいよ、みたいなのを1作目で教わって。まぁ1作目は消しちゃったんですけど(笑)。
藤井:やっぱり(笑)
椎名:2作目以降は……ピアプロって絵とかがいっぱい投稿されてるんですね。で、絵を借りることができるんです。事後報告で申し訳ございませんが、イラストをお借りさせていただきました、みたいな報告さえすれば借りていいよ、みたいな。
藤井:パブリックドメインみたいにして、サイトに置いてあるって事かな。
椎名:そうですね。それを借りて、1枚絵のシンプルな動画で曲を発表っていう。
藤井:まずは、そこから始まるのか……なるほどなー。
藤井:あ、でも、自分でも一枚絵を描いてるよね?
椎名:描きます。もともと漫画家になりたいって思ってたんですよ。で、絵より曲のほうが向いてるなって思って、ある時絵を描くのをぱたんとやめちゃって、趣味程度では続けてるんですけど。
藤井:「シティライツ」だっけ? 自分で描いてますよね、PVの絵。
椎名:描いてます。よくわからない女の子を。
藤井:かわいかったけど。
椎名:ありがとうございます。
藤井:そうやってだんだん、そこで出会った人が、今の金子開発さんとか、メイサさんに繋がっていくの?
椎名:金子開発さんは今回、「MOSAIC」っていう曲のPVを担当してくれた…Yuma Saitoさんっていう方がお誘いしてたんですけど、それで知ったというか。ヤバいじゃん、この人って。
曽根原:話をちょっと戻すんですけど、いいですか? まずは、ピアプロっていうところのコミュニティがあって、その後ツイッターにいって、ツイッターはコミュニティっていうか、もっと開かれたSNSですよね。そこから例えばもっと密に繋がるために、さっき言ったみたいなスカイプのコミュニティとか、グループチャットに行くんです。そして、今度そこで仲良くなったら、コミケの自主制作サークルとか、もっと仲いいコアな団体になっていって、それが今度はサークルのようなレーベルができていく。そこでまた人が集ったり、そのコミュニティの発生と、それが膨れていって、みたいな感じなんですよ。
藤井:細胞分裂みたいですね。
曽根原:そうですね。
藤井:まさに「絶え間なく作り直すあてどのない営み」だ。
椎名:え?
藤井:いや、この前、この対談の前口上を書いたんだけどさ、そこに引用した福岡伸一さんという学者さんの言葉なの。
曽根原:で、そこの中でまた「こういうおもしろい子がいるよ」って言ったら、「あ、いいじゃん。何かやりたい」っていう、そういう上下じゃない横の繋がり、上から「こいつ使え」とか下から「使ってください」じゃなくて、「この子いいよ」「あ、いいね」みたいな、「やろうよ」とか、そういう細胞分裂っていうかコミュニティの発生っていうかネットができてからどんどん加速してるんですよ。
藤井:横に広がるんだよね。縦に伸びないっていうか。
曽根原:縦にはなかなか伸びにくいですよね。ほんとに横にばーって広がっていって。
藤井:で、その金子開発さんとは、今回のミュージックビデオ監督のYuma Saitoさんが紹介してくれたっていう事なんだね。
藤井:メイサさんは?
椎名:もともと同人の頃から、ずっとCDのジャケットとか描いてもらってたんです。
藤井:最初の頃から。
椎名:はい。っていうか同い年なんですよね、学年的には。
藤井:14歳でイラストレーターと出会うという。イラストレーターっていうか絵描き、絵師と。
椎名:絵師ですね。仲良くなって。
藤井:街は近いの?
椎名:もともとは石川と北海道だったんです(笑)。遠距離の間はネットを通じてやり取りをしたり。で、イベントがあるたびに東京に集って。
藤井:そこで初めて会うんだ(笑)。でもその前もスカイプで話してるから、顔は知ってるって感じですか?
椎名:顔は知らないんです。話したりはするんですけど、基本顔は映さない。
藤井:声だけ知ってるんだ(笑)。
椎名:声だけ知ってる。
藤井:顔、映さないんだ(笑)。
椎名:はい(笑)。メイサとはあんまり通話もしたことないので。
藤井:メール?
椎名:チャットとかツイッターとか。ツイッターで仲良くなったのがいちばん大きいかな。
藤井:へぇ~、会った事なくて、声も聞いた事なくて、仲良くなるのか(笑)。
全員:(笑)。
インタビュー&文◎藤井丈司
◆ ◆ ◆
◆椎名もた オフィシャルサイト
◆椎名もた オフィシャルTwitter
◆椎名もた 『アルターワー・セツナポップ』特設サイト
◆藤井丈司プロフィール
◆藤井丈司Facebook
この記事の関連情報
【イベントレポート】“バリューギャップ問題”を考える「なぜ日本は失敗したのか」
【イベントレポート】<シンセの大学 vol.5>、「マニピュレーターもバンドの一員だという意識」
【レポート】<シンセの大学 vol.2>、「EDMは8ビートロックと似ている」
【レポート】<シンセの大学 vol.1>、「ポストEDMは、より演奏能力に重きが置かれる」
【レポート (後編)】<マニピュレーターズ・カンファレンス>、「シンセサイザーを“作る”ということ」
【レポート (前編)】<マニピュレーターズ・カンファレンス>、「シンセサイザーは一体どのように生み出されているのか?」
【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第3回 じん編Vol.4「歌詞がついたリードシンセ」
【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第3回 <span>じん</span>編Vol.3「天才ギタリストに出会っちゃったギターヴォーカル」
【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第3回 じん編Vol.2「語り部として最高のアクター」