【インタビュー】三宅由佳莉、海上自衛隊東京音楽隊所属の女性自衛官が透明感あふれるソプラノで人々の心を癒やす
■人の役に立つ音楽ってあるんだなと思いました
■これが自衛官である私の果たすべき任務なんだなって
──なるほど。ところで今回、アルバム『祈り~未来への歌声』でデビューすることになった、その経緯というのは。
三宅:このアルバムのタイトルチューンになっている「祈り ~ a prayer」という曲は、東日本大震災をきっかけに河邊一彦隊長(東京音楽隊長2等海佐)が作詞作曲したもので。それを東京音楽隊で演奏して歌った映像がYou Tubeにアップされたところ、反響が大きくて、ニュースでも取り上げられて、それが今回のアルバム・リリースにつながりました。
──“希望 未来 夢 祈ってる”とか、シンプルな言葉の奥から深い想いが伝わってくる曲ですね。
三宅:そうですね。バンドで初めて音出しをした時、涙をこらえきれない隊員もいましたし、私も(涙で)歌詞を最後まで読めないような状態でした。
──この曲は震災直後に作られたんですか。
三宅:直後ではなく、しばらく経ってからですね。震災直後、陸上自衛隊はすぐ被災地に行って活動してたのに、音楽隊は待機することしかできなくて、どの隊員ももどかしさを抱えていたんです。1ヶ月後にやっと慰問演奏に行くことができて「ふるさと」とか「トゥモロー」とか「負けないで」とかを歌ってきたんですが、もちろん明るい気持ちにはなかなかなれなくて……。そんな時にこの曲ができたんです。歌詞を見た時に“ここにはみんなに伝えたい気持ちが全部込められてる!”と思いましたし、自分自身も励まされると言いますか、前向きな気持ちになれて、“これはいま必要な歌だ!”“歌いたい!”と素直に思いました。以来、今まで2年間いろんな場所でこの歌を歌ってきたんですが、歌うたびにやっぱりいろんな反応があって、“元気になりました。またぜひ来てください!”って言っていただいたり……。そういうのを一つ一つ受け止めていく中で、人の役に立つ音楽ってあるんだなと。これが自衛官である私の果たすべき任務なんだなって思うようになりました。
──三宅さん自身、この曲で成長できた。
三宅:本当にそう思います。それまで音楽は単に楽しむもの、という感じだったのが、この曲と出会えたことで、歌う意味や音楽の意味も考えるようになりました。
──今回のアルバムには「ふるさと」「翼をください」「アメイジング・グレイス」といった誰もが知ってる名曲もいろいろ入っていますが、これも普段から歌っている曲達ですか。
三宅:はい。どれも演奏会などで歌ったことがあるレパートリーです。
──じゃあレコーディングはスムーズに?
三宅:それが、レコーディングって今回が初めてだったので、緊張してしまって。自分では普通に歌ってるつもりなのに“もっと普通に歌ってください”って言われて、“普通ってなんだろう?”って1日目は頭を抱えてしまいました(笑)。2日目からはだんだん肩の力を抜いて歌えるようになりましたけど。
──苦労の甲斐があって、アルバムでは美しいソプラノが響いてますね。
三宅:ありがとうございます! きっと海上自衛隊に音楽隊があることを知らない人も多いと思うんです。なので、こういう機会を通じて、海上自衛隊のことを知ってもらえたら嬉しいですし、国民の皆様に元気や勇気を与えるきっかけになればなと思っています。あと、“海上自衛隊の演奏会に行きたいけど遠くて行かれない”っていう声を聞いたりもするので、そういう人にもこのCDが届いたらいいなと思います。
──今後、挑戦したいことは何かありますか?
三宅:具体的にコレというのは今はないんですが、私は自衛隊の音楽隊で歌っていることに誇りを持っていますので、これからもこの場所で積み重ねて、貢献できたらなと思っています。
──三宅さんは任務を離れた時でも、そんなふうに背筋がピンと伸びたようなお人柄なんですか?
三宅:いやもう、何考えてるかわからないっていつもみんなに言われてます(笑)。
取材・文●赤木まみ
■コラム
三宅由佳莉の腕と胸のマークは何?
凛々しく制服に見をつ包む三宅由佳莉。彼女の腕と胸に輝く、何やら綺麗なワッペン、もしくはバッチのようなものは一体どんな意味があるのだろう。それをここで紹介しておこう。
まずは腕のワッペン。これは海上自衛隊の「階級章」。隊員の階級がわかるように制服に着用するもの。この階級章で表される三宅由佳莉の階級は「3等海曹」。
次に胸に輝くバッヂだが、これは「防衛記念章」。自衛官が職務遂行上の功績によって表彰されたり、経歴や補職を記念して制服に着用できるもの。
まずは赤のラインが両端に入っているのもは「第16号防衛記念章」。防災、安全功労者表彰に係る業務従事者に贈られるもの。次に向かって左下の緑のラインのものは「第18号防衛記念章」。第1級賞状受賞に係る業務従事者に贈られるもの。最後に右下の両端に紫のラインが入っているものが「第36号防衛記念章」。国内における大規模災害派遣活動従事者に贈られるもの。
以上のような内容があるものなのだ。「階級章」は階級が上がれば変わっていく。「防衛記念章」も、活動の数が増え幅が広がればどんどん増えていく。そういうことを表しているものだ。
『祈り~未来への歌声 A PRAYER』
UCCY-1032 \3,150(tax in)
8月28日(水)発売
1.祈り ~ a prayer (piano version)
2.夢やぶれて(《レ・ミゼラブル》より)
3.交響組曲《高千穂》~第2楽章:仏法僧の森
4.Stand Alone (NHKスペシャルドラマ 『坂の上の雲』メイン・テーマ)
5.花は咲く(「明日へ」NHK東日本大震災復興支援ソング)
6.浜辺の歌
7.ふるさと
8.翼をください
9.トゥモロー(ミュージカル《アニー》より)
10.タイム・トウ・セイ・グッバイ
11.アメイジング・グレイス
12.祈り~a prayer (full version)
◆三宅由佳莉オフィシャルサイト
◆海上自衛隊東京音楽隊
■これが自衛官である私の果たすべき任務なんだなって
──なるほど。ところで今回、アルバム『祈り~未来への歌声』でデビューすることになった、その経緯というのは。
三宅:このアルバムのタイトルチューンになっている「祈り ~ a prayer」という曲は、東日本大震災をきっかけに河邊一彦隊長(東京音楽隊長2等海佐)が作詞作曲したもので。それを東京音楽隊で演奏して歌った映像がYou Tubeにアップされたところ、反響が大きくて、ニュースでも取り上げられて、それが今回のアルバム・リリースにつながりました。
──“希望 未来 夢 祈ってる”とか、シンプルな言葉の奥から深い想いが伝わってくる曲ですね。
三宅:そうですね。バンドで初めて音出しをした時、涙をこらえきれない隊員もいましたし、私も(涙で)歌詞を最後まで読めないような状態でした。
──この曲は震災直後に作られたんですか。
三宅:直後ではなく、しばらく経ってからですね。震災直後、陸上自衛隊はすぐ被災地に行って活動してたのに、音楽隊は待機することしかできなくて、どの隊員ももどかしさを抱えていたんです。1ヶ月後にやっと慰問演奏に行くことができて「ふるさと」とか「トゥモロー」とか「負けないで」とかを歌ってきたんですが、もちろん明るい気持ちにはなかなかなれなくて……。そんな時にこの曲ができたんです。歌詞を見た時に“ここにはみんなに伝えたい気持ちが全部込められてる!”と思いましたし、自分自身も励まされると言いますか、前向きな気持ちになれて、“これはいま必要な歌だ!”“歌いたい!”と素直に思いました。以来、今まで2年間いろんな場所でこの歌を歌ってきたんですが、歌うたびにやっぱりいろんな反応があって、“元気になりました。またぜひ来てください!”って言っていただいたり……。そういうのを一つ一つ受け止めていく中で、人の役に立つ音楽ってあるんだなと。これが自衛官である私の果たすべき任務なんだなって思うようになりました。
──三宅さん自身、この曲で成長できた。
三宅:本当にそう思います。それまで音楽は単に楽しむもの、という感じだったのが、この曲と出会えたことで、歌う意味や音楽の意味も考えるようになりました。
──今回のアルバムには「ふるさと」「翼をください」「アメイジング・グレイス」といった誰もが知ってる名曲もいろいろ入っていますが、これも普段から歌っている曲達ですか。
三宅:はい。どれも演奏会などで歌ったことがあるレパートリーです。
──じゃあレコーディングはスムーズに?
三宅:それが、レコーディングって今回が初めてだったので、緊張してしまって。自分では普通に歌ってるつもりなのに“もっと普通に歌ってください”って言われて、“普通ってなんだろう?”って1日目は頭を抱えてしまいました(笑)。2日目からはだんだん肩の力を抜いて歌えるようになりましたけど。
──苦労の甲斐があって、アルバムでは美しいソプラノが響いてますね。
三宅:ありがとうございます! きっと海上自衛隊に音楽隊があることを知らない人も多いと思うんです。なので、こういう機会を通じて、海上自衛隊のことを知ってもらえたら嬉しいですし、国民の皆様に元気や勇気を与えるきっかけになればなと思っています。あと、“海上自衛隊の演奏会に行きたいけど遠くて行かれない”っていう声を聞いたりもするので、そういう人にもこのCDが届いたらいいなと思います。
──今後、挑戦したいことは何かありますか?
三宅:具体的にコレというのは今はないんですが、私は自衛隊の音楽隊で歌っていることに誇りを持っていますので、これからもこの場所で積み重ねて、貢献できたらなと思っています。
──三宅さんは任務を離れた時でも、そんなふうに背筋がピンと伸びたようなお人柄なんですか?
三宅:いやもう、何考えてるかわからないっていつもみんなに言われてます(笑)。
取材・文●赤木まみ
■コラム
三宅由佳莉の腕と胸のマークは何?
凛々しく制服に見をつ包む三宅由佳莉。彼女の腕と胸に輝く、何やら綺麗なワッペン、もしくはバッチのようなものは一体どんな意味があるのだろう。それをここで紹介しておこう。
まずは腕のワッペン。これは海上自衛隊の「階級章」。隊員の階級がわかるように制服に着用するもの。この階級章で表される三宅由佳莉の階級は「3等海曹」。
次に胸に輝くバッヂだが、これは「防衛記念章」。自衛官が職務遂行上の功績によって表彰されたり、経歴や補職を記念して制服に着用できるもの。
まずは赤のラインが両端に入っているのもは「第16号防衛記念章」。防災、安全功労者表彰に係る業務従事者に贈られるもの。次に向かって左下の緑のラインのものは「第18号防衛記念章」。第1級賞状受賞に係る業務従事者に贈られるもの。最後に右下の両端に紫のラインが入っているものが「第36号防衛記念章」。国内における大規模災害派遣活動従事者に贈られるもの。
以上のような内容があるものなのだ。「階級章」は階級が上がれば変わっていく。「防衛記念章」も、活動の数が増え幅が広がればどんどん増えていく。そういうことを表しているものだ。
『祈り~未来への歌声 A PRAYER』
UCCY-1032 \3,150(tax in)
8月28日(水)発売
1.祈り ~ a prayer (piano version)
2.夢やぶれて(《レ・ミゼラブル》より)
3.交響組曲《高千穂》~第2楽章:仏法僧の森
4.Stand Alone (NHKスペシャルドラマ 『坂の上の雲』メイン・テーマ)
5.花は咲く(「明日へ」NHK東日本大震災復興支援ソング)
6.浜辺の歌
7.ふるさと
8.翼をください
9.トゥモロー(ミュージカル《アニー》より)
10.タイム・トウ・セイ・グッバイ
11.アメイジング・グレイス
12.祈り~a prayer (full version)
◆三宅由佳莉オフィシャルサイト
◆海上自衛隊東京音楽隊
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